"PLG"か"SLG"で企業を選ぶのではなく、プロダクト開発の意思決定納得度。
こんにちは。クライス&カンパニーの山本です。
今回は最近PM界隈で飛び交っている、そしてクライス&カンパニーPMチーム内で流行語大賞となっている”Product-led Growth”に注目をして発信したいと思います。
とはいえ実際のプロダクト開発すらしたことのない弊社PMチーム、、、。
探してみるとMagic Momentさんの記事でこんなものがありました。
ただ、いざ転職者になった際に、上記リンクの視点だけで見極めるのはとてもむずかしいもの(そもそも見極めるための記事ではない)。
そこで今回は”あくまでも転職エージェント”の視点から、最近議論している論点や解釈を記載していきたいと思います。
なお、”Product-led Growth”も、その対義語?として使われる”Sales-led Growth”も非常に長い文字列なので、ここではPLG、SLGと略させていただきますね。
僕らの思うProduct-led Growth企業とは
最近弊社でもProduct-led Growth(企業)という単語をよく使うようになりました。この単語が流行る前は「プロダクトドリブン(企業)」という言葉も使っていましたが、正直その違いをしっかりとは説明できておりません・・・。
ただ、伝えたいのは、
・経営陣がプロダクト開発を重視してて、
・セールスの力に頼るのではなく、プロダクトを磨くことで売れていく状態を作っていて、
・ちゃんとWhyやWhatからPMが関わっていける(ビズ側から「これ作って!」と言われる環境ではない)、
ような企業さんがどんどん増えて欲しいし、そんな企業に優秀なPMの方が集っていってほしい、という想いを持ちながら日々お話をしています。
なぜならば、PMの方々とお話ししていると、結構な方が
「自分の会社ってプロダクト開発を重要視していないのでは」
と不安に思ったり、危機感を覚えているためです。
※こちらをご参照ください:PM転職理由あるあるTop3
そんな僕らはPLGをどう捉えているかというと、
・プロダクトが改善/バージョンアップすることで、勝手にプロダクトが売れていく状態(もしくはアップセル/クロスセルが起きる状態)
・ユーザー間で口コミが飛び交い、アウトバウンドセールスではなく、インバウンドで問い合わせがゴリゴリきている状態
・セールスチームがプロダクトについて詳細に語れる状態(プロダクトについて詳しく理解できている)
・社長から一メンバーまで、プロダクトで実現したい世界観がほぼ同じように語れる状態
かなと思っています。
上記のようなプロダクト環境って、きっとPMの誰もが理想と掲げるのかもしれませんが、いかんせんどこにそんな理想郷が存在するのかは誰もわからない状況です。
また、先日顧問の及川との飲み会で、PLGについて質問攻めをしたところ
なかなか面接や面談レベルでここを見極めるのは難しいよね、という話でした。
ただディスカッションの中で光が指したのは、
・フリーミアムモデルをやっているプロダクトはPLGといえるのではないか
・経営者や社長のインタビュー等を見れば比較的プロダクト重視しているかはわかる(きっとTwitter等も同じ)
・え、そもそもSales-led Growth(SLG)との両立もあるんじゃないの?
といった意見も出てきており、これはまだまだ議論・深堀りの価値があるぞ、と思っている今日この頃でございます。
Sales-led Growth企業とは・・?
では逆にSLGの企業とはどういったものかを考えてみました。実例や実際のPMの方々からいただいた転職理由をベースに考えると、以下のような状態を指すかなと思っています。
・会社の成長(売上拡大)はセールス&マーケチームを中心に進めることで達成できるという考えの状態
・事業計画や事業戦略として「どこをどう攻めていくか」の方針をたて、そこを細分化して各チームに落とし込んでいく形
・開発テーマは、現場に接しているセールスチームやカスタマーサクセスチーム主導で決定していく/されていく状態
・プロダクトの価値はセールスチームが現場で自ら伝えていくことで売れる状態を作っていくという考え方
あくまでもビジネスの中心はセールス&マーケティングであるため、参入障壁の高いような業界であったり、商談期間が長い(顧客に入り込んでいかないと導入してもらえない)ようなプロダクトであったりすることも多いです。
"The MODEL"に代表されるようなSaaS企業は、元々SLGが多かったのではないでしょうか。
ただ、PLGとSLGは両極の考え方なのか?本当に対義語なのか?と最近企業さんとお話しする中で悩むようになってきました。
そもそもPLGとSLGって対義語なのか?両立するのでは?
なぜそう思ったかというと、「PLGとSLGは会社の方針やカルチャーの違いではなく、プロダクトのフェーズによって変わりうるのではないか?」と、考えたためです。
これはSmartHRさんとの座談会を通じて感じた点でもありました。
(弊社からのAnswer noteはこちら)
というのも、
・我々の定義ではSmartHRさんはきっとPLGだろう(かなり強い確信)
・ただ、状況によってはセールスチームがゴリゴリとエンプラを開拓すべきフェーズやタイミングがきっと来る(来てた)んじゃないか
・そうなると、どうしても既存の改善よりも、新規向けの開発を優先している時が来る(来てた)んじゃないか
・というかもっと一般論で考えた時に、上場企業であれば常に事業拡大のプレッシャーに追われるので、セールスとして拡大しなきゃいけないタイミングもあるんじゃないか。
・PMは趣味でやってるんじゃなく、資本主義企業で勤めているんだから、どこかではセールスのことも考えないと、それはただのわがまま開発者になってしまうんじゃないか
という思いが頭の中を錯綜したためです。
そういった点をPMチームや及川と議論しているうちに、私の中では1つの結論(と言い切ってしまって良いかまではわからないけれど)に達しました。それは、
・企業(やプロダクト)には成長していくフェーズがあるため、時にPLG、時にSLGという状況があってもいいのではないか。
・声高らかに「PLG! PLG! PLG!」と叫んでも、どこかではセールスやマーケの力で非連続な拡大をするタイミングがきっとどのプロダクトにもあるのではないか
・つまりPLGとSLGはフェーズの違いによって変化し、1つの企業内で両立するのではないか
という考えです。
実際問題、SmartHRさんでもエンプラ向けの開発が必要になるケースは過去存在されていたようです。ただ、その際にPMチームの方々はおそらく「あぁエンプラに心を売ってしまったか、、PLGサヨナラ」と思っていないはずです。
ではなぜそうならないのか、それは意思決定の仕方/仕組みにあると考えています。
プロダクト開発が意思決定の上で重要視されているか
PMチームで賛同を得られているわけではないのですが笑、私が個人的に思っている「真の意味でプロダクト開発を重要視している企業」(みなさんにおすすめしたい企業)は、PLGかSLGではなく、
プロダクト開発の意思決定が、PMの方々の声も反映された上で、納得感を持ってされているか
だと思っています。
もし、PLGかSLGかで見極めてしまうと、企業やプロダクトのフェーズによっては、「あっ、この会社はプロダクトを大事にしてない、売上先行だ」と捉えてしまうかもしれません。
もちろんどのフェーズでその企業にジョインするかは大事な視点なので、今がPLGかSLGかを見極めるのは大事な要素の1つではありますが、「会社としてプロダクト開発を重要視しているけれど、今はSLGのタイミングの企業」も存在すると思っています。
一方で、タイミングによらず、その会社が真の意味でプロダクト開発を重要視していれば、きっとPMの方にとっては理想郷になりえるはずです。
私がなぜ「プロダクト開発の意思決定が、PMの方々の声も反映された上で、納得感を持ってされているか」が大事かと思ったかでいうと、ひとえに
・転職理由Top3のいずれも「納得感がない状況で開発だけ進めている」
一方で、
・SmartHRの方々は「納得感を持って開発を進められている」
という違いを感じたためです。
つまり、PMの方々(全員でないとしても)がプロダクトロードマップの意思決定に関わり、開発の優先順位の議論や意思決定に携わって、その声が反映さえされれば、極論その会社はプロダクト開発を重要視していると、言ってもいいのではないでしょうか。
どうやって「意思決定に納得感があるか」を見極めるのか
では、どうやってそれを見極めればか。
これも最近の私の仮説の1つなのですが、
ジレンマやトレードオフの状況になった場合の、企業としての意思決定の仕方を聞く(過去/未来でもOK)
だと考えています。要は、
・既存SMB向けプロダクトの改善 VS 新規エンプラ向けの開発 となった際にどうやって意思決定をするか(どっちを優先するかの勝敗ではなく、意思決定の仕方)
・プロダクトロードマップづくりに誰が参加しているか
・何を開発するかは誰がどう決めていくか
・セールスが持ち帰ってきたユーザーの不満や改善要望を受けた後、どのように動いていくか(そのまま開発にGoなのか、ユーザーインタビューをしなおすのか等)
と質問していく形です。
企業が転職者を見極める面接においては、度々
「●●さんは★★のシチューエーションの時、なぜそう考えたのですか?」
「■■という状況だったら、あなたならどうしますか?」
という質問をされるかと思いますが、上記はその逆バージョンになります。
意思決定時に”人”の考えは表れますが、それは”企業”にとっても同じなのではないでしょうか。
終わりに<最近気になる企業>
今回はまだPMチームとしての見解が固まりきってない「仮説」としてのnoteになっていますので、きっと賛否両論があるかと思います。
是非こうした発信がきっかけとなり、PMの方々にとってより良い環境が不増えていくことを切に願っています!
最後になりますが、セールスドリブンの企業(あえてSLGとは書かず)が、プロダクトドリブンの企業に生まれ変わろうとしている事例(ベルフェイスさん)を見つけました。とても興味深いので是非コンタクトしたいと思っています。
・ビジネスドリブンで急成長してきたベルフェイスにプロダクトマネジメントを取り入れたお話(戦略編) byベルフェイスさんのnote
https://note.com/iy_mocchi/n/n791ed694a54c
>ベルフェイスPMチームのみなさま
もしこのnoteを読んでくださっていたら是非お話を聞かせてください!!
(思いよ届け~~♪)
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※2022年5月31日追記
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