OVER THE RAINBOW
おはようございます!
今回も倉木麻衣さんの本編オリジナルアルバムレビューやっていきます。
アルバム概要
今回レビューするのは「OVER THE RAINBOW」
2012.1.11にリリースされた、倉木さんの10枚目のオリジナルアルバムです。
2011.3.11の東日本大震災を受けて、倉木さんが「人との繋がり」を意識して、「雨の中でも一緒に頑張って前に進んで虹を見よう」といったメッセージが込められています。
また、収録された12曲がそれぞれ繋がって、虹のように空を、そして人をつなぐ橋になる、というような意味もあるそうです。
僕は震災当時は九州地方に住んでいて、直接的な経験は特にしていませんが、まだまだ爪痕は残っているところもありますよね。
今回のアルバムからは僕がまだ倉木さんのアルバムを聞くようになる前のアルバムになるので、意識的にアルバムのテーマを、当時の背景と共に振り返ってみたりしているのですが、もうほぼ10年前のアルバムですよ。それだけでビックリなのに、さらに倉木さんのすごいことは、どのアルバムも確かに誰かに伝えるメッセージや応援の言葉が詰め込まれているのに、どれも全然違う意味があるってことですよね。
それこそ僕が考えたら毎回「Smile」とかになってしまいそうです。
とまあ、そんなわけで今回からは当時のエピソードとかも特にないので、じゃんじゃん楽曲レビューやっていきたいと思います!
1.Strong Heart
1st DVDシングル(当初は38thシングルになる予定でしたが、急遽変更になったらしいです)。DVDシングルでありながら、MVは存在せず、シングルに収録されたのはライブ映像でした(alwaysのオマケつき)。ドラマ「HUNTER〜その女たち、賞金稼ぎ〜」主題歌で、ドラマタイアップはなんとこの曲以降10年後の「Can you feel my heart」までありませんでした。
曲の方はクールに仕上がっており、切なさも混じる失恋ソングとなっています。辛い思いを堪えながら芯を強く生きていく女性像が描かれていますね。ラストサビ後、倉木さんの超高音と低音が重なっているパート(語彙力)は、迫力満点聞き応え抜群です。アルバムの1曲目として力強さもインパクトも充分です。
2.another day*another world
「Strong Heart」に続いてとてもカッコいい曲です。大野愛果さん作曲ですが、いい意味で大野さんっぽくない気がします。
歌詞には一切漢字が使われておらず、なんというか、生々しい気持ちがより伝わるといった感じでしょうか。「内なる何かが爆発した」みたいな。
GIRGIOさんの提供曲が多い今作では、ボーカルは高音が多いのですが、この曲は低音の力強さが引き立てられているので、一際存在感がある一曲です。サウンドは電子音が多く、前回レビューしたEDM系統の楽曲たちの先駆けなのかもしれません。
3.さよならは まだ言わないで
〜album ver.〜
35thシングル「1000万回のキス」のカップリング曲、シングル版とはアレンジが異なるアルバムバージョンで収録されました。
シングルバージョンよりアレンジやコーラスが重厚になりました。僕はこっちの方が好きです。
タイトルはなんかバラードっぽい(あくまで個人的な印象)ですが、実際はポップで明るい曲です。
歌詞としては「別れた訳ではないけど、今は会えない恋人への思い」といったところでしょうか。
「さよならは… まだ言わないで」の部分なんかも含めてサビのメロディは口ずさみやすく、耳に残りがちな曲だと思います。
4.Stay the same
サンリオ「Wish me mell」のテーマソングです。サンリオコラボの系譜は10年後の「ひとりじゃない」に引き継がれます。
サンリオらしく(?)、可愛らしいサウンドとボーカルが特徴的な楽曲です。
歌詞はひたすらにポジティブで、元気がもらえる曲です。また、これもGIRGIOさんの曲なので、バンバン高音が出てきて、倉木さんの歌声の高音の響きの美しさが聞ける曲でもあります。
5.Your Best Friend
37thシングル、名探偵コナンEDテーマです。今作唯一のコナン主題歌な点や、近年のライブでも歌われることが多いこの曲はおそらく今作の収録曲の中で1番有名な曲だと思います。
ここからしばらくバラード曲が続きますが、そのトップバッターとして、中でも最高レベルのクオリティに仕上がっています。
とにかく音域が広い広いの何のそのです。高音大好き(?)GIRGIOさんの曲なので超高音はもちろんたくさん出てきますが、Aメロでは低音も多く、Bメロ→サビとどんどん音域が上がっていき、盛り上がる構成になっています。
そして歌詞の方は倉木さんの曲ではたくさんありそうで意外と少ない「大切な親友へ向けた歌」になっています。家族や恋人ともまた違った親友との関係が素敵な言葉で描写されています。
どこもいいんですが、特筆すべきはAメロを中心に複数回登場する「〜 I/you know」の部分です。意味としては「わかってるよ」とか「わかってるよね」だと思うんですが、英語になっているのがメロディとマッチしてて、ジーンときます。このアルバムの中では1.2を争うレベルで好きな曲です。
6.もう一度
36thシングル、ドラマ「霧に棲む悪魔」主題歌です。切ない系バラードです。王道なJpopバラードという感じですが、意外と倉木さんの曲としてはこのタイプは初登場かもしれません。叙情的なメロディで、儚げな声と「もう一度…」と繰り返される歌詞がとにかく切ないです。切ないです(語彙力、笑)。
7.Brave your heart
日中友好40周年記念映画「明日へ架ける愛」主題歌で、表記はないですが、中国の俳優さんのアレックス・ルーさんのデュオ曲になっています。
なんか王子様と王女様が歌ってそうな、ちょっとディズニーチックな壮大っぽいバラードです(意味不明気味な抽象的文章になってしまいましたが、僕的にはそんな印象です)。
「もう一度」と並んでメロディラインが綺麗な曲です。
8.Sun will shine on u
長らく続いたバラード編の最終章にして最高の名曲がやってきました。
「String Heart」や「Your Best Friend」に続き、倉木さんの超高音や低音を堪能できるGIRGIOさんの楽曲です。
倉木さん曰く、デモを聞いたときに一人でハードルに立ち向かう姿が浮かんだそうです。そのイメージ通り、1人で頑張る姿を、そばで支えてくれるような、まさにいつか必ず昇る太陽のような温かさを持った曲です。
辛い時などに聞けば、倉木さんが心から応援してくれているような感覚であると同時に、それと同じように自分も大切な人を支えたい、そう思いたくなる不思議なパワーを持っています。
この「OVER THE RAINBOW」含め、GIRGIOさんとの曲はいくつかありますが、この曲はその中でも集大成的な存在なんじゃないかなと思います。ぜひ一度聞いてほしい曲です。
9.Love one another
この曲はバラードではないですが、落ち着いた雰囲気の曲です。なんだかアマゾンの奥地にいるような、オーガニックなサウンドが印象的です。
倉木さんのボーカルもめっちゃウィスパーで、コーラスでデビュー当時からコラボしているマイケル・アフリックさんの声もよく聞こえるので、昔の倉木さんっぽいのかもしれません。
歌詞の内容としては「家族愛」がテーマなのかな?と僕は勝手に思ってます。「母なる大地」感がすごいです。
10.step by step
37thシングル「Your Best Friend」のカップリング曲です。急激にアップテンポな曲がやってきます。めちゃくちゃ早口で歌詞が詰め込まれており、「とにかく前に進もうよ!」みたいな曲です。「衝動的な夜に飛び出してみたら今まで見えない景色が見えた」という感じもあって、「Stay the same」と似たような可愛らしいサウンドも登場します。
11.1000万回のキス
なぜか今作収録のシングルで唯一ベストアルバムに収録されなかった悲しみの35thシングル、KOSE「エスプリーク・プレシャス」CMソングです。10周年の「わたしの、しらない、わたし。」から始まったKOSEタイアップ最後の曲でもあります。作曲は大野愛果さんで、どうやら歌謡曲っぽいらしいです(僕は平成生まれなので歌謡曲というものにイマイチ馴染みがないのですが…)。
でも1コーラス目はピアノだけで、2コーラス目からどんどん盛り上がっていく構成はいい感じです。メロディラインも大野さんの良さが出ていると思います。
12.ラララ*ラ
今作ラストはサンバ調のアップテンポな曲で締めくくられます。「ラララ*ラ…」のところは思わず一緒に口ずさみたくなるノリノリな曲です。
またAメロの部分をメロディの区切りごとに分けて縦読みすると「アイシテ」になるという小ネタ(?)もあります。
初回限定盤DVD MV集
1.1000万回のキス
2.もう一度
3.Your Best Friend
4.Brave your heart
5.Stay the same
今回はMVが5曲も入って豪華です。
でも特典の域を出ていないというか、必聴もののは別にないですかね…。興味ある方は探してみてください。
それよりもレビューしたいものがあるので、先に進みます。
これから紹介させていただく、
「どうして好きなんだろう」
「言葉にできないほど好きなのに」
の2曲は先程から何度もお名前が登場していた、GIRGIO CANCEMIさんのソロプロジェクト、
「NERDHEAD」の「feat. Mai-K」となっており、ただの提供曲ではなく、お2人が歌唱している、ガッツリコラボ曲となっており、めちゃくちゃ良い曲たちです。ちなみに楽曲の方は、作曲だけでなく、作詞もGIRGIOさんが全てされているようです。
EX.どうして好きなんだろう
珠玉のバラード曲です。一応コラボ曲ですが、倉木さんのボーカル部分が多めです。
この曲はマジ名曲なんですけど、リリースがもっと最近だったら絶対もっと話題になっただろうって勝手に確信してます(もっとも当時どれくらいの話題性だったのもわかりませんが笑)。
普段の倉木さんなら書かないようなどストレートな恋愛の歌詞なので、聞き応えもありますし、共感できる内容もたくさんです。そして何よりもGIRGIOさんが描くメロディラインは相変わらず倉木さんの低音と超高音の魅力を最大限引き出しています。ラップとの相性もグッドです。
そしてピアノやストリングス、アコギの音色も映えていて、とても完成度の高い曲に仕上がっています。
EX.言葉にできないほど好きなのに
「どうして好きなんだろう」よりテンポが上がり、GIRGIOさんのラップが増えました。
サウンド的には「どうして好きなんだろう」よりポップで明るくなってますが、「どうして好きなんだろう」は「叶わぬ恋」っぽい歌詞なのに対して、こちらは「円満な(?)別れ」が描かれているので、内容的にはこちらの方が切ないです。
2番に登場する歌詞「maybe we’re more than friends でも we’re not lover」が全てを物語っています。この部分、倉木さんの歌い方もめちゃくちゃエモいので絶対聞いてみてほしいです。
「どうして好きなんだろう」
「言葉にできないほど好きなのに」
の2曲は、「倉木麻衣」ではなく「NERDHEAD」の楽曲なので、サブスクで聞くことができます!
「OVER THE RAINBOW」が聞けなくても、この2曲が聞ければ「あ、こんな感じなんだ〜、」と思えると思います。そして、この2曲はめっちゃいい曲なのでこの2曲を聞いたら「OVER THE RAINBOW」を聞かずにはいられなくなります。(暴論、笑)。
ぜひ一度聞いてみてほしいです。
総評
東日本大震災を受けて制作されたということもあって、あたたかい曲、人とのつながりをより強く感じられる曲が多く収録されています。
そしてその12曲は、本当に虹のように、美しく、滑らかにつながっていて、聞く人の心を洗ってくれる1枚です。癒し度でいったら、倉木さんのアルバムの中でもトップレベルの争いに参加できるのではないでしょうか。
また、このアルバムが現在の倉木さんの「人に伝える」という音楽性の原点になっている部分も大きいのかな、と思います。歴代のアルバムコンセプトなど比べてみると、やはりこのアルバム以降、メッセージ性が強くなっていると思うんですよね。このアルバムリリース後、しばらくして倉木さんはスランプに陥ってしまいますが、逆にそれをきっかけに音楽に対する思いも強まって、より強いメッセージを持つ素晴らしい音楽(具体例を挙げると「Smile」というアルバム)につながっていっているように感じます。
そういう意味でも、倉木さんの音楽に「虹の架け橋」として新たな可能性を見出した大切な1枚なのではないでしょうか。
最後に
というわけで、あっさり目でしたが(前々回の「Smile」が濃すぎただけです笑)今回は倉木麻衣さんの10枚目のオリジナルアルバム「OVER THE RAINBOW」のレビューをしてみました。いかがでしたでしょうか?これを読んで、少しでも多くの方に倉木さんの音楽が伝わればいいなと思います。
P.S.
こうやってレビューを書いていると、自分の語彙力のなさに泣きたくなります。そして、今後進んでいくと、どんどん僕がリアルタイムを知らないアルバムになっていくので、楽曲間格差がすごいことになりそうです…。頑張ります。
もしよろしければサポートよろしくお願いします。サポートでいただいたものは何か新しいことに挑戦するときに使わせていただきたいと思います。