あのミットに向かって2nd 29話(89話)
さくら:もしもし…
史:あなたがマネージャーのさくらさんね
さくら:はい
史:まず1つ聞かせて
〇〇の事を聞いてどうなるの?
ただの興味本位で聞きたいだけならやめて
さくら:聞いてどうなるかはわかりません
興味本位ではないです
〇〇君が辛そうだからです
少しでも楽に投げて欲しいから
私が聞いて楽になるのなら聞いてあげたいと思っています
史:………
私は〇〇の彼女だけど
今は宮城にいるから会えないし、そばで見守ることもできない
この気持ちわかる?
さくら:わかります…
もし、私が史緒里さんの立場なら同じ気持ちだと思います
あなたが〇〇君の彼女ではなかったら私は〇〇君に告白してました
史:なんの話してんの?
意味がわからないんだけど(なんなの!この子!)
〇〇:おい、さくら何言ってんの?
さくら:〇〇君は黙ってて!
〇〇:お、おう…(怖すぎる)
さくら:でも、〇〇君はあなたを選んだ
これは覆らない事実
でも、史緒里さんが支えられない今、支えられるのがマネージャーだと思ってます
史:………
さくら:私は〇〇君のファンです。
これは今後一生変わりません
ここに誓います。
だから、私にも背負わせて欲しい
1人で背負い込むとまた再発するかもしれないんでしょ?
少しでも〇〇君の力になりたい
お願いします。この話は絶対、他の人には話しません
もし話した場合は何をしてもらっても構いません
ここを出て行く覚悟はできています
〇〇:………
さくら、ちょっと代わってくれ…
さくら:あ、はい…
〇〇:史緒里、これは俺からもお願いしたい。
実際今の心理状態は自分でも怖いと思っている
史緒里と会えないのも原因かもしれない
あれだけ一緒にいたからな
この1ヶ月史緒里に会えない時、俺を支えてくれたのがマネージャー達でありさくらだ
史緒里ともう1人チームで俺のことを知っているさくらに話せたら俺は確実に心も成長できると思うんだ
史:1つ聞かせて…
〇〇は私の事好き?
〇〇:あぁ好きだよ
史:怖いの…
これがきっかけで私から〇〇が離れていきそうで
〇〇:電話越しでもわかる
史緒里は震えていた
〇〇:俺は史緒里しか愛せない
なら、俺からも1つ…
俺の事好きか?
史:!?
大好きだよ!どうしようもないくらい
〇〇:なら大丈夫だな
さくら:(カッコいい…)
〇〇:これは何があっても変わらない
好きな気持ちもだ
俺は史緒里から離れることはないよ
だから俺を信じてくれないか…
史:わかった…
もう一回さくらさんに代わって…
〇〇:はい、さくら
聴くだけでいい
さくら:代わりました。
史:さくらさんの気持ちはわかった
〇〇のこと聴いていいよ…
でも、この話はあなたを苦しめるかもしれない
いや、苦しめるし辛くなると思う
それでも大丈夫?
無理なら聴くのはやめた方がいい
でも、忘れないで
〇〇はそれを体験しているから聴く私たちより何倍も辛い事を…
それと約束して…
〇〇を何があってもサポートして!
私がいない時、あなたが〇〇をサポートするの
もしあなたが〇〇を裏切った時は絶対に許さないから
それでもいいなら返事して
さくら:わかりました。
必ずサポートします
史緒里さんに認めてもらえるよう頑張ります
ありがとうございます。
〇〇:史緒里も聴いといてくれないか…
このまま電話を切るのは勿体無い気がして
2人で聴いてほしい
史緒里、いいか?
史:うん…
〇〇:それじゃあ話すな…
それから〇〇はこの3ヶ月のことをさくらに全て話した
さくら:これは本当の話だよね…
さくらは自然と涙が溢れていた
そして、史緒里も間近で見ていたことを思い出して電話の向こう側ですすり泣いていた
〇〇は2人には感じさせないよう泣いていた
〇〇:これが俺の3ヶ月だ
今、俺の中には"もう1人の俺"がいる
さくらはこの言葉を一生忘れないだろう
〇〇:ありがとな
なんかスッキリした
これで大丈夫だ
さくら聴いてくれてありがとう
そして、史緒里もこの話を呑んでくれてありがとう
俺は2人に感謝してマウンドに上がるよ
〇〇自身も話したことで〇〇2との共存が少し深くなったと感じた
〇〇:もう暗い話はお終い!
ごめんな、急に話変わるけど史緒里は来るの?
史:あ、うん
行くよ
準決勝、決勝応援に行くよ
梅と蓮加とね
〇〇:だと思った
準決勝は先発だから
良かったら最初から観て欲しい
今の段階での集大成となるピッチングをするから
史:わかった
最初から観るね
さくらさんにも会いに行くから
さくら:わかりました
お待ちしてます。
明治神宮野球場に到着したら教えてください
迎えにいきます
史:それじゃあ頼もうかな
〇〇:2人とも俺を観ていてくれ…
さくらはその瞬間ビデオカメラを押していた
ピッ
2人はその〇〇の背中を見て
どこか安心するものがあった…
さくら:(自分とも闘っているし、相手とも戦っている
周りからの期待、計り知れないプレッシャー
この背中にはどれだけのものを背負っているのだろうか?)
私なら潰れている
凄いなぁ
史:これが〇〇なの
この背中はやる時だから
私達は静かに見守ることが仕事だから
さくら:わかりました。ありがとうございます
〇〇:ん?何喋ってんの?
さくら:いや、何もないです
それではおやすみなさい
〇〇:史緒里、4日後な!
史:うん!
7月26日(金曜日) 10:00
明治神宮野球場
さくら:〇〇君頑張って
〇〇:あぁ行ってくる
史緒里達はさくらが来るのを待っていた
さくら:もしかしてあなたが史緒里さんですか?
史:はい、そうです。
さくら:この前は失礼しました
史:いや、いいですよ
梅:この子が史緒里が言ってたさくらちゃんね
岩:にしても可愛すぎない?
史緒里はまさかこんな可愛い子だとは思っておらず打ち砕かれていた
史:可愛い💕
さくら:どうしたんですか?
史:あなたなら〇〇を任せられる!
疑ってごめんなさい!
さくら:えっ!いきなりなんですか?
史:こんな可愛い子が〇〇のマネージャーなら安心できる
さぁ行きましょ
さくら:えっえっえ〜〜〜〜
梅:ごめんね、史緒里って可愛い子見ると性格変わるの
これ頭に入れといて
さくら:あ、はい…
岩:もしかして、雷道高校のマネージャーさんって全員こんな美女ばかり?
さくら:私から見たら全員可愛いです
史:すぐ行かないと!
ダダダダダダダダダーー
さくら:この前のが嘘みたい…
さくら:ここが雷道高校の応援場所です
史:いつ見ても凄いね
梅:うん…
岩:また前回みたいに応援やろうね
梅:やるやる
さくら:かっきー
遥香:ん、さくちゃんどうしたの?
この人達は?
さくら:〇〇君の彼女さんとそのお友達
遥香:へ?
ごめん。もう一回いいかな?
さくら:だから、〇〇君の彼女さんと…
遥香:そこもう一回!
さくら:〇〇君の彼女さん
遥香:それホント?
さくら:うん
遥香:この3人の美人すぎじゃない!?
〇〇君の彼女に知り合いの人!?
〇〇君凄すぎない?
初めまして、マネージャーの賀喜遥香です
梅:うわっ!本当に美人だチラッ
バタっ
岩:あ、史緒里失神した
さくら:大丈夫なんですか?
美波:うん、大丈夫大丈夫
気にしないで
よくある光景だから
バタっ
岩:え?
さくら:あ、なっちゃった
梅:もしかして…
さくら:そうなんです。かっきーも美人さんにはめっぽう弱いんです
岩:あはは🤣
2人一緒じゃん
梅:にしても雷道高校のマネージャーはどうなってんの?
岩:ホントそれ!
可愛い子しかいないじゃん!
さくら:私は可愛くないので…
梅:いや、自信持った方がいいよ
てか、よく手を出されないよね
遥香:私がさくちゃんを守っているのでそんな事は絶対に起きません!
梅:いつの間に起きたの?
岩:あ、史緒里も起きた
史:雷道高校のマネージャーさんは完璧です。
あの…後で連絡先交換して…
バシッ
梅:何してんの?
連絡先交換するために来た訳じゃないでしょ?
史:あ、そうだった
〇〇は…キョロキョロ
あ、いた!〇〇〜👋
〇〇:ゾクッ
なんかスタンドが怖い
拓:風邪でも引いたか?
そんな事はどうでもいい
今日はどうする?
〇〇:改も混ぜながら投げたいですけどチェンジアップは使わずに…
拓:ん、それでいこう
魅せてくれるんだろ?
集大成というやつを
さぁ、甲子園まであと2つ…
頼んだぞエース
〇〇:はい、よろしくお願いしますね
英明監:やっぱり森田君で来ましたか
おい、わかってるな?
英明ナ:はい!
英明監:昨日話した通りだからな
(初球から打ちに行く
これはいつもと変わらない
立ち上がりを攻める
前の試合、森田君立ち上がりよくなかった
ウチなら運べる
今日はミートを前にもってこいと伝えてある
このピッチャーは小さい変化球しかないから
変化する前に叩けば飛ばせる)
〇〇:西東京大会も今日の試合を含めてあと3試合となりました。
いつもやってることをやるだけのこと
己を信じて投げるのみ!
ガンガン打ち取って行くんで
バックの皆さんよろしくお願いしやっす!
春:今…
西:アイツ
大:……
拓:アイツ、打ち取って行くって
面白いな
英明監:今のは聞き捨てならないな森田君
お前達のバットで引き摺り下ろしてこい!
英明ナ:しゃぁああ!
拓:士気あげてんじゃねぇか
まぁこれで〇〇がどのくらい通用するのか
本気のピッチングを観れるかもな
〇〇:ふーっ
いつだって負けられない
相手も味方も、そして史緒里にだって…
俺は止まらねぇぞ
目の前に立ちはだかるものは全て倒して上に行く
拓:初回からはいるのは初めてだな
〇〇はゾーンに入っていた
それに気づいたのは御幸と史緒里、そしてさくらの3人だけであった
ウ:1回の表、英明高校の攻撃は
1番、センター、小島君
ウ〜〜〜〜
雷道高校 英明
1番、遊、西野 1番、中、小島
2番、二、町田 2番、二、来田
3番、右、橋本 3番、左、流川
4番、捕、御幸 4番、一、若松
5番、一、小笠原 5番、三、山越
6番、左、大谷 6番、右、馬込
7番、中、高津 7番、捕、福地
8番、三、村上 8番、投、武
9番、投、森田 9番、遊、星川
拓:初球大事にいこう
〇〇:コク
ザーッ
ダン
ググッ
指先1点集中
ココ
ンァ!
シューーーーーーーン
拓:!?
スパァーン!!!
審:ットライク!
小島:おい、マジか…
145km/h
と表示されていた
拓:何初球から自己最速出してんだよ
小島:目の前にしてわかる
まるでボールが生きてるみたいだ
シューー
スカッ
パァーーン
審:ストライク2
そして…
ズバン!!!
小島:インコース…
審:ットライク!バッターアウト!
実況:1人目から三球三振で打ち取りました
全部真っ直ぐ
拓:3つともほぼ構えたところかよ
ナイスボール!
〇〇:コク
観客、そして配信を見ている全員が〇〇のピッチングに見惚れてしまっていた
さくら:凄い…
史:〇〇、完全に抑えに行くつもりだね
さくら:まだ初回の1人目ですよ
史:打者を一周させる間に相手の心を折りに行く
もう勝てないと…
さくら:そんなことが出来るんですか?
史:あの表情はアメリカの時以来だし
さくら:えっ、ホントですか?
史:うん
この話はまたの時にするね
観てたらわかるから
〇〇の凄さが
ギューーーン
グン
カン!
来田:重っ
〇〇:ショート!!
西:あいよ!パシッ、シュッ
小笠原:パシッ
審:アウト!
〇〇:2アウト!
雷道ナ:2アウト!
ウ:3番、レフト、流川君
流川:お願いします
拓:コク
さぁ実はこのバッターが1番怖い
4番の若松に注目されがちだが、その前を打つコイツがこのチームの要
打率脅威の.635
どこからでもバットが出てくる怖いバッターだ
〇〇:ふーっ
拓:まずは真カットボール改、カウント7を
〇〇:コク
ンァ!
ジュッ
シューーーー
流川:ピクッ
バシッ
審:ットライク!
流川:スライダーか?
いや、カットか?
それにしても途中まで真っ直ぐ
打者の手元で急激に変化する
拓:初球振る気が感じられなかった
このバッターだけ監督からは何も指示されていないようだな
それだけ信頼されているっていうことか
アイツも感じてるようだな
〇〇:この人は凄いバッターだな
バットと一体化してるみたい
全国にも中々いないと思う
まぁでもそんな気にすることもないか…
スパァーーーン
流川:!?
当たらない…
今、浮き上がったよな?
史:スリーシーム
私なら最後は…
チェンジアップ
グワン
流川:!?
ん…
パァーン
審:ットライク!バッターアウト!
スリーアウトチェンジ
観客:うおー
〇〇:よしっ
拓:オッケーナイスボール
パァン
〇〇:あざっす
実況:いや〜初回から素晴らしいピッチングを見せてくれましたね
解説:素晴らしいですね
森田君のピッチングは私達に魅せつけているようなそんなピッチングに感じますね
実況:そうですか
この後のピッチングも楽しみです
To be continued…
遂に始まった準決勝
〇〇は3ヶ月の成果を出せるのか
目が離せない攻防が続く
特別編で史緒里の言っていたアメリカの話を書くつもりです
しばらくお待ちください
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