未有花

子供の頃の夢をいつまでも持っていたい。やさしく、なつかしい言葉たち。

未有花

子供の頃の夢をいつまでも持っていたい。やさしく、なつかしい言葉たち。

最近の記事

a dream

すべて消えてなくなればいい 想いも 愛も 淋しさも悲しみも ここにいたという軌跡さえ 波にさらわれてしまえばいい a dream 誰にも知られずに 消えて行く私の言葉たち まるで夢のようにきらめいて 遠く 遠く流されて行く a dream 何も残さずに ただ懐かしむ記憶の底 そっとふたを閉めたオルゴール まだ耳の奥に鳴り響いている

    • 憧れ(あいうえお作文)

      青い波間に漂う コバルトブルーのきらめき 画用紙に彩られた海は今でも 烈日を待ち焦がれている * 雨の日は部屋の中でひとりきり 孤独を思う存分楽しもう 外国の歌手が歌う レコードに耳を傾けながら * 朝顔の模様の浴衣を着て 今宵君と花火見物 硝子の風鈴リンと揺れて レトロにときめく夕暮れ * 茜色の空の向こうに こだまする君の声 がんばってみるよもう少し レールの先に明日を夢見て * 愛を失うことを恐れない こんな気持ち初めてです がりりとあなたが齧った 檸檬

      • 金魚

        今宵夏祭り きれいな着物を着て あなたに寄り添う私は金魚 色とりどりに飾られた夜店を あなたといっしょに泳ぎ回るの 人ごみにはぐれないように しっかり手をつなげば 肩が触れ合うたびにときめいて 恋のしっぽがとぷんと跳ねるの ゆらゆらゆら あなたと夜を泳ぐ私は金魚 恋の波紋がどこまでも広がって行って このままあなたに掬われてもいいかなって思う 詩とファンタジー2013夏漣号掲載

        • 私は美しい薔薇の花

          愛して欲しいと嘆く 私は淋しい薔薇の花 きっと嫉妬で燃えたぎる 炎のような黄色い薔薇 本当は清楚にたたずむ 白い薔薇になりなかった やわらかくはにかむ ピンクの薔薇の花でもいい ただ私を愛してくれる人がいたのなら 静かに花園で微笑んでいられたのに 誰にも顧みられることもなく 気まぐれに振り向いてくれる瞳もないまま ただ枯れて行くだけの我が身を案じていた すべての花に平等な庭師でさえ いつも私の前だけ 忘れたように通り過ぎて行き いつしか私が薔薇なのか 他の取り柄のな

        マガジン

        • a dream
          49本
        • あいうえお作文
          6本
        • フェアリーテール
          49本
        • 花図鑑
          16本
        • 夕暮れ詩集
          12本
        • 短歌
          30本

        記事

          哀しみという名の街で

          哀しみという名の街で 二人 出会ったの 涙雨の降る街角 空も泣いていた午後 さびしがりやの恋人たち ガラス細工の傘をさして 色褪せた通りを歩いていたの 心の傷跡なぞるように 冷たい雨が降り続いて行く 誰でもいいからそばにいてよと 二人 出会ったの 哀しみという名の街で 二人 恋に落ちたの 赤い屋根のカフェテリア 空も頬染めた午後 さびがりやの恋人たち 白いテーブルをはさんで 言葉なくしたようにみつめあうだけ 二人の他には何もいらない 差し込む夕日に照らされてずっと

          哀しみという名の街で

          いばら姫

          薔薇よ薔薇 私の体を養分にして 美し花を咲かせておくれ あの人は行ってしまった 私の手の届かないところへ ひとり取り残された私は 希望さえ失くしてしまった 絶望と言う名の牢獄に囚われて 薔薇の臥所で永遠に眠る私はいばら姫 愛しい王子様が現れるまで 薔薇に抱かれて眠り続ける もしも戦争が終わってあの人が生きていたら 彼は私の元へ帰って来てくれるかしら 薔薇に包まれて眠る私をみつけたら あの人はくちづけて私を目覚めさせてくれるかしら 虚しさよおまえの名前は? もう何度

          いばら姫

          戸惑い(あいうえお作文)

          扉を開けると 眩しい光が飛び込んで来た どよめく喧騒に包まれれば 異国に迷い込んだ気がした * 時計の針がふいに 真夜中を知らせる 堂々巡りの物思いに いたたまれず朝が来る * 友達だと思っていた まさかのあなたからの告白 どっちつかずの距離のまま 今さら恋人になんてなれないよ * 遠くまで来てしまった 町並みも夕闇に沈み どんどん暗くなって行く 石畳の道に途方に暮れる * 登場人物が多過ぎて まったく犯人を特定できず どんでん返しの結末に 未だ真相は謎のまま

          戸惑い(あいうえお作文)

          緑の夢

          僕の頭の上では さやさやと木々のささやく声 風はやさしく髪を撫でて行き 時折聞こえる鳥のさえずりに 僕の夢は現をさまよう 僕はいつもここで夢を見ている 心地良い木の肌のぬくもりに背を預けて 僕の夢は未だ深い森の中 目覚めてはいけないと誰かの声がして 僕は素直にその声に従っている 果てしない緑に抱かれて 僕は数億年前の樹海を旅する むっとするような森の匂いと 圧倒するような生命力に目眩を感じて 僕の体は大地に崩れ落ちて行く このまま下へ下へと沈んで行けば 僕はまたひとつの

          杉の林に静(せい)ひとつ

          杉の林に静ひとつ 靄の立ち込める朝 靄に紛れて時間が漂う 暗闇から聞こえる森の声 林は何を考えている 杉の林に静ひとつ 緑の湿地に隠された 緑の夢と宝物 眠りから覚めた林の向こう 林は何を考えている 杉の林に静ひとつ 小鳥の声だけ響いてる 小鳥はどこに隠れてる かくれんぼうの朝の歌 林は何を考えている

          杉の林に静(せい)ひとつ

          トワイライトイリュージョン

          摩天楼が朱に染まる時 黄昏の時間も止まる ざわめく雑踏もどこか遠くの 出来事のように消えて行く ビルの窓から見た街も幻 トワイライトイリュージョン 歪んだ時間の狭間の中で 誰もがひとときの夢を見る 交差点で影が揺れる時 黄昏の夢も終わる 愚かな蝶のようにどこか虚しい 日が暮れても続く胸騒ぎ 蒼い闇に沈む街も幻 トワイライトイリュージョン さまよう時間の隙間から見た 誰もが何かに怯えている 水銀灯の灯りが点る時 黄昏の魔法は消える 来るべき夜さえもどこか違う ハイウェイに映

          トワイライトイリュージョン

          心象風景(短歌)

          さわさわと風吹き抜ける草原に寝転んでいて私はひとり どこまでも平和な春が続く空さえずる小鳥静かな孤独 手のひらでまぶしい光遮ぎればまぶたに満ちる心地良い闇 雨が降る心に沁みるその音に遠いあの日の涙が落ちる 自転車で長い坂を駆け下りて風になろうよ海を目指して 淋しいと泣いてた日々よさようなら誰でもいつかひとりに還る 前を向いて心の翼広げれば空に飛び立つ私は自由

          心象風景(短歌)

          ため息(あいうえお作文)

          黄昏の街を駆けて行く影法師 目眩にも似た既視感に いつまでも立ち竦んでいた きっと夜はまだ遠い * 退屈な雨の午後 迷宮のような街を眺めていた 陰鬱な気持ちを弄ぶように 霧雨がすべてを隠して行く * 戯れに言葉を紡いで めちゃくちゃに文章を綴る いい加減気付いたらどうだ 厳しい現実というものに * ためらいがちに弾く メンデルスゾーンの夜曲(夢) 祈るようにいつも思っていた 君の笑顔に夢で逢えたらと * 例えばこれが夢で 目覚めればすべてが元に戻っていたらと

          ため息(あいうえお作文)

          花の森にて

          やわらかに色紙の花園で 子猫が蝶々を追って駆けて行く 淡紅色の薫りを放つ花たちは 自慢の花びらを踊らせることにいそがしく まるでそれは雨のように降りしきり この花園を埋め尽くそうとするかのように 花びらは散る また降り注ぐ 小手毬の花影から聞こえるのは やさしい音色のパストラーレ あれは姉さまの弾くハープシコード 夢のように私の心に舞い降りて 昼下がりの眠りを静かに誘う 花海棠の根元でうとうとしていると 赤い花が私を起こしてくれた それは葉陰にひっそりと咲く草木瓜の花 首

          花の森にて

          春はたまごの眠り

          春はたまごの眠り たまごの中でまどろみながら イースターエッグの夢を見ている 復活祭の朝が来たら ウサギが隠したたまごを 子どもたちが探しに行くよ 春になったらイースターバニーによろしくね 春はたまごの眠り もうすぐ生まれる日を待っている 春はたまごの眠り たまごの中でまどろみながら 花冠を編む夢を見ている レンゲ畑の真ん中で 愛する人のために 少女は花冠を編むよ 春になったらあの人に作ってあげよう 春はたまごの眠り もうすぐ目覚める時を待っている 春はたまごの眠

          春はたまごの眠り

          たんぽぽ春のパラシュート

          青い空がおいでって私を呼んでる ずっと夢見ていた旅立ちの日 春の風が何度も私をせかして 早く早くって言うけれど 飛び立つにはけっこう勇気がいるのよ 心臓がドキドキして今にもはじけそう ひときわ大きな風が吹いて 私はようやく旅立つ決心をしたの たんぽぽ春のパラシュート さよならは言わないわ 旅立ちにはいつでも潔さが肝心 これからの私の旅路を みんな祝福してね このまま風にまかせて どこまでも飛んで行くわ ふわり ふわり 漂って 幸せを運んで行くの 花言葉:幸せ・

          たんぽぽ春のパラシュート

          白木蓮の灯(あかり)

          春になると淋しい木々の先に 白木蓮の灯が点る ほんのりと明るい白い花は どんよりとした心を照らしてくれるようで ほっと心が温かくなる こんなふうに心が晴れない日は特に 花のやさしさがありがたい やわらかな春の気配に 何かいいことがありそうな気がして 思わず足取りも軽くなって行く 顔を上げて歩く先にはいつでも 白木蓮のほのかな灯 きょうもまた曇りのない心で 歩いて行けたらいい 白い花がそう教えてくれた気がした 花言葉:自然への愛・気高さ・高潔

          白木蓮の灯(あかり)