#一日一短歌 2022年10月分
10/4 少し遅れたんだけど、長女が8歳になったことについて短歌を詠んだ。
10/7 軽やかに飛び立てそうなハルカスの古いつばさがいとおしくあり
あべのハルカスの片方はウイング館って名前なんだけど、建物のつくりがいかにも昔の百貨店てかんじで懐かしさを感じる。段差が多くて歩きにくいんだこれが。
10/9 すごい雨 きみが笑えば曇天も澄みわたる青だったはずだよ
すごい雨だった日の歌です。
10/9 横顔がブレーキランプに照らされる 変身前の一瞬の赤
前の車のブレーキランプに照らされることってあるよね。夕暮れ時だったから余計に変身感あった。
10/9 夕暮れと夜の狭間の物語きみが知らないおとこに見える
そういう瞬間の夫の横顔は、知らん人みたいでちょっとどきどきする。
10/11 寝不足の瞳を撫でる風 加速していけ夏を置き去りにして
電車がホームに入った瞬間の風、寝不足には刺激が強い。
10/12
酸化した血のような、生ぬるい、アルコールできみのくちを汚した
酔いしれるこの夜だけのやさしさは薄いガラスがふれあうときの
足元がふらつくままで寄り添ってまっさかさまな墜落だった
助けてはくれなかったね気まぐれに振り向いて触れて それだけだった
わからないこともわかったふりをしてふたたびめぐる夜に溺れる
ちょっと連作みたいにしてみたかった日だった。ひとつのことを、手を変え品を変えいろんな言葉で詠もうとしてる、いつも。
10/13 終着は楽園じゃない結局は同じ市内でどこへも行けない
毎日毎日同じ電車に乗ることのむなしさ。
10/14 アラートがBGMになる朝に祈りを込めて放たれる星
この日、ミサイル飛んできてたのかなと思って調べたけどそういうわけでもなかった。意識の中でももう日常になっちゃってるのかな。
10/15 世界で一番大好きな岡野昭仁さんの誕生日なので、そんな短歌を詠みました。
10/17 街に降る霧雨はこのひとときを隠すレースのカーテンのごと
リセールで当たったポルノグラフィティのライヴ大阪公演に向かう電車の中、やっぱり逸る胸が抑えられなかったな。
10/17 街をゆくひとそれぞれにそれぞれの幸福ありやとおもうたそがれ
そういう日だったので、すれ違う人みんなが幸せであるように心から祈れたような日だった。
10/20 掴めない星はいっそう輝いてわたしの夜の闇が際立つ
ポルノグラフィティのツアー最終公演落選のお知らせを受け取った直後に。タイムラインに当選した人がまったくいなくてぞっとした。
10/24
泣きながら、愛したきみが誰かのものになっちゃうなんて、いやだった
朝だった、きみがいないと知ってから、どう頑張っても、夜にならない
キスだった、ふれあわなくてもとけるほど、くちびるのはしが、熱くなるのは、
月だった、きみと最後に見た、白い幸福だった、ひびひとつなく
薄く張る氷の上ではしゃいでた、あれは永遠、永遠だった
知らない人みたいだった、ぜんぶ終わって、きみが悪い顔で笑って
これも連作みたいに一気に詠んだ。句読点の使い方や言葉の順序をいつもと意図的に変えたらどうなんのかなって思いながら。
10/26 砕け散る方が正義と知ってても空に掲げたピースが霞む
正義ほど人間がつくり出したもので罪深いものもないなって思うんよ。
10/26 間違いを探してしまうきみの目の奥にも小さな歪みがあって
ああきみもちゃんと人間なんだなって安心できる。
10/27 冬はいい ふわふわもこもこきらきらでやなこと全部隠せてしまう
肌寒くなってきて、やっと厚着ができるようになって、街はクリスマスに向けて浮かれてて、この時期がすごく好き。
10/31 生ぬるい汗が滲んだ秋の朝きみを抱いてたぬくもりがある
かと思えば、ちょっとダッシュするとまだ汗ばんだりして。
10/31 くちびるで交わした淡い約束を泡にしてゆくぬるいシャンパン
シャンパンの詩情、アルコール界第1位では。
10/31 さよならは祈りになってもうきみが傷つかないでいられる世界
でも、秋と冬の間の少し物悲しいかんじ。
毎年この時期になると年度末が見えてきて、ああ今年もいまいちだったなってすでに思ってしまうことが多い。歳を取るごとに頻繁に思う。もうちょっと頑張りたいなあって、毎年毎年。学ばんなあ。