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「魅惑の心理」マガジンvol.187(俺メシ症候群)

あなたにとって大事なもの、大切にしたいものはなんでしょう。「友達」「恋人」と考える人がいるかもしれないし、「家」「車」と思う人もいるでしょう。ローンを組んだりしたら、高い買い物を大事にする気持ちはわかります。もしかしたら、その車は憧れの車なのかもしれませんね。ちなみに私の友人はルパン三世に憧れてフィアットを買って命の次に大事にしていたけど、本当に故障が多くて非常に苦労していました。そんな車なので逃走には全く向かない車なのですが、たまに故障するのがまたかわいいらしいのです。結局は個人によってそれぞれということなのだと思います。

ある会社が「あなたにとって大切なものは?」というアンケートを取りました。すると「家族・子ども」と回答した人が63%ともいて、2位の「健康・命」の10%と大きく差を開けた圧倒的な1位でした。結婚をしていない人も含まれているので、家族持っている人の回答は7割や8割といった数字になることも推測されます。

でも、これ本当でしょうか?

「大切に考えているもの」を実際に「大切にしている」とは限りません。アンケートではそう答えるけれど、本当にその通りに行動しているとは思えません。最近、人の心理傾向で気になるもののひとつに、パートナーに対する共感能力の薄さがあります。身内にひどい言葉を投げかける人の多さです。代表的なのものが、奥さんが病気、体調不良、育児でダウンしているときに、仕事で帰ってきた夫がその様子を見て「えっ、俺の飯はどうなっちゃうの?」という言葉です。妻がダウンしていることよりも、自分の食事のことが気になってしまうのです。似たケースで具合が悪い家族に対して、「大丈夫?」ではなく、「そんな具合悪そうにしていると、俺まで(私まで)具合が悪くなるじゃないか」と言う言葉です。

こうした共感能力の低さ、自己中心的な発想が深刻だと感じます。

食事がないからと文句を言いながらコンビニに買いに行っても、体調が悪い妻に自分が好きなフライやお肉の弁当を買ってきたり、さらには食べられないというと、「せっかく買ってきたのに」とキレたりする人もいます。ポーポーはこれらの状況でのパートナーの心無い反応をまとめて、「俺の飯はどうなっているの症候群」、略して「俺メシ症候群」と便宜的に呼びます。

なんでこのような心理が生まれるのか、もちろん共感能力の低さが原因なのですが、様々な問題が複雑に絡んで発生していると思われます。今回の「魅惑の心理」マガジンは、この俺メシ症候群のメカニズムと、ではどのように向き合っていくのが良いのか、ヒントになるような対策を考えていきます。

○発生のメカニズム

なんで「俺の飯は?」「こっちまで具合悪くなる」というような無神経な発言が起きるのでしょう。そしてこうした行動は男女共にありますが、圧倒的に男性に多く見られます。共感能力が低いのに、自分が病気で寝込んだりすると、食事の世話をしてくれない妻に対しては「薄情だ」と言います。妻は奴隷なのでしょうか? 

こうした思考は脳の働きにひとつ原因があり、それが男性特有のものになっていると考えられます。

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