君じゃないと

久々にエフェクターボードのメンテナンスをした。

エフェクターボードってのは、ギターの音色変える時に使う機械が無数に並べられたロマンの塊のようなものである。

俺くらいになるとだいたいエフェクターボードを見ただけでその人の今までの生い立ちからこれからの未来や運勢それからラッキーアイテムとかその人が何歳で誰と結婚するかくらいまでならわかる。
嘘である。

まあ、それで、メンテナンスしようとシールドを買ったり(ギターに繋がるコードみたいなやつな)パッチケーブルを買ったり(エフェクター同士を繋ぐ線な)準備を整えて挑んだわけだ。

俺のボードに並べられているのは歴戦の強者たち。
常に80点出してくれるーズである。
120点はなかなか出ないけれど、どんな環境でどんなギター繋いでもだいたい80点以上は出してくれるという、そんなエフェクターたちをセレクトして並べているのだ。
残りの20点は自分の手で出す。

大事ポイントとしては
「普通の音が出る。」
ことである。
これがなかなか難しい。
80点ズたちは、味付けの塩梅が絶妙なのである。
いい意味で普通なのである。

そして、「どこでも買える」
ぶっ壊れたらすぐ買いに走れるものが安心である。
それがないのでいいライブできませんでしたプー
では済まないのである。


チューナー
オーバードライブ
オーバードライブ
ディレイ

の4つ。
一時期は7〜8個繋がってる時もあったが、一つ減り、一つ減りしてゆく中でも残ったのが
この4つである。

ライブの環境では安定して動いてくれることがとても大切で、もうマジトラブルだけは勘弁。
なのであんま多く繋ぎたくないし、そして、どんな環境でもだいたい同じ音でなってくれないと困るので、要素を増やしたくないのである。

一通り掃除をして、珍しくちょっとエフェクター拭いてピカピカにすっかー!
と思いノブを取って磨こうとしたところ

ぽろっ、、、

あ、、、れ?


何とディレイのノブが訳のわからん取れ方をしてしまったのである。
ポットがぶっ壊れたというわけだ。

大事にしていたことには違いないが、そんなに高価なエフェクターでもないし、上記のように、いつでも買えるもので揃えているのでそろそろ買い替えなさいということなのかもしれないと、ひとまず楽器屋に。

「あー、廃盤っすねぇ」
(かえって調べたけど生産終了してないっぽい。)


あ、、、れ?
マ?

時代は変わるもんである。

仕方がないので、違うディレイを探すか、、、
ということで店員さんにお付き合いいただいていろんなディレイを試奏することに。

しかし、全部音がクリアすぎる。
綺麗すぎるのである。

俺が使っていたディレイは
エレクトロハーモニックスというメーカーのメモリートイというディレイで、アナログディレイという種類のディレイである。
しかも、このディレイ、踏むと音量が上がるのである。
結構「あーん。これは上がりましたねぇ」
って思うくらい上がるのである。
ディレイは一般的には音量が上がるエフェクターではないが俺はむしろそこが好きでブースター代わりに使っているのでこれじゃないといけないのだ。

某ンドハウスでもまあまあの言われようである。
まあもちろんいいレビューもあるのだが。


「あいつ音量あがってうざいよなー」
「あーわかるわかるー私も思ってたー」
「星3つにしてやろうぜ」
「草www」
って言われてるようにしか見えない。

もはや、薄くかけるしか使い道がないと言われる始末である。


このメモリートイ、上位機種にデラックスメモリーマンという機種があって、そいつはもう伝説のディレイとして世に名を轟かせている。
映画俳優に例えるならマーロンブランドって感じである。ゴッドファーザーの。(主観)

お兄ちゃんは優秀なのに。
あなたはどうしていつもそんなにダメなの!
と言われておそらく心に深い闇を持っているディレイ。
それがメモリートイなのである。

しかし、俺もお人好しじゃないので
もうこの際上位機種買っちゃうか。へへん。
と裏切りの試奏をさせてもらう。


できることが多すぎる、、、!!!笑
音はとてもいいのだが、できることが多すぎて手に負えない、、、

モジュレーションの量も自在、、、
音量の上がり方も自在、、、
なんということだ、、、
選択肢がありすぎてもはや無いのと一緒である。
音は最高なのだが、ライブでこんな多機能なもの使った日には歌詞がまた飛んでしまうではないか。
いかんぞ。

ハイスペックすぎる彼女に劣等感を持って酒浸りになる男の気持ちで断念。

次にテープエコーのシュミレーターを弾かせてもらう。
俺「あー質感はめちゃんこいいっすねー。あーでも音量あがらんのかー、、、」

店員さん「音量上がって欲しかったら後ろにブースター繋げばいいんじゃないですか?」

正論すぎて一回聴こえないふりをした。

店員さん「1ループのスイッチャー使えばワンアクションでいけますよ?」


いや、わかっとるがなそれは!
それは分かった上で、ほんと、無茶苦茶言ってすみませんけど。
という気持ちでお尋ね申し上げておりますんや。
それは。

そら、一発でいけるけどやな!

いけるけどやな、、、

けど

それでいけるがな、、、!!


でもちゃうねん!!

俺「スイッチャー嫌なんですよー、、、」

店員さん「じゃあもう、メモリートイ買うしか無いっすね」

俺「っすねぇー。」


そういうわけで
「そんなに元彼のこと忘れられへんねやったら元彼とよりもどせや。」
「そうする、、、」
と、元彼の返事も待たずに別れを決断した女子の如く楽器屋を後にした。


最初はそんなに大したことないディレイだと思っていたけれども、使い続けることで大切な自分の音の一部になってたんだなーと思った。
人間が道具に合わせるのがアナログのいいところだと俺は思う。
そうしているうちに身体の一部みたいになってゆくのだなぁ〜。
なんて思えたのでとてもいい出来事であった。



ちなみに、エレクトロハーモニックスの販売しているエフェクターは揃いも揃ってクセ強なのであるが、極め付けは

この9v電池。

エレハモの社長である。
マイクマシューズさん。
エフェクター、めっちゃ爆音になりそうである。

興味ある人は エレハモ 社長
でググってみたらめちゃ面白い記事いっぱい出てくるよ多分。