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ジャズギター「これをやったらうまくなった」と思う7つのこと

ジャズギターのレッスンのときに「先生はどんな練習をしてきましたか(もしくはしていますか)?」と質問されることがよくあります。

これからもそのような質問をされることがあるかと思うので、自身の経験はもちろんのこと、尊敬している先生方、先輩方、そして音楽仲間の意見も参考にしつつまとめてみました。

たくさんありすぎるので、今回は、特に私自身「これは役に立った」と強く思う7つを紹介いたします。

1.耳コピ

音楽学校の学生時代に、ずば抜けて上手いギタリスト(同学年だが5つ年上)がいて、彼に「どんな練習をしているの?」と質問をしたところ即答で「耳コピだよ!耳コピ!」と返されました。何か特別な練習方法など聞けるかと思って期待をしていたのですがその返答ぶりに唖然としてしまいました。でも、それから25年ほど経ったいま、彼の助言は間違いなかったと断言できます。それでは耳コピによって何が得られる恩恵を、自身の経験に基づき記しておきます。

・分析能力が身についた
・テクニックが身についた
・譜面(五線譜)の書き方を覚えた
・耳が良くなった

・分析能力が身についた
コピーするだけで終わらせたら、コピーが上手くなるだけで、本来の目的である“即興能力”は上がりません。「なぜそこでその音づかいをしているのか?」「どのポジションで、どういう運指で弾いているのか?」など、深く深く考えて、自分なりの答えが出せたときに初めて、血となり肉となるのだと思います。

・テクニックが身についた
コピーもして分析ができたとしても、そこで終わらせてしまったら本来の目的である“即興演奏をする”ことはできません。音源から聴こえてくるグルーブやアーティキュレーションも含めて真似(練習)します。

・譜面(五線譜)の書き方を覚えた
音を拾えても、それを五線譜上にどのように記譜すれば良いのか?最初は全く分かりませんでしたが、市販されている譜面を見て答え合わせしたり、エッセンシャルディクショナリー※1で書き方を学んだりしました。
※1 『Essential Dictionary of MUSIC NOTATION』のこと。現在はYAMAHAから『楽典 楽譜の書き方』で発売中

・耳が良くなった
音が聞き取れるまで何度も何度も聞き返すので、ある意味イヤートレーニングですよね。結果的に耳が良くなっただけではなく、採譜を通じてリズムも良くなったかと思います。

2.暗譜

暗譜とは楽譜を見ないで演奏できることです。つまり曲を覚えている状態を指します。では「曲を覚える」というのは、具体的にはどういう状態を指すのでしょうか。

「曲を覚える」とは? 
「曲を覚える」とは、ここでは単純に「譜面を見ないで演奏できる」ということだけではなく、以下の内容も含むものとします。
・メロディーとコードの関連性をしっかりと理解している
・5年後、10年後、それ以降も覚えている

「曲を覚える」と何が良いのか?
まずは余裕が生まれます。余裕があるので、自分の演奏のことはもちろんのこと、他の演奏者が何をやっているのか?それに対してどのようにレスポンスしたら良いのか?などなど、色んなことに気を回せるようになります。あとはお客さんの目線で考えると、譜面をガン見しながら無愛想に弾いているミュージシャンより、譜面を見ずにお客さんや、共演者と向き合っているミュージシャンの方がカッコいいですよね。もちろん、譜面を見ながら弾くというのも技術のひとつですし、読譜能力の高いミュージシャンであれば、譜面を見つつもちゃんと耳とマインドは他にちゃんと向き合っていますので、一概に「譜面を見ちゃダメ」という訳ではありません。でも、初級~中級のうちは、できる限りしっかりと1曲1曲、深く深く覚えていきたいものです。

3.コードトーン

私は学生時代、即興演奏はできても、なんかジャズっぽくならない、そんなモヤモヤした気持ちを持ちながらも日々スケール練習をしていました。そんなある日「トライアドの練習が良い」との情報を得て練習するようになりました。するとどうでしょう?いままでコピーしてきたものや何気なく伴奏していたものがトライアドだということに気がついたのです。そもそも私はジャズギターをやる以前はバリバリのロック少年。Yngwie Malmsteenを始めあらゆる速弾き系のギタリストの曲をコピーしていました。そことリンクした時の感動は今でも忘れられません。

さて、話は戻って、なぜコードトーンが良いのか?というお話をします。そもそもスケールだけを練習していた頃は、ただ曲のKeyに合わせて何となくスケールを上下に弾いていただけだったのです。もちろん、スケールを上下に適当に弾いただけでも即興は即興ですし、これはこれで弾いていて気持ちが良いものです。ただし、それは伴奏があってこそ気持ちが良いのであって、伴奏をなくして同じことをしたらとても薄っぺらい音楽になるはずです。もちろん、コードトーンだけを弾いてもジャズっぽくはなりません。コードトーンに装飾音、経過音なども織り交ぜて初めてジャズの匂いが漂ってくるのです。いずれにしても、コードトーンをコントロールできるようになってからがスタート。コードトーンの延長線上にスケールがあるという感覚がつかめると、スケールはより活きてくるはずです。

4.Charlie Parker

Charlie Parkerの曲にチャレンジしてみましょう。おすすめの曲はDonna LeeとConfirmation。ジャズ特有の代理和音、装飾音、アーティキュレーションが満載なので、テーマをコピーするだけでもかなり勉強になるかと思います。トランスクライブ(耳コピ)するのがベストですが、オムニブックもおすすめです。技術的にはギターで弾くには難易度が高めなので、ギター初心者の方にはおすすめできませんが、いつかチャレンジしていただきたいです。

5.セッション

個人練習とセッションは、まるで別物です。セッションの醍醐味は共演者や聴衆と反応し合うことです。しかしながら、セッションの場においても個人練習しているのとあまり変わらない方もいます。技術的な問題も大きいですが、マインドの問題もあるかと思います。如何にオープンマインドでいられるか?それが試される場こそセッションです。あと、セッションに参加することによって、いろんな曲や、演奏パターンを経験できます。近年ではセッションできる場所がかなり増えたように思います。「もっと上手くなってから行く」という気持ちも十分に理解はできますが、百聞は一見にしかず、1〜2曲でも弾ける曲ができたら勇気をもって参加してみましょう。

6.CAGED

「CAGED」とはコードのフォームのことで、それらのコードフォームとスケール・コードトーン・メロディーを関連付けて覚えようということです。ジャンルを問わず、あらゆるギタリストがこのシステムを意識的・無意識的に採用しているかと思います。私がこのシステムを採用したのは、実は講師になってから。2000年頃の話です。ちょうどその頃、みなさんご存知のトモ藤田さんの教本が発売されて、私はそれを見て衝撃を受けました。とにかく当時は「こんな合理的な捉え方があるんだー!」と目からウロコでした。このシステムを取り入れてからは、指板の捉え方と運指が明確になり、覚えるのが早くなったり、ミスが減ったりと良いことづくめ。もちろん、システムに囚われすぎてしまうと、自由な発想の妨げにもなるので依存しすぎるのも問題。このあたりはうまくバランスを取っていきたいところ。

7.クラシック

私は30代半ばで本格的にクラシックギターを学ぶようになりました。現在も継続中ですし、これからもずっと学び続けていきます。具体的にはカルリ、カルカッシ、ソル、タレガあたりのエチュードや小曲を練習しています。さて、なぜクラシックが良いのか?それは「ギターを弾く」ということを、根本的に見つめ直すことができるからです。それは右手や左手のフォームだったり、音の出し方、脱力、奏法全般、諸々1から考え直しました。結果、エレキに持ち替えたときに、より自由な運指やポジションの捉え方ができうようになったり、ピックの扱い方も変わり、音色のバリエーションがとても増えたように思います。

まとめ

1.耳コピ
2.暗譜
3.コードトーン
4.Charlie Parker
5.セッション
6.CAGED
7.クラシック

以上7つの項目をバーっと思いつくまでに書き記しました。これはあくまでも私が思ったことです。私自身ジャズを始めたのがギターを始めてから3〜4年目で、テクニック的にはある程度出来上がっていた状態だったので、そのような経緯を踏まえた上で参考にしていただけたら幸いです。それでは楽しいジャズギターライフをお過ごしください!!!







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