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色のことばを残したい

「桜色(さくらいろ)」という色があります。日本で「ピンク」といえばこの桜色を思い出す人もいると思います。この色は平安時代に広まっていった色名ですが、平安時代の「花見」といえば桜よりも梅のほうが一般的でした。その頃には私たちがよく見るソメイヨシノ(染井吉野)ではなく、ヤマザクラの花でした。なので「桜色」は、ソメイヨシノの花は白っぽい色ではなく、ヤマザクラ系のもっと明るいピンクの色だったと考えられます。ソメイヨシノは江戸時代に増えた品種です。

サクラは種類が多く、ウコン(鬱金)の黄色やギョイコウ(御衣黄)緑の花が咲く種類もあります。桜という名前の由来は春に里に降りてくる稲(サ)の神が依代として使う座(クラ)という説があります。とても神聖な存在です。

『源氏物語』では桜の会に呼ばれた光源氏が朧月夜の君に出会う場面があります。そこで交換した扇子は美しい「桜の三重かさね」でした。その後、光源氏は朧月夜の君の父が開いた宴に「桜の唐の綺(き)り御直衣」を着て出かけます。それは表が半透明の白い生絹、裏が赤の重ねで、光が透過して桜色に見えたといいます。桜の重ねを纏う光源氏の姿はどんな姿だったのでしょう。

桜重ね

現代、世の中にはたくさんの色が溢れています。上代、平安の時代から美しい色名や色に関係することば続き、商品の色、服の色、空の色、花の色、数えられないぐらいの色で溢れていながら、私たちは色を表現する言葉がとても貧弱です。古来から日本人は色に敏感であり、文学には300を超える色が登場します。ところが現在、普段の生活の中で20を超える色名を使っている人は、ほとんどいません。人は数十万、100万もの色を識別できる能力がありながら、日常的に使う色名はごくわずかなのです。多くの色名が日常から次第に消えています。

長い歴史の中で人が表現してきた美しいことばを知り、自分でも応用して使ってくださることで、色のことばはみなさんの心と共に広がっていくと思います。全ての色のことばには意味があり、ひとつひとつの深い物語があります。

そんな色のことばを学んでいくセミナーを開催します。ご興味ある方はぜひご参加ください。みなさんと古代からの色の由来を知り、色について考え、どう使っていくかを考えていきたいと思います。

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「色を使って問題解決しよう」「色の可能性を広げていこう」をテーマにした色彩心理を研究会していきます。 「ポーポー色彩心理マガジン」は [学んで解決・学んで広げる] [参加して解決・参加して広げる] [仲間を作って解決・仲間を作って広げる] [相談して問題解決・相談して可能性を広げよう] といった内容に分かれており、ここでしか手に入らない希少な色の情報も含まれます。皆さんのビジネスや日常にお使いいただけます。マガジンで完結するものではなく、マガジンから様々な可能性とワクワクが広がります。

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