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「魅惑の心理」マガジンvol.250(顕在的自尊心と潜在的自尊心)

最近の人を見ていると自分の価値を低く見積もっている人が目立ちます。「私なんて、たいして価値がない」
「私にできるわけがない」
「○○さんがうらやましい」
こんな思考を持っている人が多いと思うのです。

自分には価値があると思う感覚、感情、これを「自尊感情」「自尊心」といいます。自分は何もしなくても価値があるという感覚・感情です。自己肯定感と同じように使われることもありますが、自己肯定感は何かをした結果として、自分の行動・結果を評価する感覚・感情として使われます。感情の出所が少し異なります。

「プライド」と同じように使われることもありますが、心理学でいう自尊感情はプライドとは少し異なります。プライドは人から認められたい気持ちを内包し、傲慢や自慢のようなネガティブなイメージを含むことがありますが、日本語は曖昧な言葉も多いので、使い方がなかなか難しいと感じることもあります。

さて、この自尊感情、日本人はとても低いのです。日本、アメリカ、中国の高校生を対象とした意識調査では「自分は他の人々に劣らず価値がある人間である」という質問に対して、「よくあてはまる」「まああてはまる」と答えた高校生は、アメリカでは83%、中国では80%に対して、日本では45%だったのです。日本人は世界の中で圧倒的に自分の価値を見出せない人たちが多いのです。

私はこの日本人の自尊感情の低さをとても問題だと思っていて、書籍にも書きましたし、ことあることに説明してきました。自尊感情は低いと色々と自分に悪影響を与えます。自尊感情が低い人はマイナス思考に陥りがちです。物事を悪く捉え、「きっと、うまくいく」と考えるよりも「きっと、うまくいかない、失敗する」とものごとを悪く捉えたり、想像してしまう傾向があります。この思考の回路が自信を持てない原因のひとつでもあります。また、困難に出会っても粘り強く努力して乗り越えることができず、簡単に諦めてしまいます。そして、自尊感情を忘れてひたすら頑張って、何かを達成したとしても心には虚しい風が吹き抜けて、本当に自分の実力かを疑います。心の痛みに敏感になり、いつも何かを考えて悩みがちです。どうも思考が内側に向きやすく、そして答えのない問題にいつも向き合っていきます。今回の「魅惑の心理」ではこの自尊感情、自尊心について、少し深掘りをして「顕在的自尊心」と「潜在的自尊心」というものを考えつつ、自分の自尊感情について考えていきましょう。

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