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You’re my star

私の名前は遠藤さくら
高校2年生
学校では、誰とも喋らずにずっと教室の後ろの席で読書をしている。
でも、本当に読書をしているかと言われるとしていない。
喋りかけられないようにしているだけでこれまで読んだ本の内容なんて頭に残っていない
そして、眼鏡をしてる。
顔を見られたくないから


学校生活楽しい?
ってよく親から聞かれるけど
無視している。

楽しいかと言われたら正直言って楽しくはない

でも、ひとつだけ楽しみなことがある。

それは…………

西園寺君を観察すること

西園寺 翔陽(さいおんじ しょうよう)

同じクラスの生徒で学校一の人気者

私とは真逆で文武両道

誰にも分け隔てなく話す人で私とは決して交わってはいけない

素晴らしい方

でも、なぜ観察するのか

それは……

私の"星"だから


今から10年前

さ母:さくら〜
今からお出かけするわよ

さ:やった〜
行く行く♪

ルンルン🎶🎶

さ母:先に行かないの!迷子になるでしょ

さ:迷子にならないもん!

タッタッタ〜

さ母:さくら〜
待ちなさい

さくらはある公園に着いた

そこにはサッカーを楽しそうにしている
1人の男の子がいた。

さ:あれって楽しいのかな?

あの〜

西園寺はリフティングに集中していてさくらに気づいていなかった

さくらは大きな声を出した。

あの!!

西園寺:うわっ!?

何?

さ:あっ!

ボコッ

西園寺:痛〜

さ:大丈夫?

西園寺:まぁ大丈夫だよ
それでどうしたの?

さ:それ楽しいの?

西園寺:これか…
楽しいかと言われたらそうでもないかも

さ:ならなんでやってるの?

西園寺:う〜ん
自分のためかな
サッカー上手くなりたいし

というか、よく初対面の子に話しかけられるね

さ:あっ!
う〜〜〜

西園寺:なんかごめん。気に触るようなこと言ったかな

さ:キニサワルようなこと?

西園寺:いやな気持ちにさせるってことかな

さ:いや、全然
でも、よく難しい言葉知ってるね!

西園寺:読書してるからかなぁ

さ:私も読書したらわかるかなぁ?

西園寺:うん!絶対に

さ:ならやる!


あの頃の私も今と同じように誰にも話しかけられない子供だった。それなのにあの時、君を見つけて話しかけたくなった

それ程に西園寺君が輝いてみえた

私はそれから何度かその公園に訪れては西園寺君のサッカーを見ながら読書をした

が、ある日から西園寺君はその公園に現れなくなった

なにかはわからないけど多分引っ越しなんだろうと

"いつまで待てば出会えるの?"
"この切なさはどこまで続くの?"

それから10年、ようやく逢えた。

クラス替えの時に西園寺翔陽という文字を見て
忘れていた記憶が蘇ってきた。

向こうは忘れてると思うけど…


俺はある人を探している

名前はわからない

でも、あの笑ったの君の笑顔を忘れられない
儚い、流れ星のような守りたくなる表情

俺はずっと後悔している

なぜ"名前"を聞かなかったのかと

俺もあの時、見てくれることが嬉しくてあの公園に足を運んでいた。

でも、親の転勤で引っ越した。

まともに話したのは最初だけ

今でも覚えてるのは
「気に障る」という言葉を教えた事。

それと読書をすることくらいしか覚えていない
その読書も俺が薦めたんだっけ?

いつになったら会えるのかな

明らかに遠藤さくらは西園寺翔陽の事を変えていた

すれ違う2人…

ある日さくらは散歩をしていた

さくらは散歩が趣味だった

少しの望みを持って…

さくらは久しぶりにあの公園に寄ることにした

さ:もしかしたら…

トン、トン、トン

さ:この音もしかして…

行ってみるとそこにはあの頃と同じように楽しそうにリフティングをする西園寺翔陽君の姿が

フェンス越しにその姿を眺める


西園寺:あと100回

あの…

あの!

西園寺:うわっ!

さ:あっ!

ボンッ

痛〜

何?

振り向くとそこには10年間探していた人がいた
間違いないこの子だ
あの儚い顔

でも、何処かで
遠藤さん?

さ:そうだよ

久しぶりだね10年ぶりだね西園寺君


俺は呆気に取られた
10年前の思い出と重なるシルエット。
まさか10年前の探していた女の子が同じクラスの遠藤さんだったとは…
試しに聞いてみることにした

「気に障る」

さ:"嫌な気持ちにさせる"

西園寺:ホントだ、というか同じクラスになって初めて声を聴いた

さ:クラスでは喋らないからわからなかったよね

私は、クラス替えの時にもしかしてって思って
見つけた時、あの時の西園寺君と変わっていなかったよ

西園寺:それじゃあなんで話しかけなかったの?

さ:私は今も昔も遠くから見てるだけでいいの
だって…


「あなたは私の星」だから



西園寺君の邪魔はしたくない

西園寺:邪魔だなんてそんなことは1ミリたりとも思ったことなんかないよ
俺も君を探していた


"初恋の君を"

Endo……

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