「魅惑の心理」マガジンvol.202(ラーメンを食べたくなる心理)
ラーメンを無性に食べたくなることがあります。頭の中に「ラーメン」が一度、登場してしまうともうラーメン以外考えられなくなります。なんでしょう、ラーメンを求めるこの渇望感。ラーメンを食べたくなる心理は「食に対するこだわりから」「気分転換したいから」「疲れているから」などと言われていますが、「それだけではない」何かがあると思います。確かに疲れているときには、味の濃くて塩分がたくさん入ったラーメンを求める気持ちになることはありますが、「味濃い」「塩分」ならばチャーハンでも、カレーでもいいわけです。でも、心はラーメンを求めています。
人が知らないようなマイナーな心理を追い求めることに生きがいを感じているポーポーは「人がなぜラーメンを求めるのか」という問題を重要課題と考え、心理学で紐解いてみたいと思いました。ラーメン好きの人の行動を調べたり、ヒアリングをしたり、関係論文などを漁ってみたりして、その原理を調査してみました。すると、人がなんでラーメンを求めたいのかが、ぼんやりとわかってきました。それはまるで、ラーメンスープに沈んでいた半熟卵を発掘したときの喜びのようでした。
ラーメンを求める心理は、今のストレスフルな社会と無縁ではないようです。人はストレスを受けると塩分を求めます。塩辛い料理が食べたくなります。味の濃さの刺激を受けることでストレスを軽減しようとすることもあるでしょう。そして塩辛い旨味の刺激でアドレナリンが出て快楽を作ります。この快楽は病みつきを作る危険なものでもあります。
また、ストレスは脳で大量のエネルギーを消費します。すると脳は唯一の栄養素である糖質を欲します。そのため、塩辛くて炭水化物つまり糖質が入ったラーメンは最高の料理なのです。ラーメンにライスは激アツになるわけです。ライスが進む家系がサラリーマンや若者に人気なのは、このような背景があるのかもしれません。
個人的には家系ラーメンは「かため」を頼みます。注文してから早くくるのではないかなという期待感からです。スープに絡めた海苔にライスを包むとそれは至高の真珠にようです。個人的にはチャーシュー増し、うずら入りが好み。ほうれん草があると、何か「体にいいかも」と根拠なく「許し」を感じてしまいます。
さてさて、「塩辛い」+「炭水化物」はラーメン以外にもあります。
なぜラーメンでなくてはならないのでしょう?
一般的なラーメンの糖質は65g程度。カレーはなんと100g以上あります。ラーメンライスになるとカレーと同じかそれ以上。そしてラーメンてなくてはならない理由のひとつが塩分かもしれません。カレーも塩分の多い食べ物ですが、ラーメンはカレーと比較して約倍以上あります。スープという魅惑の存在に塩分がたっぷりとあるのです。この糖質、塩分は一般的なものであり、お店によってはもっとマシマシで入っている可能性があり、中毒的になっている可能性もあります。
またラーメンのニンニクも大きな魅力です。疲労が溜まるとニンニクが欲しくなります。二郎系や家系ではたっぷりのニンニクを付けることができます。疲れた現代人が欲しがるものがたくさん入っているのです。もはや、これはラーメンを「食べたい」ではなく、「食べたいと思わされている」と言ってもいいのではないでしょうか。
また、ラーメンは見た目が美しいものが多くあります。透明のスープに沈む黄色い麺。ネギの青。中華そばならナルトの白と赤。近年の家系でしたらほうれん草の緑、チャーシューの茶色、玉子の黄色。美しい見た目をしています。視覚的にも満足します。清冽な水と生命力溢れる粉で打った麺、透明なスープを纏って喉を通り抜けるのはもはや芸術です。
ラーメンの中毒要素は特別です。刺激が病みつきになることに加え、何度も来店すると単純接触効果(ザイオンス効果)から、ラーメンに対する好感度も上がってしまうのです。そしてラーメン店は複数あり、けして飽きないように循環できるのも病みつき要素を作ります。近接の要因という要素もありそうですね。だいたいラーメン店は駅の近く、通り道など近いところに数軒はあるものです。
お酒を飲んだ後にラーメンを食べたくなるのも実は科学的に解明されています。アルコールを分解するのにはブドウ糖が必要で、アルコールをたくさん摂取すると、分解するために炭水化物を欲します。ブドウ糖は炭水化物に含まれています。ラーメン屋は深夜まで営業している店が多く、飲んだ後に炭水化物を補給するのに向いているわけです。
ちなみに皆さんは何ラーメンが好きですか。私は醤油、味噌、豚骨とブームがあって今は美味しい塩ラーメンが食べたいです。高校時代に「ザ・ラーメン」というすごいこだわりの店に一人で入りまして、塩ラーメンを注文しましたら、親父がニャリと微笑みまして「兄ちゃん、塩ラーメンには普通の塩ラーメンと本当の塩ラーメンがあるけどどうする?」と聞かれ、ビビって「ふ、普通ので」と注文してしまったことをちょっと後悔しています。「本当の塩ラーメン」それはいったいどういうものだったのでしょう。
二郎系ラーメンはニンニンクに油という悪魔的な組み合わせです。チャーシューの存在感。そしてたっぷりの野菜が罪悪感を薄める心理効果があります。二郎系のお店は男性しか見かけませんでしたが、最近、女性の姿が増えたなと感じます。
澄んだ醤油ラーメン。美味しい水の喜多方が発祥だけあって、スープのクリアで味わい深さが魅力。「疲れた」ときではなくて、日常で食べたくなる一杯です。特に昼に行きたい。
濃厚な味噌がたまらない。濃い塩分が疲労を洗い流してくれるよう。味噌汁を飲みたい心理に似ています。圧倒的に仕事帰りの夕食です。
逆に言うとラーメンが食べたいときは、「疲れていないか」「ストレスが溜まっているのかも」というセンサーにもなるのです。塩分とカロリーの摂りすぎには注意して、楽しいラーメンライフをお過ごしください。
あと、ラーメンの好みって変化しませんか?
私は醤油から味噌に行って今は断然、塩ラーメン。そして、この流れに関係なく家系はいつでも食べたいです。
求める味の変化は、単なる「好み」だけではなくて、そのときに求めている心の状態とも関係があるのではないかなと思っています。
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