東京事変が好きすぎる〈伊澤一葉編〉

こんにちは。
最近、何かを断言してくれる人って貴重だよなあと思う今日この頃です。特に自分のことについて断言してくれる人はありがたい。「こうした方がいいよ」とか、「それは正しいよ」とか。
度を過ぎるとちょっと胡散臭いですが。

えー、前回の記事で「東京事変が好きすぎる〈入門編〉」と銘打ってシングル曲から6曲選んで書きました。今回以降はそこから一歩踏み込んで、私の好きな曲について作曲したメンバーごとに語っていきたいなと思います。つまり、かなり個人的な選曲となっております。

ということで、今回のテーマは〈伊澤一葉編〉

key
伊澤一葉 イザワイチヨウ

1976年7月4日生まれ
辰年
倉敷市出身

2004年 バンドあっぱを結成
2005年 東京事変に加入
2009年 the HIATUSに加入
様々なアーティストに楽曲提供、
サポートも務める
ソロとしても活動中
http://izawaichiyo.com/

https://tokyojihen.com/bio/

2枚目のアルバム「大人」から、脱退したH是都Mに代わって加入したピアニスト・キーボーディストです。やはり全員善人、全員多忙な東京事変の例に漏れず、ソロ、バンド、サポートとかなり目まぐるしく飛び回っています。他のアーティストのサポートとしては、記憶に新しいところだと米津玄師の「Lemon」や「海の幽霊」のレコーディングメンバーでもあります。


先に言っておくと順番に深い意味は全くありません。強いて言うならライブの並び順の向かって左側から順番に、ですかね。

ということで、今回も始めます!

①酒と下戸


3rdアルバム「娯楽」より。

四分音符に一文字ずつ噛み締めるようにはめる強気なAメロが終わると二拍子から四拍子に変わり、間奏のピアノソロで三拍子になり(ここまで1分しか経ってません)、歌謡曲のようなボーカルが入って曲が終わった…と思ったらまた二拍子で曲が始まり、…と先が読めない展開が特徴的な一曲です。タイトルの通り酔っ払いの出鱈目のようにも聞こえますが、通して聴くと様々な要素が曲としてまとまっているのが不思議でたまりません。私は音楽に詳しくはありませんが、きっと緻密に練られた構成だからだろうなあと思って聴いています。

それに、このAメロの強烈な音の並びはどうやって生きて何を食べていたら書けるんでしょうか。この曲はつくづく東京事変にしか書けない、演奏できない、歌えない曲だなあと思います。

どれだけ気に入っていても、歌うのはめちゃくちゃ難しいので私のように火傷したくなければカラオケで歌うのはやめておきましょう。警告はしましたからね。

②生きる

4thアルバム「スポーツ」の一曲目に収録された曲です。

椎名林檎の絶唱とも言える力強いボーカルと、その裏で流れる機械的な男声のハーモニーとのコントラストが印象的です。低音域から高音域まで広く要求されるボーカルの美しい旋律は、椎名林檎の実力を引き出すために伊澤一葉が書いた…と思っていたのですが、実はもともと一葉氏の別のバンドで演奏していた曲だそうです。
1番が終わると2番でバンドが入って急に曲調が変わり、リズムが跳ねだします。普通なら(普通?)「今、ここでの自分の自由と孤独」を魂の叫びのように歌い上げて終わってしまいそうな曲(もちろんそれだけでも十分美しい)ですが、2番でアップテンポに変わることによって「それでも進んで行く、進まなければならない」という前向きな諦観のような意思さえ感じられる気がします。あくまで個人の意見です。あくまで個人の意見です。大事なことなので2回言いました。

アウトロも大好きです。生きていること、音楽をできることの喜びを心の底から謳歌するような、ある意味人間賛歌のような美しさがあります。それでいて最後の最後は無駄に引っ張ったりすることなく、さらっと呆気なく終わる。その潔さも事変ならではかなと思います。

この曲を聴き込むうちに、この歌詞は高校生の自分が共感していいような代物ではないなと思いました。この曲には、ある程度歳を重ねて、若さが去っていったことを知った大人たちの選手宣誓としての性格があるように感じます。「スポーツ」だけに。いつか歳を重ねてもう一度聴きたいです。この曲のことを覚えていられるほど、心に余裕のある大人になれればですが。

あああ書きすぎました。

ライブでアレンジが変わるのも好きなポイントです。

③怪ホラーダスト

これは書かなければいけない気がしました笑。

2012年の解散前最後に発表された、6thアルバム「color bars」より。このアルバムはメンバー1人ずつによる作詞作曲の計5曲で構成されています。最後なのに新境地を開いてしまった浮雲、最後までらしさを貫いた詞曲の師匠、初のオリジナル楽曲で衝撃のアルバムラストを飾った刄田綴色、そしてそれらの暴走した個性をまとめ上げる椎名林檎…それぞれ語りたいのですが、今回取り上げるのはアルバムの2曲目「怪ホラーダスト」。

今のところ東京事変で唯一の伊澤一葉メインボーカルの曲です。サウンドといい、歌い方といい、どこか懐かしいロックを感じさせますね。しかしやはりAメロのピアノやサビの変わった音の並びは東京事変であり、椎名林檎であるといった感じがします。(この曲のピアノは一葉氏に代わって椎名林檎が弾いているそうです)
私がこの曲を選んだ1番の理由は、やはり何と言っても「伊澤一葉の声を堪能できる!」からです。椎名林檎のコーラスやデュエットとも、あっぱとも違う歌い方がもう堪らないのです。セクシーな低音部、コーラスではなかなか聞くことのない高音部、「music」ではなく「ミュージック」の発音、…とにかく聴いてください。いーいんです、とても。

ライブで歌っている映像は生憎見たことがないのですが、なんとなく上下に揺れながら歌ってそうな気がします。特にサビは。

また長くなりました。

④うるうるうるう

7thアルバム「ニュース」より。
愛好家待望の東京事変再生から4ヶ月後、最初に発表されたアルバムです。前作「color bars」同様、メンバー1人ずつの作曲で、名探偵コナンの映画主題歌「永遠の不在証明」を含む5曲が収録されています。

この曲のタイトルが発表された時は界隈がざわついたらしいです笑。閏年に結成し、8年後の閏年の閏日に解散、そしてそのまた8年後の閏年に「再生」。確かにうるうるしてますが、まさか曲のタイトルになるなんて。わっちかわいい。

タイトルからかわいらしい曲、大人のおふざけ曲を想像すると、その内容とのギャップに驚くこと必至です。
まず、冒頭の三拍子に驚く。三連符の浮雲のギター、四拍子に変わる師匠のリフ、思わずにやけてしまうほど刄田綴色感満載のドラム、少ない音数の中で光る一葉氏のピアノ…このアルバムの中で最も事変色が強く出た一曲だと思います。そしてあのピアノのバッキングでサビの複雑な旋律を歌いこなせるのはやはり椎名林檎だからでしょう。
アウトロの、シャウト、で合ってるんでしょうかあれは、男性陣のコーラスは浮雲だけでなく一葉氏や刄田綴色もいますね。低音が特に魅力的です。椎名林檎含め、演奏技術だけでなく声までそれぞれ熟成された気がします。

それとずっと気になっていたんですが、「うるうるうるう」の正しいイントネーションは
「う↑るうる↓う↑る↓う」(なでしこジャパンのイントネーションで)
「う↓るうるう↑るう」(ミラクルひかるのイントネーションで)
のどちらですか?恐らく前者だとは思うのですが、後者もかわいいなと思う今日この頃です。

⑤緑酒

8thアルバム「音楽」より。
先行配信シングルとしてもリリースされました。
2021年の紅白で東京事変が歌うとしたらこの曲なんじゃないかと睨んでおります。
タイトルは「質のいい酒」の意味だそうです。歌詞も「乾杯日本の衆」で始まり、「各種生業お疲れさん」と労いの文言が続きます。椎名林檎に労われちゃあ頑張らなくちゃいけませんね、ええ。
Aメロ、Bメロの流れるような美しい旋律、サビの複雑な階段と跳躍が繰り返す歌メロはもはや伊澤印とでもいいましょうか、再生後もやはりらしさ全開です。それどころか、8年の休止期間を経て、更に煮込まれて濃く、美しく、いや麗しく進化しているようにも感じます。

この曲は、私が東京事変に嵌るきっかけになった曲です。
今年の6月に初めて曲を聴いて、「なんだこの楽器の音が全部光って聞こえるバンドは」と衝撃を受け、MVを見て「なんだこの素敵な年の取り方をした大人たちは」「ボヘミアン・ラプソディのオマージュがここまでかっこよく見えるなんて」と驚き、衝動的に「音楽」を買って今に至ります。

「音楽」発売からもう半年経ちますが、聴くたびに新鮮な気持ちと少し安心した気持ちが混ざった不思議な気持ちになります。
やっぱり大好きな曲です。


日本らしさが強調されたMVも素敵です。
メンバー一人一人に見せ場が用意されているのもさすが愛好家をわかっていらっしゃる。


今回は以上となります。
前回の更新からだいぶ間が空いてしまいました。曲について語るのは楽しいのですがかなりエネルギーを使うので、今後もゆるゆると続けていくことになるかなあと思います。自分でも何を書いているのか分からなくなった箇所も多々あるので、読み苦しい点はどうぞ華麗にスルーなさってくださいな。

改めて、長くなりましたね。最後までお読みいただきありがとうございます。ここまで読んでくださったあなたには明日何かしらのいいことがあります。お疲れ様でした。

※記事内でメンバー名は敬称略とさせていただいたことをご了承ください。

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