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「聴く」事例1


私はその時、息子に腹が立っていた

彼は当たり前に人に優しく過ごしているだけだったのだけど
どうしてもイライラする自分が抑えきれなかった

そのことを聴ける友達に話した

「なぜかわかんないけど彼が優しいことは別にいいことなのに
 イライラするんだよね」

「そうなんだね。どんなとこイライラするの?」

「自分の思ってることより人の考えてること優先したりするのが特にイライラする」

「そっかそっか。その時どんなふうに思うの?」

「人のこと優先してると自分のこと大事にできないぞ!とか
 自分の考えに蓋すると後から自分の願いとかわからなくなるぞ!とか
 生きていくのが大変だぞ!とかかな」

「そうかそうか。るいはそう思うんだね
 それは誰が誰に言ってるセリフだろうね?」

「え、私が息子に思ってることだけど、私の感情が振れてるってことは
 私が私に言ってるってこと・・・?」

「どう思う?」

「おわー そうなのかな そうかもしれないけど、でも納得できない笑」

「じゃあ今の話をしてて、関連してなんか自分の中に湧き上がるものとか思い出とかないの?」

「やさしいと言えば1個上のお兄ちゃんなんだよね
 彼はとにかくやさしくて、自分の意見をあまり言わない
 その結果、自分の人生の方向も周りによかれと思われる方向にしたんだよね」

「そこから関連して思い出すことある?」

「彼と私は双子のように育ってるんだけど、私が幼稚園の年長になった時、彼は小学生になったから初めてバラバラで登園したのだけど、その事実に気づいた時、5歳のるいちゃんは玄関で泣いたんだって
今思えば、彼は私の世界だったのだけど、初めて世界と分離した記憶がそこなんだろうね」

「そうかそうか。お兄ちゃんが優しい人だってことに対してどう思ってたの?」

「るいはどこまでも不器用なやつなんだと思ってたよ
 自分が犠牲になる必要あるのかと」

「犠牲になってると感じるお兄ちゃんをみてて、本当はるいはどうしたかったんだろうね?」

「本当は、、、、助けてあげたかった
 無理しなくていいよって言いたかった
 応援したかったのに、できなかった
 なんでそんなことするの?と思ってた

 るいは助けてあげたかったんだ
 応援したかったんだ

 知らなかった」

「そうなんだね」

「うん。るいは助けられない自分が嫌だったし、しわ寄せがくるそういう世界がいやだったんだ」

「うんうん」

「そして今ふと思ったけど、お兄ちゃんがそうと言うよりるい自身がそうだったんじゃないかな。るい自身がやさしい人だったんだ。それをお兄ちゃんに投影してただけだったんだ。
 やさしい人がやさしいままで幸せになれる社会にしたいんだ」

 今ではだいぶ息子にもイライラしなくなりました(時々はする)



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