見出し画像

テゼに響く祈りの歌声

コロナ前の最後の訪問先、フランスのテゼ村から戻ってちょうど1年が経ちました。

テゼ(Taize)とは、フランスのブルゴーニュ地方にある村で、そこにある「テゼ共同体」は、キリスト教の男子修道会。カトリック、プロテスタントの各教派出身の修道士から構成され、いつでも多くの若者が集まってきています。一日3回の祈りと黙想の時間があり、短い歌を何度も繰り返す歌のスタイルは「テゼの祈り」として、日本でも様々な場所で目にする機会があるかもしれません。

私はこれまで日本での「テゼの集い」にちゃんと参加してきたわけでもなかったものの、以前よりテゼの祈りの歌の心地よさにひかれ、「いつかテゼに行ってみたい」と思っていたところ、友人の計らいでようやく昨年それが実現できました。

「テゼ」との出会いは日曜学校から

もともとは所属している教会の日曜学校の合宿で「テゼの祈り」の時間があり、「テゼ」という言葉をはじめてしりました。明かりを消した部屋にロウソクがともされ、床に座り、ギターの音にあわせて短い祈りの言葉を何度も何度も繰り返すスタイルイコール「テゼの祈り」と思い込んでおり、テゼが場所の名前であることすら知りませんでした。

今から8年ほど前の巡礼でイスラエルを訪ねた際、訪問地最後の教会であるヤッフォの聖ペトロ教会で、ある曲が静かにずっと流れていました。聖地巡礼の最終日、帰国便にむかう空港に行く前に立ち寄る「ヤッフォ」は、「これで旅が終わってしまう」という寂しさがこみあげてくる場所でもあります。これまでの巡礼の日々を思い出しながら、最後の教会で静かに過ごす数分はただでさえ少し感傷的になりがちです。聖堂内の椅子に座ってじっと目をつぶっていた時かかっていたその時のメロディーがなんとも心地よく耳に残りつつも、ずっと何の曲だかわからずにいたところ、数年後にそれがテゼの「Bless the Lord」であることをたまたま知ることになります。それから貪るようにテゼの歌を聴き、テゼのことを調べ、ひそかにテゼブームが到来していた私だったのでした。

テゼ村に到着

パリからTGVで約3時間、バスで数十分の距離でテゼ村に着くことができます。夏の間はテントを張って滞在する若者であふれる場所とのことですが、冬の間も大型バスを利用してヨーロッパから来たと思われるグループで想像していた以上ににぎわっていました。

画像1

1日3回の祈りとシンプルな食事の時間以外は若者たちは祈りの分かち合いをしたり、長期滞在する若者が先導して食事の世話や掃除などを分担してくれていました。大人(年長者)向けは冬場はプログラムがなく、私たちはのんびり散歩をしたりしながら時間をすごしていましたが、祈りの時間の「静」の時間と、それ以外の若者たちの「動」の時間の違いが大変興味深く、祈りの中にも存分に楽しみ、交流する彼らの姿はとても魅力的にうつりました。

画像2

テゼの祈りの世界に触れて

3日間テゼに滞在しましたが、帰る頃が近づくと、祈りの場にもういられなくなることがなんとも寂しく、「ずっとここにいたい」という気持ちにさせられましたが、聖堂内は撮影厳禁で、祈りの歌の雰囲気は記憶にしっかりとどめるしかありませんでした。お気に入りの、そしてテゼと出会うきっかけとなった曲「Bless the Lord」がうたわれる度に心が高鳴りましたが、それ以外の曲にも魅かれ、次なるお気に入りの曲は「Let all who are thirsty come」となりました。

ところが、その後まもなくしてのコロナ蔓延。テゼの祈りの形にもすぐに影響が及びます。滞在者に制限がかけられ、祈りの場も小さい部屋になり、ボランティアもやむを得ずテゼ村から退出となってしまいました。しかしながらその代わりに、祈りの様子をネットでも配信してくれることになったのです。

私にとってこの思いがけないテゼとの「再会」は、コロナのおかげ、といっては語弊がありますが、非常にうれしいものでした。時差の関係でリアルタイムで祈りに参加するには早朝になりましたが、録画されたもので十分満足することができました。(家事をしながら配信を見るととても家事がはかどります!?)

テゼの祈りにいつでも触れられる配信

その後も配信はつづけられ、facebookやyoutubeなどでも今も観ることができます。

Taizé - YouTube(https://www.youtube.com/channel/UC7eh2w-pOp8u8nf7afQbNgQ)

Taizé | Facebook(https://www.facebook.com/taize/videos/?ref=page_internal)

教会から聖歌が消えしばらくたつ中、テゼではかわらず歌をベースにした祈りの時間が続けられ、ほんとうに美しく心が洗われる気がします。

いつしか元通りの日々になっても、この配信は続くといいなと思っています。そしてぜひ近い将来、またテゼ村を訪ねたいものです。

(上のステンドグラスはテゼ村の聖堂内にて撮影)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?