新チーム始動

 中学2年になり3年が卒業すると否が応でも新チームのレギュラーとして試合に出るようになった。ポジションはセンターバックだったが‥‥。攻めの組み立てが出来ないけど一対一が強かったからなのだろう。ちなみに最近のサッカー漫画を見るとどうも左サイドハーフに適性があったみたいだ。
 新チームには全く期待できるような要素もなく、まともなレギュラーがあまりいなかった。部員が多くてもなかなか人材が集まることは難しいようだ。半分が1年生だった。守備は左サイドの1年生をフォローしながらという形であり、サイドハーフも走力がないため工夫が必要だった。そのため独断で4-3-3-の形を崩して3-4-3を併用した変則的な形にした。この年代は県大会上位を争うチームが同じ市町村に固まっており、地区大会に出ることすら難しくなっていた。負けるとダッシュ50本が課せられるのでさすがに負けたくはないものの最下位を争うこの戦力で勝てというのは無理というものだ。
 あまり頑張りたくはないのだが走りたくないので少し本気でやらないといけない。しかしポジション的に中央突破をするとたぶん怒られるので点を取るための反則技は使えない。そこで少しスレスレの技を使うことにした。相手の攻めパターンは中学生らしくほぼ決まっているので攻めの基本となるポイントを押さえてカットするのが効率が良い。幸いにも最終ラインは聞く耳を持つメンバーなので細かくポジションを指示する。少しでもずれたら面倒取りどころがずれるのでここはしつこくても守備ブロックの形を徹底して指示した。そして狙うのはつなぎのパスで、出す瞬間にコースを読んで猛ダッシュしてカットする。これでほぼシャットアウトできるので守備は安定である。次に攻撃に移るのだが攻めのメンバーが実に頼りない。すぐにカットされてなかなかシュートまで行けない。そこは仕方ないので諦めて、中盤のボールをダッシュでカットし、CFに当ててポストしてもらうことにした。作戦は成功し、無警戒な相手守備をすり抜けたCBがシュート練習と同じようにCFにはたかれたボールを受けてシュートをかましたのである。面白いように守備は崩壊して混乱した。しかしなかなかよいパスがもらえないので綺麗にゴールを決めるところまではなかなか行かなかった。CFはなかなか出来たやつでパスをしないで振り向いてシュートしたりもした。思いの外使えるやつだった。これを時々混ぜてほぼフリーでシュートすることができ、ときどき得点につながった。守備が県大会上位相手にも安定しているのでこれで十分だった。

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