見出し画像

VTuberのPR動画削除問題について(性的対象の変化と心理)

女性キャラクターのVTuberが、千葉県警の交通安全を啓発するYouTube動画に登場しましたが、「性的対象物として描写されている」「女性蔑視や性犯罪を誘発する恐れがある」と全国フェミニスト議員連盟からの抗議を受け、削除される事態になりました。

この問題は SNSでも大きな話題となっています。主な声は「表現の自由だ」「この映像と性的なものを結びつけるのはおかしい」「文句を言って取り下げるのはやり過ぎ」というような、8割、9割は全国フェミニスト議員連盟からの抗議に対する非難に思えます。

まず、可愛いキャラクターを使って交通安全を啓蒙しようとした千葉県警の方向は何ら問題ないし、良い視点だと思います。世界でもキャラクターを使って選挙の投票率を上げようとする動きはすでにあります。これは行動経済学でいう「ナッジ」という考えで、強制的にではなく、人が自発的に望ましい行動を選択することを促す考え方、手法のことです。

製作会社も「かわいらしいイメージで作っただけだったので、性犯罪を誘発するとか書いてあったのは正直驚きました」と言っていますし、私もこの動画が性犯罪を誘発するなど感じませんでした。ただし、問題を秘めているもの事実です。

日本人では若い女性がミニスカを着て、胸を強調したり、美脚を見せて、それを見て楽しむ文化・商法が進んでいます。みなさんの見えないアンダーグラウンドなところで複数の問題を引き起こしています。ここで誤解ないように言いたいのですが、男性が若い女性を求めるのは生物的な本能であり、女性がイケメンと仲良くしたいと考えることと変わらず何も悪いことではありません。露骨と思わないで聞いていただきたいのですが、生物が種をたくさん残したいと言う本能の観点から自然です。

基本的に若い男性が若い女性を求めつつ、すごい若い子が好き、やや好き、普通、いや私は年上がいいなと考えるのが生物として自然な形です。これが性嗜好の多様化であり、自然な形です。ところがアニメなどの影響で、若い女性に集中したり、性的に見る傾向はあります。

こうした傾向はずっと前からありましたが、顕著に出てきたのは1980年代。幼女への性愛を描く映画や漫画が増え、ロリコンという言葉が使われるようになりました。この頃からアイドルのような実在の少女に固執する人と漫画の二次元の中のキャラクターに執着する人が現れてきたと思われます。

次第にこの表現はどんどん一般的になり、女性を表現するのはミニスカートの女性になり、胸を強調したり、美脚を強調する表現が多くなりました。多くの人がそうした美少女キャラに萌え、制作側は売れるから同じような形式にこだわっていったのです。そして、その表現は一般化し、若い女性を表現するものとして、「かわいい」の象徴になりました。そこに性的な意図がないものも多く増えてきました。男性だけでなく、女性もかわいいと感じて、好んで見る女性も多く増えています。

つまり、確かに全国フェミニスト議員連盟が言うように、ミニスカ、美脚強調、ヘソ出しなどの表現は、性的対象物として使われてきた歴史があります。助長して誘導されるのも事実です。しかし、今では多くの人たちは男性、女性ともに単に「かわいい」の表現の一つとして捉えていることが多くあります。そこに大きな乖離が存在するのです。

現代では私はこの二つの感覚が重なっている時期と見ています。なので全国フェミニスト議員連盟が批判する背景もわかりますし、 SNSで多くの人が言う「そんなこと感じない」と言うのもわかります。個人的には一般的なアニメでこうした表現が使われるのは問題はないかもしれません。ただ多様性を考えると色々な表現の一つであってほしいと思います。特定の趣味を助長する、しかねないことは自覚していただきたいとは思います。

この表現を警察のPR動画に使うとなると、不快に思う人や、性的な対象として見られる可能性も出てきても不思議でないと考えます。大事なのは確かに発信側の意図ではなく、受信側がどう感じるかです。

どちらにしても、喧嘩腰ではなくて、こうした問題を整理して考える時期なのかもしれません。


参考資料として、過去に書きました日本人男性がロリコン化するメカニズムの原稿をリンクしておきます。


いつも応援ありがとうございます。 みなさまからいただいたサポートは研究や調査、そしてコンテンツ開発に活かしていきます。 ミホンザルにはバナナになります。