法務の情報収集のやり方

サマリ

  • 法務が情報収集を行う目的は、法改正対応などのため。

  • 情報収集先は、商事法務や法律事務所からの案内など。

  • 収集した情報は、必ずタスクに落とし込む。


1. 背景

事業部門は近時のトレンドや競合他社の状況などについて情報収集を行う。新商品の開発、販売予測、他社の評判や自社に活かせる施策の調査など目的は様々だ。

法務部門においても情報収集を行う。主な目的は、次の2つである。

  1. 法改正に対応するため。

  2. 他社の不祥事や裁判動向を自社のヒヤリハット事例に転用するため。

情報収集の必要性や情報の活用方法などは、事業部門も法務部門も同じだ。事業部門の動き方や施策を常にサポートしている法務部門であれば、なおさらそのように感じるのでないか。

今回は、収集先や収集方法を中心に、法務の情報収集のやり方を書く。


2. どこから収集するか

情報収集先は、次のものがある。

  • 商事法務メルマガ(https://www.shojihomu.co.jp/page/merumaga

    • 内容:官庁等情報、企業等の動向、裁判動向、法令に関する状況など

    • 配信:週2回(火曜日・金曜日)

    • 特徴:広範囲をカバーできる

  • 法律事務所のニュースレター

    • 内容:官庁等情報、法令に関する状況など

    • 配信:不定期

    • 特徴:専門的な内容が多い印象

  • X(旧twitter)

    • 内容:投稿者による

    • 配信:即時

    • 特徴:その分野に関心のある投稿者の意見を聞ける

各種法律メディアから収集する方法もあるが、注意が必要である。二次情報に過ぎないものや、情報の充実度の足りないものもあるからだ。

その他、自社事業に関する監督官庁のメルマガやHP記載の広報資料を参照する方法もある。


3. どうやって収集するか

一つの場所に自動的に集めるのが理想である。メルマガ配信しているものはメールで、RSSはSlackで、その他のWeb掲載情報や口頭で聞いた情報はNotionで、のように情報がバラバラな状態だと、情報が流れてしまい、必要な対応を怠る危険がある。

たとえば、Gmail、Slack、RSSをすべてNotionのデータベースに集約する。設定の仕方は、noteで他の方々が記述されているので、そちらに譲る。Web掲載情報は、Chrome拡張機能のSave to NotionかNotionのWebクリッパーを使う。


4. 収集した情報をどうやって使うのか

収集した情報は選別が必要である。1記事あたり数秒で、記事タイトルと本文の最初の方を読んで、自社に関係があるかどうかを判断する。判断できないものは、「自社に関係があるもの」の後に読む。そうすると、次の3つに分類できるはずだ。

  1. 自社に関係があるもの

  2. 自社に関係があるかわからないもの

  3. 自社に関係がないもの

分類したら、1.と2.の本文をそれぞれじっくり読んで、自社における対応の要否、緊急性、重要性を検討する。対応が必要で、緊急性と重要性の高いものから、順番に潰していくことになる。

対応が必要なものは、細分化したうえで、タスクに落とし込むことが重要だ。法改正対応の仕方は多様である。マニュアルを微修正するだけの軽微なものから、社内規則と業務フローの変更や、その変更のための社内決裁と社内調整が必要となる重大なものまである。重大な対応の場合でも、時間だけが過ぎていくことを避けるため、一歩一歩のタスクは小さく刻み、すぐに動き出すように心がける。


今回は、収集先や収集方法を中心に、法務の情報収集のやり方を書いた。スタートアップには目新しさのないやり方かと推測するが、初見の会社さんにとっては、自動的な情報収集、情報の一元化と選別、タスクへの落とし込みは、案外できていないのではないか。内容の充実した情報の鮮度が高いほど、会社さんの中での対応時間を確保できるメリットがあるため、効果的かつ効率的な情報収集のやり方をこの機会に考えてみるのもよいかもしれない。


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