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景気敏感株とディフェンシブ株【投資ノウハウ】

 「景気敏感株」「ディフェンシブ株」とは、一体どんな株? 投資のタイミングは?
 PayPay証券でおなじみの、佐藤隆司氏に解説してもらいました。


 今年も後半戦に突入しました。今年上半期の米国株式市場では、S&P500とナスダック総合株価指数が、高値から20%下落し、いわゆる弱気相場に入りました。今回の株価下落の背景には、米国の約40年ぶりのインフレ高進と、これに対応すべく米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げに動いていることが挙げられます。

 7月8日に発表された6月の米雇用統計は、失業率が市場予想通り3.6%、非農業部門雇用者数は37万2000人増と市場予想の26万8000人を大きく上回りました。米国の雇用情勢は好調を維持しています。

 一方、13日に発表された6月の米消費者物価指数は、前年同月比の伸び率が9.1%と5月の8.6%から拡大し、1981年11月(9.6%)以来、およそ40年半ぶりの高い伸びとなりました。好調な雇用と上昇する物価を踏まえ、7月26〜27日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、インフレ抑制のため6月に続き、0.75%の利上げが決定されそうです

 利上げは、景気の減速につながる可能性があり、株式市場にとっては、マイナス材料とされます。ただ、景気は好不況を繰り返します。目の前で起きていることだけでなく、次を見据えることも大切です。
 今回は、景気の好不況を語る際、よく取り上げられる、景気敏感株とディフェンシブ株について見ていきましょう。

景気敏感株

 景気敏感株とは、シクリカル(Cyclical)株や景気循環株とも呼ばれ、景気サイクル、動向により業績が大きく影響を受ける銘柄のことを言います。景気後退局面では業績の落ち込みが激しく、一方、景気拡大局面では業績の伸びが著しい銘柄です。また、株式市場全体が大きく動いた際は、その動きに連動する傾向があります。セクターとしては、鉄鋼、自動車、素材、電機、精密、化学などが当てはまります。

 上記のセクターから想像できるように、景気敏感株と言われる銘柄には、巨大な製造工場等を抱えている企業が多くあります。このため、先行投資が多く、損益分岐点が高くなります。売上が一定の水準を超えるまでは赤字が続き、損益分岐点を超えると利益が急増することが特徴と言えます。

 景気敏感株は、市場全体の動きに連動する傾向があるため、投資するタイミングが重要になります。一般的には、不況から好況に転じる時が、投資するのに最適と言われます。ただ、不況から好況に変わる瞬間など誰にも分かりません。経済指標を頼りにしても、発表される指標は早くても前月のもの、ものによっては前々月、そして指標の発表自体が四半期ごとにしかないものもあります。このため、指標をみて不況から好況に変わったことが分かっても「時すでに遅し」となることも多いです。
 経験則から言えば、利上げが打ち止めとなり、利下げが迫って来たときが買い時になるケースが多いように感じます。ただ、その時点の景気敏感株は、赤字を計上していたり、株価が低迷している場合も多く、買いが躊躇されることが多々あります。

 しかし、株価が低迷しているのは、相場全体の流れに影響されているだけで、必要以上に売られていることもあります。米国の相場格言に「人が売るときに買い、人が買うときには売れ(Buy when others sell; Sell when others buy.)」というものがあります。少なくとも、株価が低迷しているからといって、将来的に魅力がないという訳ではないことは、頭の片隅にでも入れておきましょう。

 銘柄としては、景気回復への期待感が高まる時に物色されやすいゼネラル・モーターズ(GM)、航空機需要の減退の影響を受けていたゼネラル・エレクトリック(GE)ボーイング(BA)、重機大手のキャタピラー(CAT)、化学大手のダウ(DOW)、半導体製造のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、などが挙げられます。

ディフェンシブ株

 一方、ディフェンシブ株は、その名の通り、「守りに強い」銘柄をいいます。株式市場で「守りに強い」とは、景気後退局面でも業績、株価が大きく崩れにくい銘柄を言い、それだけ、人々の生活に密着している業種になります。具体的には、生活必需品の日用品、食品・飲料、その他にはたばこ、医薬品、そして公共セクターの電力・ガス、鉄道、通信などです。
 ただ、これらのセクターの銘柄もノーリスクということはありません。日用品や食品・飲料などは、成長の余地が限られる業種です。公共セクターも業績が急激に悪くなることがない代わりに、急成長もありません。そのため、大きく株価が上昇することは狙いにくい特徴があります。

 ディフェンシブ株への投資のタイミングは、安定性が求められる時ですので、景気減速、もしくは景気後退懸念が強まった時です。いまのように、各中央銀行が大幅な利上げに動き、景気を減速させているタイミングが当てはまります。

 銘柄としては、生活必需品セクターのコストコ・ホールセール(COST)プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、製薬大手のファイザー(PFE)ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、通信のAT&T(T)、ヘルスケアのユナイテッドヘルス・グループ(UNH)などが挙げられます。

金融政策の変更は?

 現状、各国・地域の中銀は、インフレを抑制させることに躍起になっていますが、この政策をいつまでも継続することはありません。直近の6月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示されたドットチャート(FOMCメンバーの政策金利予想)では、利上げは2023年中に終わり、2024年から利下げが開始される見通しとなっています。さらに、米金利先物市場では、最近の米景気の減速を受けて、来年3月には利下げが開始されると見ている向きも出てきています。

 いまの米国、そして、世界の経済情勢を考えると、ディフェンシブ株に食指が伸びますが、そう遠くないタイミングで景気敏感株を仕込むような場面が訪れる可能性がありそうです。

記事作成:2022年7月15日

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