中学入学

 中学校に入学し、トレーニングパートナーがキャプテンをしていたサッカー部に入った。一応、存在はうっすらと知られていたようだ。
 「よし、じゃあ1年生は球拾い!」
初めて入るまともなサッカー部。右も左もわからず知り合いもいないため、郷にいれば郷に従え。ボールボーイ生活が始まった。クラブのU-15で普通に試合をしていたことを誰も知らない。卒業したキャプテンよりも上手いことはまともな練習に参加することがないので誰も気づきようもなかった。
 陸上部の女の子に話しかけられておしゃべりしながら球拾いをする毎日。練習を見ていると今までとは全く違うのでよく分からなかった。特に厳しい雰囲気はないけど上級生とは隔離されており、興味も湧かなかった。ゆるふわしながら日々は過ぎていった。この時期に特になにをしたという覚えはなく、目立つこともほとんどなかった。たまに1年同士で練習試合をさせてもらった時にうっかり普通に中央突破してしまって、「まぐれ当たりの得点」をするくらいだった。今から考えると本当にどうして誰も分からなかったのだろうか。楽しい雰囲気は良かったが、必殺技!とかでわーわーしていてレベルの差を感じてしまい、理解し合えることはなかった。

 後に家庭の事情でとなりの中学校に転校するのだが、最初の練習試合でコテンパンにしてしまうことは誰も想像できなかっただろう。私はBチームにも選ばれなかった。

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