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【PDAS応援者からPDAS応援者に一問一答!】 なんで理化学分析の会社が宇宙ベンチャー企業PDエアロスペースを応援しているの??  ~株式会社ユニケミー濱地清市社長~ <前編>

こんにちは!宇宙ハウスの石井展子です。

現在国際宇宙ステーションで活動されている、日本人宇宙飛行士の野口さんが宇宙へ旅立つのに使ったのは、アメリカの民間企業、スペースX社開発の宇宙船、クルードラゴンです。


もう宇宙はNASAをはじめとした国の宇宙機関がやるものではなく、ビジネスとして民間がチャレンジする時代になったことを強く印象付けるニュースでしたが、
日本国内(愛知県)で民間企業として「完全再使用型宇宙飛行機」の開発に取り組んでいるのが、わがPDエアロスペース株式会社(以下PDAS(ピーダス))です。
といっても私はその社員ではなく、PDASが組織している「宇宙ハウス」という、ボランティア部門に所属しています。普段は別の本業をしながら、週末や空いた時間を利用して、宇宙開発の一端を(技術のある方はエンジンや機体開発、そうでない方は何なりと)手伝ったり、開発の進捗を直接聞いたりしているグループで、いわばそれぞれが “PDASを応援して何か貢献したい”
と思う人の集まりなのですが、この宇宙ハウス以外にも、「出資・スポンサー」や、「開発パートナー」など、色々な形で、沢山の組織や個人の方がPDエアロスペースを応援しています。
私は活動を始めて、

「なんで他の人はPDASを応援しているんだろう?」

「どんな人が応援しているのかな?」

という疑問を持つようになりました。
私自身は今のところ直接貢献できるだけの技術やお金を持っていないのですが、応援する立場の私が、他のPDASを応援している方の話を聞いて伝えることで、このPDエアロスペースという会社をより知ってもらえ、あわよくば更に応援者を増やせたら、何かしらの貢献になるかもともくろんでのこの企画を始めました。

今回は、単なる応援者には飽き足らず、
「PDAS あいち応援隊」という、PDASを地元・愛知の人に広く知ってもらい応援していこうという組織を立ち上げてしまった、株式会社ユニケミー濱地清市社長に、
なんでPDASをそこまで応援しているのか、その理由や背景を聞いてみました。



■濱地さんとご自身の会社「ユニケミー」について

― 濱地さんは、水質検査などの環境分析や航空宇宙や自動車産業の研究開発や品質管理、食品に異物混入があったときの分析調査など、主に理化学分析、検査を行う、株式会社ユニケミーという会社を経営しておられますが、私が知る理化学分析会社は、ホームページでは自社が行える調査分析内容を出して、お客さんから調査依頼があればその分析調査を行って、調査結果の報告レポートを出す、という、あくまで分析会社の域にとどまっている印象です。が、ユニケミーさんは、社名の由来が「ユニークでユニバーサルなケミカルカンパニー」とうたっていらっしゃるとおり、YouTubeチャンネルを開設されたり、コロナの緊急事態宣言の時には御社の商品「ラボタオル」を無料配布されたり、恐らくPDASとの関係を作るきっかけになった、「宇宙の種水」という、宇宙ステーションに輸送する水を種子島と共同開発して一般に売り出したりと、びっくりするくらい、活動されている内容が他の分析会社さんと異なっている印象を受けます。

そのいろいろ面白いユニケミーさんのホームページはこちら↓

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なぜそのように活動を多岐に展開されていらっしゃるのか、濱地社長が思う、御社の特色とはなんでしょうか?

<濱地> 当社も理化学分析が主体で事業の9割くらいを占める、ほとんど分析専業の会社なんですが、創業者たちは社名を「ユニークでユニバーサルな化学の会社」と名付けました。もとは公害防止のための環境分析や調査を行う会社として創業したものの、虎視眈々と色々なことをする機会を狙っていたようです。創業49年目に入り、(私自身は入社14年、社長に就任してからは4年なんですが)とにかく当社は分析屋ではあるんですけど、
「コマタスクイ」という言葉が、「“困った“ことを救う、助ける」という意味で、創業者が作ったウチの造語なんです。とにかく困っている人を助けようという精神があって、規格や法律で決まっている分析より、「これ何か分からないんです」っていう相談に対して、他社だと「いや、規格にないんで出来ないです」っていうところを、うちは「じゃあ理化学分析から一緒に原因追及や課題解決しましょう」という、いわゆる“科捜研”みたいなところがあって、そういうのを古くからやってきた実績があるんです。
リーマンショックでの様々な経験から、「うちしか出来ないことしかやんない」っていう思いはより強くなりました(笑)
環境分析や規格分析はもちろん大事で、それが理化学分析の基礎になっているのですが、それの応用を当社の付加価値としているというところはありますね。

例えば「NASA基準の水を作って宇宙に持っていかなきゃいけないんだけど(どうしたらいい?)」って依頼来た時に、他社なら「NASAの規格なんて分からないし規格のないものなんて試験できません」っていうところを、うちは「じゃあやってみましょうか」っていう。
そういうわけで同業他社からの依頼も多いんです。「難しい依頼来たからユニケミーに振っとけ」みたいな(笑)。同業他社さんにとっての、うちが最後の砦みたいな、難しい依頼来たら最後ユニケミーに聞いたらなんとか解決してくれる、というものは感じていますね。同業他社さんのほうが広く知れ渡ってきているかな。
そのあたりが他社さんと思いっきり違うところじゃないですかね。

濱地社長

― 「コマタスクイ」の精神を、一般の依頼者さんへ向けてだけでなく、同業他社さんにもその精神で対応されているということですか。

<濱地> そうですね。でも内情は大変ですよ。
(規格にのっとって)ルール通りやるのが早くて楽なんですけど、大半が一つ一つやり方考えるところからなので時間も手間もかかるのに、お客さんは困っているから納期が短いです。生産ラインが止まっているから何とかしてくれーって言われるとね、やるしかないんです。使命感の中での大変さはあります。基本的に残業体質になってきちゃうし。淡々と規格分析だけやっているのが楽なんですけどね。

<濱地> もうひとつ、なんでいろんなことやってんの?という質問に対してですが、
商売だけでいうと、(いろんなことやらないで、お客さんも事業内容も)絞ったほうが利益出るんです。そんなに手を広げていたら、儲けだけを考えていたら厳しいです。
でも、この業界(理化学分析の業界)全体のことを考えると、もっともっと一般の人に
「この業界に相談すると答えが出るかも。何とか出来ますよ」ということを世間に知らしめていきたいんです。結構、「こういうことが出来るなんて知らなかった」っていうお客さん多いんです。
儲かる分野だけやるという姿勢だと、末端で困っている方に我々の技術が届かないんですよ。

この業界は、実は斜陽産業の入口に立っていて、このまま衰退するのか、もう一桁延びるのかの瀬戸際なんです。高度経済成長期が終わり、諸先輩方の努力で、環境(公害問題)も落ち着いてきちゃったんで。
外から見ると環境や検査ってイメージ良いですよね、もちろん付加価値は高いという自負はありますけど、じゃあビジネスになるか、というとそれは別問題で、ビジネスにならなければ人はどんどん減っていくので、実際これから同業の会社もどんどん減っていっていくと思います。
今がけっこう岐路で私は相当の危機感を抱いています。
しかも他の業界のお客様からは、「お前らの理化学分析業界は何頼んでもどうもできませんって言う」って言われちゃう。
分析ってやっぱ難しいんですよ、ちょっと。でも今でもお役に立てることはたくさんある。
世間の人に「こういうことは、分析業界に相談したら解決できるかも」っていうところまで知らしめると、我々の業界ももう一桁伸びるんじゃないかと考えています。
今まで培ってきたこんな良い技術があって、ちゃんとやればちゃんと色んなことが分かる、すごい技術なのに、それを広めないのは勿体ないよね。業界自体がもっとちゃんと広報して、世の中のニーズを受け止める文化を自分たちで作っていかないと、と思っています。
そこを、ユニケミーが先頭に立って、この業界を知っていただける活動を、色々なトライアルをして、エンドユーザーに投げかけながら先駆的に草の根でやっていければ。

― なるほど。それが色々多岐な活動や事業展開を行っていらっしゃることにつながるんですね。

― ところで、アスベスト簡易判定キットに、「アスベストワカール」って名付けたり、分析結果を転記せず生データで報告の精度、スピード改善を図る記事タイトルが「天気の子」ならぬ「転記の誤」であったりと、面白いネーミングもその活動の一環なんですか?

アスベストワカールってこれ↓

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<濱地> いや、まあもちろんそれもありますけど、この小林製薬的なね、ネーミングはほとんど創業者によるものです。ひらめきはすごいんですよ。

― 御社が宇宙へ事業を展開されるきっかけは、その創業者ですか?それとも濱地社長?

<濱地> もともとは、うちと古くからお付き合いがあって、うちの会社とも目と鼻の先にある、三菱重工名古屋航空宇宙製作所さんから、2005年に、「宇宙ステーションで使う水の分析や試験が出来ないか?」と相談を受けたのが始まりです。私が入る前のことです。
その話が進んで、種子島で国際宇宙ステーションに届ける規格の水を作ることになったのでその試験だけではなく製造装置ごとユニケミーが請け負うことになったとき、私がちょうど入社してきたんです。私は実は化学系の人間ではなく、機械屋のエンジニアだったので、「ちょうどいいから製造装置の設計を」と言われてプロジェクトに加わることになったんです。
私はその仕事を通して初めて宇宙に触れて、4人のコアメンバーでプロジェクトを進めて、2011年にようやく作った水を打ち上げました。
そこまでは当然極秘のプロジェクトだったんですが、打ち上げた後で、客先からも、中小企業でここまで開発したんだから対外的に宣伝に出していっていいと許可を頂いて、以後ようやくユニケミーが「宇宙」「宇宙」と言い出すことになりました。

その後、種子島と我々の会社で「宇宙の種水」というブランド水を作って売り出すことになったんですが、そのアイデアも創業者からで、これまた「コマタスクイ」精神で、宇宙の水プロジェクトで知り合った種子島が雇用や地域おこしで困っているのを、何とかしたい、うちに出来ることは、ってはじめたんです。

これです↓

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そうして出来た「宇宙の種水」を当社や種子島のプロモーションの一環で愛知県の異業種展示会にブース出展したとき、PDエアロスペースの緒川社長と私が出会って、意気投合した、という。

― それがPDAS緒川さんとの出会いだったんですね。

<濱地> そうなんです。でもそれで、なんでそこまで私がPDASを応援したいかという話をしますね。
実は私、小さい頃から旅客機の整備士になりたい、飛行機を眺めながら飛行機を作る仕事がしたい、という夢を持っていて、大学も機械工学に進んで、就職活動も頑張ったんですが、結局その道には行けなかったんです。それで地元のアイシンAWに入社し、その後親の会社を継ぐということになり、と進んできたんですが、自分の中では飛行機を作りたかったなぁ、というのはずっともやもやと残っていて、まあでも親の会社に入ったら、水の装置でしたけど宇宙やロケット関連の仕事をすることになって、これはこれでありかと思っていたところに、緒川さんと出会った。
で、緒川さんの話をよくよく聞いたら、私の好きな飛行機と、今当社が熱心にやっている宇宙やロケットが一緒になったものを作りたいって、これはもう、俺しかないな、って(笑)
私はもう、この人に出会うために生まれたんではないかと思うくらい、縁を感じたんです。
結婚みたいなもんですね、
ぜひ、老後は機体整備でPDASで雇って欲しいと思っています(笑)


~前編おわり~


濱地社長の、理化学分析業界にも、PDエアロスペースにも熱い人柄がとても印象的でした。伝わりましたでしょうか?

宇宙の種水に興味がわいた方、アマゾンで買えます(笑)こちら

後編では、いよいよこの濱地社長が始められたPDASあいち応援隊についてお話を伺っていきます!お楽しみに。


【PDASあいち応援隊はこちら】
https://pdas.co.jp/ouentai.html

株式会社ユニケミー
https://unichemy.co.jp/

PDエアロスペース株式会社
https://pdas.co.jp/

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