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殺人予告や追い込み自殺のニュースから感じたその防止法の改善の余地(法律)


最近、インターネット関係で殺人予告が起こることや、誹謗中傷による追い込み自殺が起こることを知り、身の毛がよだつ思いをしている。韓国語では、インターネットを使った誹謗中傷による追い込み自殺を「指殺人」のように表現するようだ。

【参考記事・ニューズウィーク日本版より】
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13421.php


現在の法では犯行予告は処罰できるが…

 六法によると、特定の個人を脅迫した場合は脅迫罪にしか問われず、業務を妨害した場合に業務妨害罪の類、集団で行った場合は破壊活動防止法に問うことができるため処罰できる。いたずら目的でも軽犯罪法違反に問われる場合もあるという。金田勝年氏が法務大臣の頃には破防法や組織犯罪対策の関係で「テロ等準備罪」の条文の追加があり更に白黒はっきりつけやすいような条文が明文化されるようになったため、その点は一歩進んだのではないか、と私はその改正法に評価したいことである。
 しかし、殺人予告を受けたものに対する心的外傷は非常に大きくなるだろうし、それで傷を被った場合には傷害罪に問うことができるとされるのに、これよりも威力業務妨害罪や脅迫罪の量刑が軽い現状なのは不条理を感じる。

誹謗中傷・ストーカーによる追い込み自殺は

韓国で、芸能界による誹謗中傷にさらされて自殺する「指殺人事件」の例が報道されたが、これは韓国だけの問題じゃなく世界中のネットでの問題であるように見える。日本ではその例だけではなく、韓国語における指殺人に対して指ではない「殺害」の例もあり福岡ではIT講師が誹謗中傷から殺害に発展して命を奪われた事件がある。三宅雪子元衆議院議員が誹謗中傷による自殺ではなかったのだろうか、という情報があったことが私の記憶に新しい。
現行法では2016年に改正されたストーカー規制法が防止策として挙げられるのだが、まだインターネットに関するものはいま条文にあるものであっても憲法による「通信の秘密」にある条項により公権力で恣意的な運用をすることはあってはならないように感じるため、今では私人による公的機関への情報提供による事件の事前予防にとどめておくことが最善策ではないかと思われる。しかし、情報提供をうけた公的機関も捜査の心の負担と憲法の衝突の不安や誤認のおそれを感じて動きにくいと思っているかもしれない。というのも、改正された当時は非親告罪になったことによりストーカーであると仕立て上げるような虚偽告訴が増えるのではないかという懸念もあったからだ。

私が感じた「殺人」「傷害」「(威力)業務妨害」「自殺関与」の図は、こうである。

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「死」を防ぐために

まず、問題なのは殺人未遂や傷害に相当する行為であるはずが明文化されていないため実質「殺人予告罪がない」ということ。殺害予告事件は対象の特定の人物や場所を明確に示していた場合で対象者がその時点で心的外傷を被っているだろう、という考えから「傷害罪」とするか「殺人未遂」と同じ扱いにして威力業務妨害罪からこちらへ組みなおして粗暴犯から凶悪犯のカテゴリに重罰化し明文化させておくべきだろう、という考えが私にはある。もともと威力業務妨害罪は非親告罪であるためその法律の類で違和感がない。
追い込み自殺が起こった場合を考えたら本当に難しいことで、過失致死という罪に十分問えそうだが、自殺教唆や自殺関与ともつながるものがあるため、現在それを特別に明文化された罪とする法律がないのが悩みどころである。
いずれも、現在処罰されないままであるとインターネットリンチなどの二次犯罪が起こったりそれに巻き込まれてしまうリスクも高くなると思われるので、被害者を泣き寝入りさせないためにも、何よりも公的機関が無責任にならず動く必要があるのは勿論のこと、私人でも公的機関への情報提供を積極的にできるような環境をつくっていくようにすべきである。

皆様からも、色んな「殺人予告、追い込み自殺、粘着誹謗中傷」を防止する方法、その罪を咎める方法で色んな意見が聞きたいです。

追記 2020/03/04

インターネットで川崎希さんを誹謗中傷していた容疑で2名の書類送検がありました。

追い込み自殺・追い込み精神疾患などに歯止めをかけるための手立てとして、この時点で書類送検しておいた件を、評価します。


追記 2020/08/25

 春名風花さんとその家族に対して誹謗中傷していた件の訴訟が、示談和解まで戦い抜いた流れがありました。現行法の簡略化できない壁をのりこえて、本当によくここまで頑張ることができたのは、素晴らしいです。

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