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PMについて気になるアレコレを及川さんに聞いてみた!

こんにちは。
クライス&カンパニーPM支援チームの櫻内です。

今回は先日公開されたPodcast「PMのアレコレを及川さんに聞いてみた!」との連動noteです。

ご存じの通り、弊社は及川さんに顧問として長らく支援頂いており、大変ありがたいことに定期的にミーティングで直接あれやこれやをお伺いする機会があります。
その一部を先日Podcastで公開しましたが、このnoteではもう少し詳しくご紹介していきます。


プロダクトビジョンの必要性

松永:「プロダクトビジョンの策定業務」って実際どれ位携われる機会はあるのでしょうか。候補者の方でよくご志向される方が多いのですが、プロダクトが0→1でない場合、そういった機会がそもそも少ないのではないかと。

及川さん:0→1の立ち上げフェーズでなくとも、1は過ぎて10位まで行きつつある或いはその過程ならば、実はプロダクトビジョンをはっきりと決めないままに進めてきてしまったために考える機会というのはあると思います。
また、ビジョンはどんどん変わっていって構いません。今のビジョンが達成できた状態にあるならば次のビジョンを考えるということもあります。

松永:ベンチャー企業に入社してプロダクトの成長とともに目指すものも変わってくるので、都度都度ビジョンを策定したりということもあれば、例えばSMBからエンプラへ戦略の転換があった際もチャンスがあるかもしれないということですね。

菱沼:「プロダクトビジョンを作ったことがある」というのは、どういった議論やプロセスを経て何まで作れていたら「やったことがある」と言えるのでしょうか。

及川さん:所謂「ミッションビジョンバリューを作りました」となると、ちゃんとした文字に起こすことになると思うので、それは成果や実績になると思います。
ただ、これを作るだけでは意味がなく、作ったことによってプロダクトや組織がどのように良い方向に変わったというところまで話せて初めて実績です。

松永:ビジョンが無いままプロダクト開発を進めていった時に、現場ではどのようなことが起こるのでしょうか。

及川さん:足し算引き算ですね。方向性に合わないものを足してしまうことは普通に起こります。
競合がある機能を追加したので自社でも同じような機能を追加したとして、競合と自社の方向性が一致しているとは限らない訳で、その機能を追加することが良いこととは限りません。
逆に、プロダクトが肥大化してきた際には何かを引かなければなりませんが、同様のことは引き算の際にも起こりえます。

先ほどSMBとエンプラの話が出ましたが、1人情シスのようなSMBをターゲットにしているプロダクトが、社員1万人情シス10名のエンプラ企業から問い合わせを受けて役割分担の機能を作りました!となったとしても1人情シスのところは困ってしまいますよね。

松永:判断基準のようになっているのが良いビジョンということなのでしょうか。迷った時に立ち返ったら判断が出来る、皆で同じ方向を向きなおせるようなイメージですよね。

グローバルプロダクトの成否を分けるもの

松永:グローバルプロダクトの成否を分ける要素として創業者を挙げられる方が多いです。
及川さんがいいなと思う創業者の特徴を宜しければ具体例を交えながら教えてください。

及川さん:オーティファイ株式会社の近澤さんでしょうか。Autifyはノーコードで行えるソフトウェアのテストの自動化プラットフォームです。

彼の何がすごいかと言うと、グローバルで勝負したいと夢を語るだけではなく、実際にそのために必要なステップを踏んでいる点です。
海外留学の経験がある訳ではないのですが、かなり努力をされて英語がペラペラですし、厳しい北米のアクセラレーターを欧米人に交じって卒業されています。
そして、オーティファイは米国で設立しています。最初からグローバルを意識してやられているところに違いを感じます。

山本:まず日本向けに作っていたりすると、やはりグローバルで勝負するのは難しくなるのでしょうか。

及川さん:国内に最適化されてしまうとグローバル展開が難しくなってしまうというのはあると思います。
また、投資家によっても、まずは国内で足固めをしてから海外展開をすべきだと仰る方も多いです。
グローバル展開はリスクが大きいので、小さくても良いので国内で成功をして欲しいと思われている方も中にはいます。日本のスタートアップがグロース市場へのスモールイグジットを目指してしまいがちなのは、経営者の志と投資家の思惑双方が影響しているように思います。

上場した方が資金調達がしやすくなったり、toBの会社は信用度に繋がるので、上場をしてから海外を目指すというのもありと言えばありです。

ただ、グローバル展開している会社をみていると、最初からグローバルを視野に入れて、かなり早期に米国なり欧州なりに足がかり的な拠点を設けています。

山本:プロダクト作りも人集めも、お金集めも当初からグローバルを想定していなと途中で切り替えるのは難しいということなのでしょうか。

及川さん:やはりそうですね。オーティファイも海外投資家にしっかり入ってもらっています。

山本:先日グローバル展開されている別の企業様にお話をお伺いした際には、お金の単位の持ち方ひとつをとっても全く違うと仰っていました。
日本は整数で十分ですが、海外はセント等があるために少数が入ってきます。そうなるとデータの持ち方も異なってくるので、一度日本向けに作ってから海外向けに作り直すのは大変だと。

松永:やはり最初からグローバルを目指すかどうかが成否を分けるのですね。
そうでない企業がこれから海外に出ていく場合に、及川さんだったらどんなアドバイスをされますか?

及川:海外を知る事です。例えば私の知っているケースでは、日本人以外の従業員が普通にいますし、マネジメント層にもいます。
グローバルに出ていく時に、コミュニケーションを全て英語にしていく等、特にリーダー層でのダイバーシティが必要です。

別の切り口になりますが、国内市場がどんどんシュリンクしていきますから、日本からユニコーンと言われる会社になるためには、領域次第では嫌でも最初からグローバルを見ざるを得ないという視点もあります。

変わっていけるレガシー企業とは

松永:今老舗の日系大手企業でもDXやプロダクトマネジメントニーズが高まっていますが、変わっていけるレガシー企業とそうでない企業の違いや見極め方をお伺いできますか。

及川さんが以前言及されていた、IT関連事業をやっている企業の方が実は変わりにくいというお話も詳しくお伺いしたいです。

及川さん:実際にこんなことがありました。

要するに主体性が全くない。

また、別企業さんでは、「IT系の事業をやってきたが故にやれることやれないことの縛り」があり、道筋がだいたい決まってしまっているというケースもありました。

それが得てしてプロダクト開発にとって良いことでないことの方が多い。おまけに当事者意識も持っておらず、上司が言う通りにやっていますという状況です。上司がアドバイスをする人として適切でないのであれば外すべきだし、もしくは上司にちゃんと理解をしてもらうべきですよね。或いは、その上司の方ご自身も、素早くプロダクトを出して成功させることが大事なのであれば、どのような役割に徹するべきか考えるべきですよね。
という様なお話をしても、結局上司が中心に動く構図が出来上がってしまっていて、いけていないです。

ただ、彼らは一般事業者と異なり、ものを作ってきただけに、本当に良いものを作れるかどうかは別にして作れてしまうんですね。

山本:今までのやり方は変えなければならない!と覆せるような責任者は同席されていないのでしょうか?

及川さん:契約の時だけいらっしゃって、その後いなくなります。結局危機感が無いのでしょうね。

松永:逆に大手だけれども、及川さんがここは頑張っているなと感じる会社さんはありますか?

及川さん:大手の会社さんでも変わっていくための動きが取れているところはあります。中途で必要な人材を入れていたり、若手でも優秀な方をキーマンに抜擢したり。
結果が出るかどうかは別にして、変革を進めようとしています。

菱沼:例えばDX子会社や出島的な組織をつくる会社さんもありますが、そういった会社は変革の可能性高いのでしょうか。

及川さん:そうとは限らないです。何故会社や組織を別にするかと言うと、カルチャーや給与テーブルを別にするためだと思います。
今はエンジニアの給与テーブルが高くなっているので、同じ会社で同じテーブルだと採用が難しいという側面や、既存の旧態依然とした風土とは一線を画して出島的に好きなことをやらせるという側面もあります。
これ自身は別に悪くはないと思います。
でも結局は本体の方を変えなければならないので、どこかでやはり本体側にマージしなければならないのだと思います。よく、ハレーションを避けるために別にしましょうと聞きますが、本来ならば良い意味でハレーションを起こさなければならないです。

なので、悪くはないと思いますが、必ずしもそれをやれば良い方向に進むとも言えないです。

武田:変わっていける大手企業とそうでないところは、一番何が違うのでしょうか。

及川さん:経営者ではないでしょうか。経営者の本気度です。

山本:海外では大手企業で良いプロダクトを出している企業もあるのですよね。書籍の際にアドバイスいただいた、NIKEなどが一例になりますか。

及川さん:NIKEは色々チャレンジしていますからね。上手くいくかどうかは別にしてNFTなど真っ先に作ったりしています

まとめ

いかがでしたでしょうか。グローバルプロダクトの話も、レガシー企業のDXの話も、創業者や経営者の本気度に帰結したのが印象的でした。
クライスPMチームは今年も本気でチャレンジする企業の要となるプロダクトマネージャーの採用支援に努めていきます!

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