2023年4月の記事一覧
桜の木の下で出逢った女の話~第6話
ちょっとした余談になるが
7月から俺は朝刊の新聞配達をやることになった。
不正行為でバレたら
法的にもヤバかったらしいのだが
経緯を説明すると叔父…
細かく言うと母の妹の旦那さんが
新聞屋の職員だったので
もし可能なら新聞配達をやらせて欲しいと
俺は中2の頃からずっとお願いしていた。
が、今は色々と厳しくて
中学生の新聞配達は許可が降りづらいから
高校まで待てと言われていたのだ。
そこで俺は
桜の木の下で出逢った女の話~第7話
「てゆーか夏休み短くないですか?」
チャリの後ろに立ち乗りしながらぼやく架純。
「えっ、そうなの?普通じゃないの?」
「短すぎですよー!ビックリしましたもん!」
「そっちはどんくらいあったの?」
「40日くらいはあったと思いますよ?」
「マジで?一ヶ月以上もあんの!?」
お互いに軽いカルチャーショックを受けていた。
夏休み初日───
俺と架純は早速海へ向かっていた。
架純の希望
桜の木の下で出逢った女の話~第8話
夏休みが明けると途端に夏の終わりを感じる。
この晩夏に押し寄せる切なさは
夕焼けのそれに似ているのかも知れない。
別に夏が好きってわけじゃないのだが
何故だか決まって感傷的になるから不思議だ。
特にこの年の夏は
架純と過ごす毎日が楽しかったってのもあったんだと思う。
9月になり、誕生日が来た。
初めて架純の家に招待され
凄まじく緊張したのを覚えてる。
架純のお母さんが
「彼氏なん?彼氏
桜の木の下で出逢った女の話~第9話
卒業式は3月13日だったと思う。
式の最中も頭に過ったのは
すべて架純との思い出だった。
架純と出会った時から今この時まで
春も夏も秋も冬も
いつだって架純の笑顔が隣にあった。
わずか一年にも満たない日々だったけれど
それが俺の中学校生活のすべてになっていた。
ホント泣きそうになったけど
とにかく必死で堪えてた。
だって他の人から見たら
“ぼっち”だった俺に何の思い入れがあって
泣いてる
桜の木の下で出逢った女の話~最終話
架純がいなくなって
そして俺の高校生活は始まった。
同じ中学校出身の奴は一人もいなかったが
すっかり人付き合いから遠ざかっていた俺は
なかなか友達もできずにいた。
と言っても一人が楽になっていた部分もあったし
人を寄せ付けないオーラでも出していたんだろう。
架純はというと
千葉では上手くやっているそうだ。
『もう標準語もお手のもんやで!』
と本気なのかジョークなのか分からないことを言ってい