見出し画像

(多分)どこよりも早い「Product Leaders 2022」まとめ

みなさんこんにちは。クライス&カンパニーの松永です!

10/7(金)、日本CPO協会主催のProduct Leaders 2022、聞いてきました。
今の日本のプロダクト組織が抱える悩みを、海外の企業はどう乗り越えたのかという観点で参考になる話が多く、とても有意義なイベントでした。

聞きながら走り書きメモに近い形で記録に残したので、皆様のご参考になれば!
※あくまでも私が気になるポイントをピックアップしているものですので、その点ご了承ください。

1.顧客中心のプロダクトリーダーシップ

テクノロジーにおける多くの課題は技術ではなく人の問題。

お客様が求めている製品体験を実現する必要がある。
結局のところ、プロダクトマネジメントの問題は全て人の問題。
お客様が求めるものを作るために人材を集める。
製品のイノベーションのためには適切なソリューションを設計する上で顧客のメンタルモデルや文化的な枠組みを理解する。

意思決定を行う際に使うSPIDERアプローチ

Situation→自分たちが置かれている状況でどのような意思決定が必要か
People→意思決定に関わる人は誰か
Idea→どんなアイデアがあるか
Decision→どのような決定が推奨されるか
Explanation→なぜそのアイデアに決めたのか
Rollout→最後にロールアウトプラン作成

チームを作るうえでの3分の1ルール

9人のPMがいたら
3人はエンジニアバックグラウンド
3人はビジネス 起業家やMBAホルダー
3人は社会学者!(心理学や社会学や人類学などの学位保有者)
→一番難しいのは人の問題!(2回目)

育成について

必要なことは2つ
1.専門能力の強化
AmazonではPMのリーダー向けトレーニングが充実している。社内にそういうものがなければ外部組織を利用していく。各種コミュニティやカンファレンスなど。自分の担当プロダクトのエンジニアだけでなく、他の製品のPMに囲まれる機会を作っていく。
2.個人的な成長
自分の価値観とプロダクトの実現しようとしてることが一致せずに疲弊しているPMが多い。PMは誰かから言われたものをうまくこなして満足するのではない。見たいを形作るという仕事において多くを背負っている。
自分が尊敬できる人を見つけ、相談に乗ってもらうことが必要。

日本のPMへのメッセージ

日本は何十年にもわたってテクノロジーの未来を想像してきた国。
世界の部隊でイノベーションを起こせる可能性を秘めている。
日本では多くのイノベーションが日本だけにとどまってしまっている。
グローバルな市場に影響を及ぼすには人中心のグローバルな設計やインサイトを日本のPMが学ばなければならない。

2.Amazonと日本市場〜ハードとソフトを融合したAlexa開発

AlexaのPMチームについて

AlexaのPMチームは日本語でAlexaに話しかける際の体験の向上に取り組んでいる。音楽やスマートホーム、エンターテイメント、動画など機能ごとにPMがおり、新しいデバイスやイノベーションが登場した際に日本向けにローカライズしていく。継続的ない品質向上も行い、かつ日本のユーザーの課題発掘もしていく。

日本語の複雑さ(同音異義語、漢字、ローマ字が混在)はユニークな課題。
機械学習モデルのトレーニグが複雑。

Alexa Japanとグローバル組織

より顧客に近いところでニーズや課題の把握に取り組まねばならないため、複数のPMを置いて日本市場特有のニュアンスの理解に努めている。
言語だけでなく、例えばマンションの狭さで物の配置が違うなどの背景から必要とする機能も変わって来る。そのため、Japanの製品責任者を置いている。

地域ごとの優先順位のつけ方としては、問題の規模をまずは特定する。影響とコストの兼ね合い。優先順位付けが必要な場面は世界中であるが、通常はそれぞれのテクノロジーチームで発生する。

アマゾンのPM採用

アマゾンで成長できる人材かどうかを見ていく
リーダーシップの原則から特に大事なのは以下の4つ。

・お客様中心に考えられるか。(Customer Obsession)
・なぜを聞く能力(Asking Why)
・当事者意識(Ownership)
・コミュニケーション能力(Earn Trust)

人材開発でAmazonが取り組んでいること

PMむけのオンラインツールやトレーニング、社内カンファレンスなど

Amazonの運営からも学べる。
AmazonはPPTを使わず、文書文化が浸透している。会議も最初に用意された6P以下の文書に目を通した後フィードバックと質問をしていく。文書を作るのは大変だが、物事が明確になる。やる価値はある。

カンファレンスは毎年PM育成のために行われている。セッションやパネルディスカッションなど。アマゾン社員のみ参加できる。
他のPMから学ぶほか、バックログ整理や機能の優先順位付け、
ビジョンの確率やノーススターメトリックについてなどの先述の議論も行われる。これもすべて会議と同様文書化される。

PM用のSlackチャンネルも活用されている。

若い頃の自分にアドバイス

1.なぜこれを作るのか、お客様のどんな課題を解決するのかを深く理解する
2.信頼しつつ検証
3.製品がどのような段階にあるかを把握する

3.SaaS企業はいかにグローバルの声をプロダクトに取り入れるか

アウトバウンドプロダクトマネジメントとは?

グローバル展開しているプロダクトにおいては、本国にしかPMがいないと展開している各国のユーザーとの距離感がある状態になってしまう。それを解消するためにいるのがOutbound PM(OPM)。展開先現地のユーザとの接点を持ち、フィードバックを本国のPMに連携していくのが役割。

<お詫び>
セッション内容への理解が追いつかず…
その後のライブセッションの内容が分かりやすかったのでそちらをメインで書きます。すみません…

早川和輝さん SalesforceのアウトバウンドチームのPM

SFDCではアメリカ以外のすべての国にOPMが所属している。インバウンドのPMとコミュニケーションをとっていく。プラットフォーム、ホリゾンタルアプリケーション、インダストリーの3層構造になっていて、それぞれに対してOPMがアプローチしていく。その他、本社のPMトップを各地域に呼んで、多くの地域のユーザーとコミュニケーションをとってもらう機会を作ったりもしている。

PMMとの違いは?

SFDCでは、PMMよりも「プロダクトをどう作って行くのか」にフォーカスする。ぶつかりはしない。一緒にやるシチュエーションは多い。
OPMは日本の顧客の声を聞いて、どう製品に反映させるかを考える。どのくらい声を拾えたのかの数や、商談への影響力などを目標にしている。
リサーチの量と質を問われるイメージ。PMMはリードジェネレーションを追う。目指すものの違いがある。

要望を聞いた上で「やりません」はどのようにしている?

定量的にその声の数や売り上げのインパクトで判断。
その声に応えられないときにユーザーに納得してもらうのもOPMの仕事。
「何故なのか」「代替案として何が出来るか」「パートナー企業と組んでこんなことはできる」などを顧客に伝えていく。

4.あらゆるサービスとつながる決済プラットフォームのプロダクト戦略

Blockのプラットフォーム戦略

Squareは「経済的なエンパワーメント」を大きなミッションとしてスタートし、数年で事業の完璧なソリューションを提供するプロダクトのエコシステムを構築できるまでに成長した。決済、給与支払い、従業員管理、ギフトカード、マーケティングシステムなど。
様々なバーティカル領域(レストランや小売、美容など)があり、そのニーズはすべて異なる。その基礎となる機能をプラットフォームで構築しているので、バーティカルチームが早く動ける。
加えて、サードパーティーがシステムを拡大できるプラットフォームも提供している。拡張性のある戦略を取っている。
この拡張性が、Block全体の統合やプラットフォーム戦略上も優位に働いている。

Salesforceの戦略と比べて

類似点
 プラットフォームファースト
 サードパーティーによるプラットフォーム拡張
相違点
 SFDCはエンタープライズ向け。
 SquareはSMBC向けからスタート。中小を置き去りにしない。

規模感の違う多くの取引先からの要望への優先順位のつけ方

優先順位付けのフレームワークを持つ。一つではなく柔軟に複数持つ。
3つの要素で考えていく。1.ユーザー価値 2.労力 3.リスク

「トライアド」3~4本脚のスツールのようなもの
プロダクト、デザイン、エンジニアリング、データサイエンス、このすべての部門が意思決定に関わる。

チームビルディング

ビジネスユニットごとにGMを置き、各ビジネスユニットが1つ以上のプロダクトを担当。エンジニアリングやマーケも含めたすべての機能がGMにレポートを上げるので、GMが迅速に意思決定できる。

人材を採用する時は、高いレベルで2種類のスキルを持つ人を探す。
1.PMスキル 
 →コラボレーション、コミュニケーション、好奇心、決して諦めない気質
2.専門知識

過去の自分へのアドバイス

キャリアについて計画し、ゴールを設定すること。
人生をプロダクトマネジメントすること!
朝起きて仕事を考えたときにワクワクしないとしたらハッピーではない。

5.なぜ天才エンジニアがDisneyのプロダクトマネージャーになったのか

エンジニアだったころについて

子どもの頃からずっとコンピュータを使っていた。本格的に取り組むようになったのは稼ぐ必要に迫られてから。17の時に自立する必要があり、そこで仕事をする決心をした。HTMLを独学で少し学び、就職。
当時は6か月以上仕事をしたことがある人がいないような業界。買い物かごシステムやクーポンコードシステムを作った。
AdobeにいたころはPremiereExpressを作っていた。その後10年ほどフリーランスで活動。その時に自分のソフトを使ってアートの世界に入りいろいろ試し、再びAdobeへ。以前の上司が動画と広告を扱うプロジェクトにおり、それ以来広告の世界に。ここでPMへの転向もした。

PMへの転向

当時はオンライン広告はFlashの独壇場だった。が、HTML5や動画ストリーミングサービスで衰退、担当プロダクトがあまり注目されなくなってしまった。何か違うことにチャレンジしようと思った。
エンジニアリングマネージャーになることも考えたが、顧客と話をしたり、リスク管理をしたりするソフトスキルに磨きをかけたかった。
メンターはおらず試行錯誤だったが、それが自分にとっては良かった。

PMを続けることについて

いつかは戻る予定。これまでの経験を活かして大きなことをしたい。が、この6-7年の間にエンジニアリングリソースのコモディティ化が進んだので今のところは難しそう。
今の米国では一流のアーキテクトでない限り、給料は下がってしまうと思われる。見る限りだとエンジニアよりPMの方が稼いでいる。
エンジニアの数やエンジニアリングの役割が増える可能性もあるが、今のところ米国ではコモディティ化が進んでいる。

エンジニアリングは1週間の目標設定がされているので、成果を得やすい。
PMは成果が出るまでに少し時間がかかる。会議も多く、こうしたらどうなる、というのを検討する必要もある。
HowとWhatの違い。最初の頃は苦労したが、今はその期待にうまく対処できるようになった。

エンジニアとのかかわり方

エンジニアリングにいたからと言って、開発に口を出したりはしない。
ミスはどんな時にも起こるので、どう対処するかが重要。

この15年でレビューという概念が導入されたのは素晴らしいこと。
プロダクト部門とエンジニアリングがレビューしあう。プロダクトマネジメントがなかったころはある意味一方的な対話だった。
なぜこれを構築するのか、を議論するのが間に立つPMの役目。

6.Notionにおけるプロダクトリーダーシップ

プロダクトマネージャ―とは専門技能ではなく、責務を負うこと。

NotionのPMの働き方

PMの仕事は周囲の人材を最大限に生かし、責任者の役割を果たすこと。それは最も優秀だからではなく、すべてを見渡し各分野の専門知識のバランスをとることができるから。

PMは自分が加わることでプロダクトの質やスピード、信頼性などの点で違いが出ることを認識してもらわなければならない。それまで専門家たちの負担になっていたことをPMとして引き受けなければならない。各専門家が得意とすることに集中できるようになり、他の人たちも効率的に動けるようになる。

評価方法はいくつかあるが、
1.生産性向上やプロダクトの品質向上など、「他の部署が喜んでいるかどうか」
2.お客様がスピード向上を実感しているかどうか
3.全体的な意思統一とモチベーション 全員が会社の方向性を理解し、やる気をもって仕事が出来ているかどうか

Notionの今後

お客様に真の価値を発揮し、日常の一部となっていく。

ユーザーは「個人」「中小」「大企業」の3つ。
・個人にはコンシューマーグレードの高品質で楽しいプロダクトを作ることが重要。無料で喜んでもらえる体験を提供する。
・中小は有料ユーザーなので、価値提供が重要。見返りがあると信じてお金を払ってくれるユーザー。お客様の反応を注視し、どのようなアセットがあり、生産性はどうかを確認する必要がある。高品質×高機能の両方の追及をしていく。
・大企業は最も目が肥えている。信頼性拡張性セキュリティ生産性使いやすさなどをもとにプロダクトを選ぶ。かつ長期的なコミットメントも求められる。大企業は長く使える強力なツールであることを重視し、他の企業に勧めてくれることもある。ユーザーが個人として利用するようにもなる。

グローバルな要望の対応方法

最終的には自分たちが何を目指しているかが大切。
グローバルなツールではあるが、人に権限を与えることが重要。自分たちで全て構築するのではなく、基礎的な要素だけを提供する。
そのために常に顧客の声に耳を傾ける。あらゆる国や地域で、ユーザーや使っていない人に対してのヒアリングをし、基礎的な要素が解決できることを把握する。そうすることでどの国のお客様もそれぞれに合った形でNotionを使える。大手自動車会社の役員から大学生まで使っているが、その人たちの共通点もあるので、そこに重点的に取り組むようにしている。

国によっていろいろなユースケースがあるが、世界的な傾向としては検索機能や操作性の改善を求める声が多い。最近では日本向けに検索スピードと精度を大幅に改善した。

プロダクト部門の拡大のためには

まずはとにかく基本的なことが重要。全員が目標を共有し、同じノーススターメトリックに向かって成功を目指す。お客様が毎日Notionを使い、ありがたく感じてくれているかどうか。
何度も繰り返して検討することで意思統一を図れるし、人も増やせる。

もう1つは徹底した顧客志向を貫くこと。人が増えると意見も増えるが、全員が同意できる真実がその根底にあるはず。トップダウンでもいいが、ビジョンと方向性が重要。お客様のためのものになっているか。
データや調査結果、顧客の意見に関して意思統一を図っていく。組織が拡大していくときにはこうした共通の要素が重要。

さらに、様々なスキルセットと経歴を持つチームを作る必要もある。どのような問題にも対処できるようになる。成長過程では常に、「どんな経験を持つ人材を揃えるか」を考える必要がある。

上場後の課題

短期/長期の考えのバランスをとる必要がある。
非公開会社は短期で評価されないので長期のビジョンを持ちやすい。上場企業は四半期ごとに株主に報告しなければならない。規模が大きくなればなるほど、自分たちのノーススターメトリックを忘れないことが重要。

CPOの役割

メンバーそれぞれに役割があることを認識してもらう。それぞれの仕事に誇りを持つ。CPOの役割はメンバーが最高の仕事ができる体制を整えること。人材調達、期待値設定、コーチングの観点からもこうした心理面が必要。

過去の自分にアドバイス

・どの仕事からも学ぶこと。どの問題も重要であるかのように取り組むこと。
・不要なプライドは捨て、何でも聞くようにすること。人からどう見られるかを気にしない。
・常にフィードバックを求めること。うまくいっていること/いないことを認識すること。厳しい意見を聞くことが成長につながる


以上です!!!

つ、疲れました…!でも本当に勉強になる素晴らしいイベントでした。
感想レポート、多分どこよりも早いはず!
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!!

※AfterParty、参加申し込みしました!もし抽選に当たったら、会場でお会いしましょう!!!

プロダクトマネージャーの採用にお困りの企業の方はこらからどうぞ!

もちろん、求職者として転職・キャリアについてのご相談もお待ちしております!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?