【日記】 凍死を覚悟した1時間

3月4日から3月10日までの日記です。
今週は長いです。

2024.3.4

なんともただらなぬ空気が漂っている。

科を改め2週間がまた始まる。
初日の集合時間ぴったりにカンファレンス室につくなり学生担当の指導医が飛び込んでくる。
「じゃあこれ回して」
押し付けるように渡されたプリントの束を横に回していく。
その最中でオリエンテーションが開始され,2週間毎にしているであろう同じような内容を口早に説明している。

なんか怖い。
え,なに,外科ってこんなに雰囲気悪いの?

この時点で既にこの2週間のQoLに対して期待値が大きく落ちたように思う。
特にこれといったイベントが起きていないが,第六感で悟り切る。

「じゃあ午前中は外来見てね」
というわけで外来陪席をするのであるが。
指定された診察室には医師がいない。

幾ばくかして女医がやってきた。
「学生さんこっちの部屋行って」
「あと診察室に置いてある椅子は使わないでね」
なんともまあ圧の強いこと強いこと。
結局,隣の診察室で外来陪席した。
圧は強いけど口ぶりは優しめなおじさん医師で幾分かよかった。
医療の現実や悲しい側面について長々と雑談砲撃を食らい,少し疲れた。

午後に手技のレクチャーを受けた。
不器用には糸結びは難しかった。

バイトに出勤。

2024.3.5

指導医が放任タイプであったため本日は全休にしようと考えていた。
そんな中で対照的にかなり厳しい指導医に当たってしまった仲間がおり,彼を支えるため手術見学に入ることにした。
午前中だけ見て午後は家でゆっくりしよう。
いきなり生まれる全休も調子が狂うので,ちょうど良い。

この判断が大きな間違いだった。

転移のある腫瘍の手術で,予定時間は4時間。
うんうん,午前中で帰れるね,帰って料理の作り置きでもしようか。

これ,結局9時間になった。
18時を回った時計を見た時,これだけ手術長引いたのか,と疲れがより増幅された感覚を得た。

疲労感の理由は長引いたこと以外にも存在する。
執刀医からの指導,お叱りによるものである。

手術見学の際,
①手術室の中で術野モニターなどを参考に遠巻きに眺める
②術野に入る
の2つの見学形態がある。

術野とは,手術を行う目にみえる領域のことである。
手術を行う人,術野に近づく人は当然"清潔"でなければならない。
臨床実習まとめの記事を書こうかと思っているので,"清潔"についてここで詳しい説明は控えるが,要は「患者さんの身体を汚染しないようにしようね」というところである。
清潔に留意し術野に入るためにはガウンを着用する必要がある。
OSCEの項目にあったので手順は覚えているが,実際の場で着用したことはなく自信はなかった。

ここで事件は起きた。

「じゃあpayくん術野入ろうか。手洗いできる?」
「はい,できます」

あとで悟ることになるが,手洗いというのは単純に手を洗うことではないらしい。
手洗いに対する「手を洗いガウンを着用し清潔な状態にする」という手術部の常識を知っておけばこんな受け答えはしなかっただろう。

手袋の付け方がOSCEと異なっていて時間がかかり,要所要所で詰まった。

「できるとできないははっきりしてほしい」
「できないことはちゃんとできないって言わないときちんと指導を受けられる機会を逃すし他の誰でもない君のためにならないよ」

とてつもない正論すぎて,小さめの「ウッス,ウッス」を連発。

できないことを隠そうと強がりで「できる」 発言をしたわけではないのでそこまでダメージはないものの,このような言われ方をするとさすがに萎縮してしまいます。

2時間術野に入り終了。
お腹を閉じる際に糸結びができるかどうかを聞かれたが,即答。
「できません!!!」

2024.3.6

午前中の外来実習をサボる。
急に手術が入り見学。
午後は自分の指導医の手術見学をはじめ2つ手術見学。

一日で手術3つ見学した人になった。
こいつ外科志望????

部活に出席。疲れた。

いいニュースもある。
≒JOYメンバー個別撮影会 vol.7,当選。
やったね!

2024.3.7

特に何もなく終わった。

バイトのあと社員+他のバイトで駄弁っていたら朝6時になっていました。

明日8時集合ぞ?

2024.3.8

睡眠1時間でカンファ,6時間手術見学。
そして追いコン。

疲れた。

申し訳ない,まだ続きがある。
というかここからが今週の山場かもしれない。

追いコンでだいぶ騒いだ。
普段飲まないのにだいぶ飲んじゃったわけで。
歩きは問題ないもののかなり酔ってしまった。

1次会のみで帰る予定だったので退散。
電車に乗る。
帰るぞ。

ちょっと寝てしまっていたみたい。
お,ちょうど着いたかな。

あの。
どこですか。
知らん駅。知らんホーム。
山間部の無人駅で周りにコンビニなどの店は一つもない。

死ぬのか…

23:28。
時刻表をみるも逆方向の電車はとうに終電が終わっている。
持ち物はスマホ,モバイル充電器,財布。
外気温は6℃。
無人駅の待合室は屋外と変わらない。
すぐ帰るだろうということで薄着。

これは,あれか。
終わったか。
ここで凍え死ぬのか。

知り合いに連絡するも,金曜日ということもあり飲み会に行っている人間が多くあてがない。
3人目にしてようやく捕まえることができた。
1時間後に迎えにきてくれる。
本当に,よかった。

微塵の誇張なく,命の恩人である。
あと1時間山間の冷え込みに耐えれば助かる。

待合室には幸いなことに座布団があり,脳血流を守るために頭を覆った。
ガタガタ身体を震わせながら考える。
窮地を悟り酔いから覚めた思考はぐるぐる回転する。

なぜ電車で座った?寝るに決まってるやん。
そもそもなぜあんな量飲んだ?盛り上げるために量飲めるほどもう若くないよ。
なぜ薄着?上着着てこいや。
迎えにきてくれる友人がいなかったら本当に命ないよ。

やがて瞼が重くなる。
意識が遠のいていく。

「起きた!大丈夫??」
救世主の登場である。
助かった。
どうやら眠り込んでしまったらしい。

連絡の履歴を見ると,出発と到着で連絡を入れてくれていて,到着後に着信を入れてくれていた。
彼の話では,到着しても連絡がないので待合室を覗いたところ,長椅子で横たわっている自分を見つけたらしい。
声をかけても揺さぶっても目を開けないし,呼びかけに対して唸るばかり。
痛み刺激でやっと目を開き覚醒し,安堵したらしい。

結果として,助かった。
彼がいなければ,早朝に凍死体で発見されていた。

家へ向かう最中の会話は和やかなものだった。
実習期間に入り,班で行動することとなり話す機会がめっきり減ってしまった彼。

和気藹々と談笑しながら僕らの街へ帰る。
話題はお互いの実習での愚痴や小話。

死にかけた直後だというのに,なんかいい夜だった。

無事に家に帰り,暖房ガンガンにして眠りについた。

長い一日だった。

・ピンチになったら位置情報を残す
・飲み帰りの電車は立つ

今後の戒めとして今回の経験を記憶に残す。

2024.3.9

泥のように眠っていた。
無人駅までの運賃を支払った。
ひと仕事終えて仰ぐ晴空は,いつもより綺麗に感じた。

クレープが曜日限定で安かったので奮発して2つ買った。
ツナエビアボカドとチョコ。
美味しかった。

≒JOYの現役女子高生との向き合いもありました。

「お話会の服装を知らないままお話会に臨み,対面した時にびっくりするやつやる!」といった趣旨の自分の投稿を本人が見ており,それに対して「普通の服装でごめんなさい!」と謝罪をねじ込んでくる香乃愛ちゃんがとても面白かったです。

投稿を見られてるって,いいよね(オタク2年生)。

個別撮影会に行く旨伝えられたのでよかったです。
最高に楽しくそして充実した時間にするために入念に準備を進めていくこととします。

2024.3.10

高校生と試合をした。
いつもよりも走れなかった上にプレーの中で何もできなかったので気を落としてしまった。

試合後に食べたチキン南蛮は美味しかった。

ソース多すぎ。

トレーニング室の鍵を家の中で探して1時間無駄にしてしまった。
ものをなくすの,本当にやめたい。

総括

実習もそうであるが,自業自得の窮地も併せて過酷な一週間を過ごすこととなった。
意識や感情で解決できないことは仕組みで解決していこう。
二度寝をしない,物の置く場所を決める,行動にパターンを持たせる,などなど。

実習の話では,そろそろ優秀くんの横暴へ何らか対処の必要性を感じてきた。
ちょっとだけ長く生きている身として,しっかり言ってあげないといけない場面もあると思うので,機会を伺うことになる。

また,とある理由で実施している増量も引き続き継続する。

来週も頑張ろう。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?