負け癖

 新チームの始動は良好で、守備が安定しているため強豪チームに一歩も引かず、よい雰囲気だと思われた。監督がどう思っているかは分からなかったが。
 守備はシャットアウトしているもののなかなか点が取れず勝ち切れない引き分けの試合がしばらく続いた。そんなある日、私は事故に遭い、しばらく離脱を余儀なくされた。

 私のいないチームは無惨なほどに守備が崩壊して全く勝てなくなった。

 私が復帰すると守備がまた安定したものの攻撃は相変わらずさっぱりだった。今で言うボランチの役割をしていた私のパスを受け取れるのが1人しかいなかったため、マークが厳しくなったことが大きい。他にパスを預けてもすぐ取られてしまうので八方ふさがりだった。そして勝ち切れない日が続いた。
 ある日、いつものように試合をしていると監督に呼ばれて試合中のバランスがおかしいということで、ポジションをサイドバックの1年生と交代しろと宣告された。それ以降はコンパクトな陣形が保てなくなり、パスカットもセカンドボールを拾うこともできず、守備が崩壊した。私がいない時と同じ状況になったのだ。相手が中盤で好きなようにボールを回し、守備が後手後手に回り、跳ね返しても誰もセカンドボールを拾えないという負けパターンにどっぷりはまってしまったのだ。
 新チームになってから3ヶ月ですっかり勝てないチームになってしまった。チームの雰囲気はどんどん悪くなり、どんよりとしていた。やる気がどんどんなくなるのが分かるも、外から来た上に即レギュラー扱いだった自分が何をいっても技術力が違いすぎて無理だ、と拒絶され聞く耳を持たなかった。新チームまで練習させてもらえてなかったメンバーとの壁は思いの外厚かった。

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