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世界史漫才64:毛沢東編

 苦:今回は、毛沢東です。中国共産党の指導者で1949年に中華人民共和国を樹立しました。
 微:そうだな、2008年は「聖火消し競争」から盛り上がった北京オリンピックの年だったしな。
 苦:古い話を蒸し返してやるなよ。
 微:2020年からはウイグルの強制収容所や香港の民主化弾圧も盛り上がってきたな。
 苦:それは世界中から苦情が出ているんだよ。
 微:2022年の冬の北京オリンピックは、香港・ウイグル・チベットからの強制労働で準備するんだろ?
 苦:悪口はそこまでにしときましょう。キミのLINEのログはすべて大連のサーヴァーに保管されているんですからね。恥ずかしいメールも、与太話も。
 微:いや、習近平国家主席は素晴らしいです。毛沢東同志と並ぶくらいに。
 苦:よほどヤバいネタ握られてるんですね。まず、「中共」という言葉から説明しますね。
 微:名古屋にあるスポーツだけの高校・大学だろ?
 苦:それは中京。中国共産党の略で、コミンテルンの指導のもと、1921年に陳独秀と李大釗らによって中国共産党が結成されます。時間は飛びますが、1949年に蔣介石が敗れて台湾に逃亡したんですが、日本とアメリカは台湾の中華民国を中国を代表する政府という姿勢を崩しませんでした。
 微:領土のほとんどは中国共産党というか中華人民共和国の統治下にあるのに?
 苦:中華人民共和国を認めず、「大陸側を中国共産党が支配しているだけ」「中華人民共和国は国家ではない」と主張したい人々が意図的に使ったのが「中共」だったんです。ですから「死語」なんです。
 微:今の中国外務省の強気の発言も「私語」の域だな。
 苦:話を戻すと1924年に「連ソ・容共・扶助工農」のスローガンの下、第1次国共合作が実現します。
 微:それって、『塩素強力混ぜるな危険』じゃなかった?
 苦:それは最近の日本の自殺ネタだろが! まったく、もう。国民党と共産党が対等に提携した1937年の第2次国共合作とは違い、中国革命の主役は国民党を率いる孫文であることを確認しました。そのため、国民党に共産党員が個人の資格で入党する形式を採りました。
 微:日本の閣僚も靖国神社参拝を『個人として』とはっきり言えばいいのにな。
 苦:個人として参拝したら意味が無いだろ、遺族票が欲しいのに。1925年に孫文が死去し、義弟でもあった蒋介石が後継者の地位を確立します。1926年に蒋は第1次北伐を開始し、共産党も行動を共にします。しかし、都市部での共産党の躍進を見た蒋は共産党を危険視します。イギリス・アメリカも蒋介石への支持を打ち出します。遂に1927年4月12日、蒋介石は背後から都市部に集中動員されていた共産党員を一斉に弾圧します。要するに即、逮捕・処刑です。
 微:注文から30分以内に処刑しなかった場合は、料金は要りません、ってアピールしたんだよな。
 苦:それは宅配ピザだろが! この上海クーデタで中国共産党は壊滅的な被害を受けます。しかし、コミンテルンに従わない反主流派は江西省で健在でした。
 微:江西省だから景徳鎮だな!
 苦:それは陶磁器だろが! 毛沢東は井崗山を拠点に地主を農村から追放した解放区を拡大していきます。そして1931年に瑞金を首都とする中華ソヴィエト共和国臨時政府樹立を宣言します。
 微:1991年のソ連の保守派による8月クーデタみたいなもんか?
 苦:全然違うよ! 共産党殲滅に執念を燃やす蒋介石はアメリカの援助で入手した戦車・戦闘機・爆撃機を使って執拗に共産党を攻撃します。国共内戦です。
 微:内線だと通話料金かからないからね。
 苦:文字にしないとわからないボケはもういいよ! 毛沢東は瑞金をあきらめ、陝西省延安を目指します。1934年から1936年まで全長12,500kmを足かけ3年かけて走破した長征です。
 微:それに猿岩石が同行していたよな。
 苦:それは香港からロンドンへのヒッチハイクだよ! 誰も覚えてねえよ。蒋介石は日本の侵略を蚊くらいに考えていましたが、共産党は内部からから食い荒らす寄生虫のように危険視したわけです。
 微:満州から南下してきた関東軍を放置してだろ。放置って、絶対、こいつ、変態だぜ。
 苦:自分の趣味を押しつけないように。長征中も、毛沢東には有能な右腕がついていました。後に中華人民共和国初代首相となる・・・
 微:知ってる、知ってる。周富徳だろ、浅ヤンに出ていた。脱税発覚後、テレビで見ないけど。
 苦:周恩来だろ! 話を戻すと、1936年に共産党は延安に到着し、そこを根拠に勢力を回復していきます。共産党員も加入と内部結婚で子どももできてどんどん増えていきます。
 微:ネズミ講だな。いまなら訪問販売法で一網打尽だぜ。
 苦:無視、無視。そして1936年12月に張学良が西安事件を起こし、拉致した蒋介石に国共内戦停止と統一抗日戦線結成を訴えます。
 微:でも解放された蒋介石は「遭難したところを救助してもらい、居心地がいいので36年も経っていました」って白々しい記者会見したんだよな。
 苦:それはヘギョンさんのダンナだろが! そして1937年の周恩来会談を経て日中戦争で第2次国共合作が実現し、戦線が延びきった日本軍は1945年8月にポツダム宣言を受諾して中国側は戦勝国となります。戦争中は、非戦闘員に対して南京大虐殺事件を起こし、石井四郎らの七三一部隊の人体実験やら、開発した毒ガス兵器の使用と未使用分の地下隠蔽など、多くの被害を与えたわけです。
 微:なんで厚生労働省は隠蔽を手伝ってやらなかったんだ? 得意分野で強力しろよなあ。
 苦:1945年にソ連軍が満州を攻撃して来た時、関東軍と満鉄関係者は先に逃亡していましたから、民間人は子どもを残して命からがら日本に逃げ帰りましたが、それがために中国残留孤児の悲劇が生まれ、今も解決に至っていません。
 微:私も大学で同級生たちが先に卒業し、一人取り残されました。
 苦:それは純粋な意味で自己責任です。 1946~49年の国共内戦に勝利した共産党は1949年10月1日に中華人民共和国の成立を宣言します。大陸を失った国民党は台湾に逃亡し、独裁を敷きます。日本はアメリカに追随し、中華人民共和国を1972年の日中共同声明まで無視しつづけました。
 微:お前に無視されるから、そのつらさ、よくわかるよ。
 苦:国交が回復した時、周恩来は『中国人民も日本国民もファシズムの被害者である』というアクロバット論理で戦争被害を水に流しました。美談でもありますが、格下から賠償金なんてもらえるか! という中華帝国の論理でもありました。
 微:いやいや、やっぱり中国は大国だな。隠していましたが、私、実は毛沢東主義者です。
 苦:本当かよ? お前が『毛沢東語録』や『実践論』を読んでいるとこみたことないぞ。忘れ物するたびに教室にある他人の本をカリパチしているだけじゃねえかよ。
 微:はい、『何でも現地調達』が私の信条ですから。
 苦:意味が全然違うだよ! お前は単に節操がないだけだろが。
 微:でも、所有権を否定するのが共産主義じゃねえのかよ。
 苦:それは土地や原料などの、経済的不平等を生み出す生産手段の話。盗むのは共産主義でもダメなの!
 微:ついでに告白すると、私はかつてスターリン主義者でした。
 苦:どういう意味だよ? 自分を守るために友人を売っているのは知っているけどな。権力の座を奪いそうな部下を抹殺しなければならないような地位にお前はいないからな。
 微:高校入学から五カ年計画で大学入学を達成しました。友人の火寅くんは四カ年計画で達成したけど。
 苦:ただの二浪だよ!
 微:そして大学卒業までが第2次五カ年計画でした。
 苦:遊び呆けて留年しただけだろが!
 微:現在、就職に向けて第3次五カ年計画を発動したのですが、1979年にアフガニスタン介入でうやむやになりました。
 苦:それはソ連の話で、とっくにスターリンは死んでるよ!
 微:それはそうと、隠していましたが、私は実はマオイストです。
 苦:浅田真央のコアなファンなんです、なんて言うんじゃないだろな?
 微:なんでわかった!? キミは超能力者か?
 苦:半分予想できていたけどな。しかし、中国も1979年以降、「改革・開放」路線で猛烈な速度で経済規模が膨張し、今や中国抜きの世界経済は考えられません。昔から華僑や華人が海外で活躍してましたが、国民全員が今はもう、バリバリの金儲け一直線ですからね。
 微:そう、今年の標語が『豊かになれる者から豊かになりなさい』『進め13億総火の車だ!』だからな。
 苦:最後には日本の戦時中の『一億総火の玉だ!』だろ。しかし、共産党も危険な綱渡りというか、何億人もの命を預かっていますから、ちょっとの舵取りが政権崩壊を招きます。
 微:そうだよな。晩年の毛沢東の政治運営って、飲酒運転同然だったよな。わざとぶつけているとしか思えないような事故ばっかり。第2次五カ年計画とか、文化大革命とか。今の日本なら危険運転致死罪適用で、死者が何億だから、今の日本の刑法でも懲役100万年くらい行ってるぜ、絶対。
 苦:人口問題も深刻です。
 微:昔みたいに10年間隔で何千万人の人間を処分できないからな。
 苦:農村部を中心に、水面下に隠れた人口が何億人いるか。
 微:それで長江の水面が上昇して少しの雨で大水害が発生するんだな。
 苦:意味がちがう! 今のは比喩だよ、比喩! 1966年からの文化大革命で権力の座に復帰した毛沢東は1976年に死にます。
 微:中国人民が『もうたくとうではなくて毛沢山(もうたくさん)だ』って言ったらしいな。
 苦:ベタベタだよ。
 微:その波乱の生涯が社会主義市場経済の中国でボードゲームになりました。
 苦:本当かよ、おい?
 微:はい、その名も『毛沢東すごろく』です。
 苦:お前が振り出しに戻れよ!(パシッ!)

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