【絵本日記】おこった！おこった！かいじゅう

げんかんをあけると、かいじゅうが笑顔でたっていた。

「ガオ〜！（おかえりー！）
  ガオガオガオ（寒かったよね）
  ガオガオ？（きょうは、どんな1日だった？）
  ガオガオ（あ、そうだ聞いて聞いて！）」

かいじゅうは、マシンガンのごとく、ほえつづける。
でも、今日のボクはげんきがない。

「ガオ？（どうしたの？）」

気がすむまで、ほえつづけたかいじゅうは、ようやくボクが元気がないことにきづいた。

「別に。なんでもないよ」
「ガオ？（いやなことでもあったの？）」
「いい。ほっといて」
「ガオ？（おなかはすいた？）」
「おなかはすいてるけど、たべたくない」
「ガオガオ！（ごはんたべよう！）」


ボクは、ゴロンと横になる。

「ガオ〜！（ごはんできたよ！）」
「……うん」

たべる気力がわかない。
きょうは、いやな一日だったなぁ……。

「ガオ？（冷めちゃうよ？）」

もう、やんなっちゃった。
いつも見てるSNSのアカウントけしちゃおう。
ぜんぶ、ぜんぶ、けしちゃおう。

その時だった。
ボクは、背中にとてつもない殺気をかんじた。
ふりむくと、かいじゅうが、まっかな顔をして、たっている。

「ガオ〜〜〜！！（いいかげんにしろー！）
  ガオガオ（ご飯できたの！）
  ガオガオガオ！（あ！アカウントけしてる！）
  ガオガオ！！（そんなことしてもだめ！）
  ガオガオガオ！！（それこっちによこせ！）」

かいじゅうが、馬乗りになって、ボクに炎をはきながら、携帯をとりあげようとした。

「やだ！」
「ガオガオ！（そんなことしちゃだめ！）」
「ほっといて！」
「ガオ！（だめ！）」

おこった！おこった！

おすもうのごとく、ボクとかいじゅうのとっくみあいがはじまった。

おこった！おこった！

強い。
かいじゅうの力はとんでもなく強い。
さすが、かいじゅうだ。

おこった！おこった！

「ガオガオガオ！！（さっきからメソメソと！）
  ガオ、ガオガオ！（ごはんたべなさい！）
  ガオ〜！！！！（たべろー！！！）」

おこった！おこった！

ボクにだって、おちこむけんりはある！
分からずやのかいじゅうめ！

おこった！おこった！

ふと見ると、まっかな顔をし、ひっしに携帯をとりあげようとしているかいじゅうの顔があった。

「ププッ」

ボクは思わずわらった。
ボクの負けだ。
ほんとうに、どうしようもないかいじゅうさん。

「わかった。たべるよ」
「ガオ！（よし！）」

かいじゅうは、ボクをつくえのまえに、すわらせた。

「ガオガオガオ（ちゃんとたべて）
  ガオガオガオガオガオ
 （今すぐにげんきになれなくてもいいから）
  ガオガオ（ちゃんとたべて）」

つくえの上には、ホクホクと湯気がたつごはんがあった。
あたたかいごはん。
これ。
ボクがきのうつくった、カレーの残りじゃん。

「いただきます」
「ガオガオ（めしあがれ）」

かいじゅうは、まんぞくげに住処へともどっていった。

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