「魅惑の心理」マガジンvol.165(ビールのおいしさを増幅させる音楽)
広告代理店大手の博報堂は、東京大学の鳴海拓志准教授と共同で、クロスモーダル知覚で企業のブランド体験を進化させる実証実験「Human X Experiment(ヒューマンクロス エクスペリメント)」を開始しました。この実証実験の第1弾は「ビールのおいしさを増幅させる音楽」です。この音楽を聴きながら、ビールを飲むとビールのクリーミー感を増幅したり、炭酸感を強めたり、のどごし感を増幅する音楽だといいます。
「のどごし感」はあいまいでわかりにくい感覚用語ですが、飲食物が喉を通る感覚を嚥下(えんげ)感と言い、この嚥下感は味覚と同様に飲食において重要な要素とされています。のどを通り抜ける時の快楽感ともいいましょうか。飲料の中でもビールにはよく使われる表現です。ここからもビールは単純な飲み物でもなく、他の飲料とは差別化された存在だと感じます。
このビールと音楽の関係を説明する前に、クロスモーダル知覚について少し解説します。今までの認知心理学では視覚,聴覚,触覚 といった個別の感覚の研究が進められてきました。ところが近年では資格と味覚など感覚間の相互作用についての研究が進んでいて、こうした多感知覚のことをクロスモーダル知覚と呼んでいます。
視覚が聴覚に影響を与えるマガーク効果などは有名な例です。「ガ」と言っている映像に、「バ」と言っている音に変えて視聴すると、「ガ」でも「バ」でもなく、「ダ」と聞こえる不思議な効果です。言語の音と視覚の印象が連想されるブーバキキ効果もクロスモーダル知覚のひとつと考えられます。
さて、このビールのおいしさを増幅させる音ですが、実際の音楽はこちらから無料登録で聴けます。
クリーミー感を増幅する音楽が「CREAMYCREAMY」炭酸感を強める音楽が「LIGHT SODA」、のどごし感を増幅する音楽が「HEAVY NODOGOSHI」です。
どうでしょう。イメージは一致しましたでしょうか。では今回の「魅惑の心理学」は、この音楽とイメージの世界、クロスモーダル知覚の世界に少し足を踏み入れてみましょう。
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