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ユーラシア大陸横断 乾杯の旅 #無料キャンペーン #Kindle

あらすじ

「旅立ち」はこう始まる。「――赤坂プリンスホテルのスィートルームで三蛇酒を飲んでいた。周囲には力尽きて、そして酔いつぶれて眠っている人が20数名。――中略――ふと目を覚ましたとき、心は決まっていた。エネルギーの輸入に行こう。そして人生の楽しみ方をもっと学んでこよう。パーティを愛し、より一層パーティから愛されるために、酒とパーティの本場ヨーロッパに行かなければならない。――かくして旅立ちが決まった」。表題の添句は文化探究の修辞ではなく、まさしく本作は「ユーラシア飲酒旅行」と明快に銘打たれる作品だったのである。ザムザムコーラ(酒ではない)、スーテッツァイ、タラグ、ウォッカ、ビール、ワイン、テキーラ、ラム……、グラスをジョッキを傾けつつ、時に酩酊し、時に強盗団に軟禁されかかりながら、ローラーコースター的ユーラシアの旅が続く。酒、パーティ、人生をこよなく愛する著者の確固とした人生哲学に裏打ちされた、痛快無比の大陸横断記である。
もっとも、当初はユーラシア大陸最西端のポルトガルのロカ岬を旅のゴール地点に定めていたが、それは完遂せずに終わっている。そもそも到達地を目指すことが本作の主眼ではないのだから、これは著者らしいご愛嬌と言える。しかし、ただひたすらに酒を飲みつづけたという記録なら独居するなり居酒屋を占拠するなりしてもよいわけで、”旅”というモチーフを取り込んだからには風趣や習俗、国民性、文化を一瞥する非日常的な視点が無論必要だ。そして本作の場合、「酒を飲む」という明快な切り口を終始通したことで、意外にもこうした視点が際立ったのである。例えば、潰したトマトとチンギスハーンウォッカで作るブラッディメアリを飲み干し思い巡らすモンゴル帝国史、エキゾチックな躍動感に満ちたラトビアの屋外バー、ザルツブルグのユースホステルのパーティ、盲目や車椅子の客が陽気に酒を飲むスイス・オーストリアのバーでの”バリアフリー”の考察、ドイツ~エストニアを航行するフィンランド船での船上デッキパーティ。酒を愛する人間同士の、国籍を越え、思想を越え、文化の垣根を越えての交流に彩られた紀行は、異国の相貌をこの上なく明瞭に抽出するものとなった。本作品は、旅という命題に対峙しての冷静な視点と、エッセイの面白さという両面の興趣を期せずして包含した実にユニークな旅行記だ。

*無料キャンペーンは5月6日17:00までです。

目次

0.プロローグ
 旅立ち
 リサイクルワン
1.中国
 決意
 中国とビール
 今週のロンドン
2.モンゴル
 モンゴル料理
 モンゴルの草原にて
 チンギスハン=ブラッディメアリ
3.ラトビア
 一人で酒を飲むことについて
4.リトアニア
 強制ビール
 ソビエトパーク
5.ポーランド
 軽く一杯
 Nastarovia!
6.チェコ
 軟禁
 再会
7.スロバキア
 無言のコンペティション
 犬と自転車
8.ハンガリー
 旅とインターネット
 ユーラシア大陸横断
9.オーストリア
 ゲージュツっていいかも
 鼻から水を出す馬
 信号と交通マナー
10.スイス
 日韓共催WC
 バリアフリー
11.フランス
 モンサン・ミッシェル
 フランスとワイン
12.オランダ
 陽気な人
 対人距離
13.ドイツ
 1Lビール
 バー
14.フィンジェット
 船旅
15.エストニア
 ついに
 長い休暇
16.ロシア
 Back to Asia
 ロシアの警官
17.シベリア鉄道
 プラツカートニ
 シベリアの風
18.新潟
 帰国
19.エピローグ
 フジヤマンボ!

*無料キャンペーンは5月6日17:00までです。

パクチー(P)コワーキング(C)ランニング(R)を愛する、PCR+ な旅人です。 鋸南(千葉県安房郡)と東京(主に世田谷と有楽町)を行き来しています。