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Peak2Peakのデジタル写真講座第10回:「遠くの風景を撮る方法 笠ヶ岳を題材に」

笠ヶ岳は岐阜の名峰である。北アルプスの南西部に聳える美しい山、飛騨山脈にあって、もっとも飛騨地方にある山だ。(ところで「飛騨山脈=The Hida Mountains」と言えばいいものを、なぜか西洋にあやかりたい日本人は、これを「北アルプス」と呼ぶ。おかしい。)

 西穂高岳へ至る稜線からは、西側間近に笠ヶ岳がみえる。たいてい夜明け前に小屋を出て稜線に取り付くと、笠ヶ岳のてっぺんがまず輝きはじめ、長大な東面に落とされた穂高の稜線のシルエットがだんだんと下がっていく。最初見た時は、笠ヶ岳の稜線と穂高の稜線の影があまりにピッタリと寄り添っているので、それが穂高の影絵である事に思い至らなかった。
とくに積雪期は、ヴィーナスベルトを背景にし、茜色に輝く白い帯が美しい。この稜線を朝日を浴びながらひとり、歩いている自分を想像する。あるいは、スキーでもいい。誰かここにいやしないかと、後で撮った写真を後で拡大してみるとき、トレースやシュプールを探している。もちろん、誰もいやしないのだが。そう、笠ヶ岳はそんな山だ。

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