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彼氏品評会に参加する

23:17
いとこの彼氏に会ったことがある。

まず断りを入れておくが、私は恋愛の何たるかをほとんど忘れ去ってしまったので、誰かを彼氏という役職に就かせたことがここ5年以上ない。
「私の彼氏」という役職は名ばかりで、その実態は「親友」だ。なぜなら恋人らしい行動は全く私が出来ないからだ!!恋人繋ぎ?そんなものは少女漫画が生み出した幻想である。

私と手を繋ぐのはだいぶハードなタスクだと思う。皮膚が弱いせいで普段から厨二病じみた包帯を両手のひらに巻き、指サックをしている。そのため包帯を巻いてクリームパン見たくなった手を握る握力が必要で、さらに人間の温もりを感じられず包帯の生地を感じることになる虚しさに耐えていただく。
それに、これらを危惧して「いやぁ、やめた方がいいよぉ〜」と中々の拒絶を示す私を説得する必要がある。
恋人繋ぎに関しては指サックのおかげで指と指の間に隙間なんてものがない。自己防衛バッチリである。

こんな女嫌や。ええ、私もそう思います。


それに対して、このいとこ(25)は相当な人たらしで、だいぶモテる方なのは方々に承知の事実である。
彼女は素でド天然なところがある。
今回も緊張している自分の恋人に対して、「借りてきた犬みたいやなぁ!」と素で言った。「借りてきた猫」という言葉は知っていなかった。この比喩のセンスはなかなかの逸材だと思う。
彼女が大学生になったばかりの頃、3か月で7人から交際の申し出があっと聞いた際はさすがに耳を疑った。

実際会ってみて、彼女の交際相手はいいひとだ。まぁ彼女にデレデレなところを見ると、ぐへへへ、落とされてやんのと思いますが。

そしてその彼氏が自分好みかどうかの品評会が始まる。審査員は、いとこ(25)、いとこ(21)、私(19)、いとこ(16)である。品評対象者は今回ご登場頂いている彼氏さん、そしていとこ(25)の元カレの画像達でございます。
意外と意見がわかれ、こちらの方がタイプだ、やら声は彼の方が好みだった、やらの意見交換が彼氏の眼前で行われた。
節操ねぇなぁとお思いだろう?

「いや、俺はこの人よりはイケてると思うで」

本人も乗り気である。
参加者が増えたことで品評会はさらに盛り上がる。めちゃくちゃ楽しい。しかし、この談議に結論は存在しない。なぜなら、いとこ達には各々彼氏がおり、その人が1番という個人の結論があり、各々がその人に近い人物を推すからだ。

ふっ、所詮茶番ということです。私は本気で見ていたがな。フリーなんで。ふざけんな。


いいもん、長身で筋肉質で、精神的にも物理的にも包容力のある人がきっと見つかるもん!
探そう!
そうしてゴールデンカムイの漫画のページをめくりながら彼氏に挨拶し、部屋を出ていった。

おしまい


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