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主催者、参加者とともに作り上げていく。「国際学術会議」の裏側に迫る!

本記事は、株式会社PCOがこれまで取り組んだ事業について、より深く知っていただきたいと考え、担当者がプロジェクトへの想いや物語をお伝えするシリーズです。 

「学術会議」といっても、どこで開催されるか、どんな規模か、どんなテーマか、といった様々な要素によってそれぞれの性格は異なります。

今回は、学術会議の中でも世界各国から参加者が集う国際学術会議のコーディネート事業についてのお話です。単なる会議のコーディネートだけではない、少し特殊なプロジェクト。その裏側に迫ります。

noteプロジェクト担当_上田さん

会議のコーディネートだけではない、“おもてなし”が大事な要素

―まず、国際会議のコーディネーターってどんなことをするのか教えてください。

大まかにいうと、会議開催に向けて主催者の方と一緒にスケジュールを組み、段取りしていくという感じです。

国際会議ならではの業務としては、富山に来るまでの交通・宿泊などの手配や通訳の手配をしたり、宗教、ライフスタイルも様々な方が集まるので、それぞれに配慮した食事の手配なども必要になります。

今回お話しする「SCOR」に関しては、準備に1年かかりました。

会議開催期間中は、参加者の方のケアも必要になってきます。会議のことだけではなく、「妻に着物をお土産に買っていきたいんだけどどこで売っている?」といった質問にお答えすることも。
会議中のコーヒーブレークのお菓子も毎日違うものを用意したりと、“おもてなし”の部分を重視することが多いです。

―ただ会議のコーディネートをするわけではなく、ツアーコーディネーターのような…様々な面でのサポートが必要なんですね!国際会議ではより参加者さんとの距離が近いと伺いました。

そうですね。会議開催前から参加者の方と交通の案内など密にやり取りをしているので、富山に来られて顔を合わせたら、「あー!あなたたちが“チーム上田”ね!」と言っていただけたり。(笑)

言語ストレスがないスタッフが入っているので、参加者のみなさんも気軽に話してくれます。

フランクに、「よかったよ」「ありがとう」という言葉をかけてくれるのは、国内の会議ではあまり見られないことかもしれないです。

運営スタッフも一緒に作り上げた会議、という風に思っていただけている気がして、とても達成感があります。

富山県や富山市とも協力。主催者とともに作り上げた「国際学術会議 SCOR」

―それはうれしいですね!とてもやりがいのあるお仕事なんですね。それでは、先ほどからお話に出ている「国際学術会議SCOR」について、具体的にどんな会議だったのか教えていただけますか?

「SCOR」は世界中の海洋研究の第一人者たちが集まり、海の問題について課題とその対策を共有していく国際学術会議です。

各国で開催されていますが、2019年は富山大学で海洋研究をされている張先生が主催者となって富山での開催となりました。

海洋研究に力を入れている富山県の環境政策課や富山市とも協力して、学生参加のシンポジウムや会議の市民公開なども開催しました。

世界的に先端的知見を持った人たちが集結するというのが会議の特徴で、その一部を県民や学生さんと共有できるというのはとても価値のあることだと思い、そういった場の提供も提案させていただきました。

―本当にその通りですね。県民や学生さんたちにとってはとてもいい機会だったと思います。他にも、「SCOR」を開催する上でこだわった点はありますか?

主催者の張先生は、「せっかく富山に来ていただくのだから存分におもてなししたい」という気持ちが強く、食事にこだわったり温泉に入るプランを入れたり…様々なプログラムを用意しました。

先生のご希望と、日程、予算をコントロールしながらすべてをコーディネートできたと思います。張先生にも参加者の方にも大変喜んでいただけました。

―そのコーディネート力は本当にすばらしいと思います…!

以前外資系ホテルのフロントや富山駅のコンシェルジュとして海外からのお客様をおもてなししていたこともあるので、そうしたことが生かされて今の仕事にもつながっているのはうれしいことです。

学術会議_ごはん_説明


国際会議だからこその思わぬトラブルやサプライズも

―会議を開催していく中で、何かトラブルや苦労したことはありましたか?

「SCOR」ではないのですが、「世界で最も美しい湾クラブ」の世界総会が富山で開催されたとき、開催日の前日に台風が発生し、飛行機が飛ばないというアクシデントがありました。

こちらの会も世界各国から参加者の方が集まる予定だったので、みなさんが無事に富山に来られるのかハラハラしていました。

「SCOR」のときも、やはりみなさんが無事に富山まできてホテルにチェックインできるか、というところが一番心配だったので、それぞれの動向を細かくチェックしていましたね。

海外から日本に来て、そこからさらに富山に来て、というのはなかなか大変です。日本入国のためのビザ申請手続きの書類を準備したり、スムーズに移動できるようにするのも私たちの大事な役目です。

―細かなところへの気配りと、臨機応変さが求められる現場なんですね。「SCOR」を通しての成果としてはいかがでしたか?

会議自体もおもてなしの部分に関しても、参加者のみなさん、主催の張先生、みなさんがとても満足されて感謝を直接伝えてくださったのが本当にうれしかったです。

会議の最終日には、ステージにあげていただき、記念品をいただくというサプライズも用意してくださいました。とても達成感を感じましたね。

―それもやはり、参加者さんとの距離が近いという国際会議ならではですね。
それでは最後に、国際会議をコーディネートしていく上で、今後さらに目指していきたいところを教えてください。

参加者のみなさんは、世界各国からはるばる富山の地まで来てくださいます。遠路はるばる富山に来るのだけでも大変ですが、それでも満足してもらえるよう、ただ会議をコーディネートするだけでなく、富山の魅力もお伝えしていけたらなと思っています。

参加者の方だけでなく、主催の方にももちろん、富山で開催してよかったと思ってもらいたいですね。

―あとがき
一言に「国際会議のコーディネーター」といっても、参加者の方の身の回りのケアや市民に向けた広報など、本当に様々な気配りが必要な現場。
海外の方をおもてなししていたという上田さんの前職での経験が生かされているというのも納得です。

コーディネートの大変さもある一方、感謝や喜びを伝えてもらえた瞬間、“みんなで一緒に作り上げた会議”の醍醐味を味わえるお仕事なのだと感じました。

プロジェクト詳細 https://pcojapan.jp/works/509
話し手:上田 千恵(株式会社PCO・コンベンションコーディネーター)
取材・ライティング:東 るに(フリーライター)


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