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フレンチおじさん

1/12(水)
この前、職場に集荷にくる郵便屋さんに、
「踏み入った事を聞いてすいませんね、あなた、昔歌手とかやってた?」
と聞かれた。

郵便屋さんのおじさんは仕事ががさつで、よく会社の郵便物を放り投げて集荷カゴに入れたりしている。私含め、対応する事務員に対して無駄な世間話をしようとしてくるので、事務員以外の従業員からは怪訝な目で見られている。
見た目も行動も、がさつなおじさんって感じ。競馬場とかにいそう。フォーマルな場所は似合わない。

私は「やってないです。なんですか、誰かに似てますか?」と聞いたら、
「いやぁ、フランス語で歌うたう歌手にいそうな声をしてるから」と言われる。

思わず「フランス語ですか?!」と大笑いしてしまう。
余談だが、私はもう一つの職場でよく大笑いをしていて、後輩に「先輩って文字通り”あっはっはー!””はっはっはー!”って笑いますよね。いつも響き渡ってるのでどこにいるかすぐわかります」とよくいじられている。
事務の職場では普段そんな高らかに笑う場面はないが、フランス歌手と言われて思わず「はっはっはー!!」と笑ってしまった。

あんまり無駄話をすると近くにいる社員に怪訝な目で見られてしまうので、適当にやり過ごす。自席に戻って、隣の席の先輩に「声がフランス語の曲を歌う歌手っぽいって言われました(笑)」と報告した。

その後普通に仕事をしていたが、ふと(あのおじさん、あのナリでフランス語の曲とか聴くわけ?)と思い、じわじわと口角があがる。
あのおじさんの脳内に「フランス音楽」という引き出しがあること自体面白い。吉幾三とかしか知らなさそうなのに。

それから数日たったが、郵便屋さんのおじさんと顔を合わせる度に(こんな顔してフランス音楽聴いてんだよな…)と思うようになってしまった。

おわり

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