ビデオゲーム的構造の快作「ハッピー・デス・デイ」は素敵な青春ホラー

本作「ハッピー・デス・デイ(原題同じ)」(クリストファー・B・ランドン監督、2017年)で最も素晴らしいところは、スクールカーストのトップ、アメリカ映画でもその構造がよく取り上げられるジョックスに属する女の子を主人公に据えたことだ。ジョックスと言えば間抜けな目にあったり、酷い目に合うのであって、ここは虐げられる側のナードが特殊能力を手にしたりして活躍するのが常套なのだけど、まぁ本作で男の子が活躍はするけれどもあくまでもその働きはアシスタントとしてだ。しかしながらジョックスたる主人公の女の子は毎度たいへんえぐい死に方をするので、ひょっとするとここで取り敢えず溜飲を下げるガス抜きを行っているのかもしれない。そしてもうひとつ特筆すべきはホラーなのにノリが良いのである、明るいのである。ハンバーグステーキレストランチェーンのキャラクターBig Boyやゴーストバスターズのマシュマロマンみたいな、よくみると不気味な絵柄のマスクを被った正体不明の敵が襲ってくるのを、知恵を絞って対処するという話もこの手の青春ホラーではよくあるプロットだが、主人公は何度も死ぬことで正解にたどり着く、愛すべき人物像と言うボーナスポイントも獲得しながら。そして主人公以外は知識の蓄積を行えない。これは何度でもやり直しがきくビデオゲーム的でもあるので、視点は常にナードの側にある。


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