心のカサブタブタブ
12月に少年たちと
サッカーをしてずっこけた時の、
両掌の傷がやっと消えた。
サッカーをしていて、
少年たちの足の速さに
ついていけない27歳。
グラウンドにて、
スライディング状態で両手から
すべり、黒いパンツを履いていた
その下の膝もすっていた。
黒いパンツの膝のところは
裏地は大丈夫だったけど、
表が両膝とも破けた。
少年たちに、
「サッカーやってたら怪我なんて
当たり前だよ」
といわれた。
少年よ、
君たちは治りがはやいんだ、
君たちはまだ若いんだ。
でも、
27歳女の傷はいずれシミになる。
結局、両掌の傷が消えるのに
3ヶ月かかった。
膝は少し肌が黒くなったまま。
歳を重ねるほど、
傷は治りにくくなる。
シミになる。
分かっている。
だから、しっかり傷を治すことが
大切なのも。
それでも、カサブタになると、
触りたくなってしまう。
カサブタができると、
また引っ掻いてしまうのは
小さい時からの癖。
できたカサブタを引っ掻いてみて
赤い血が広がっていくのに、
いつからか快感を覚えるようになった。
ちょっと変な癖ね。
あの、ちょっと色の濃い、黒っぽい赤とか、水っぽいサラサラの赤とか、
とにかく赤い血が、かさぶたの下から
吹き出てくる。
そして、わざと血がたくさん出るように押し出してみる。
怪我すると、かさぶたができると
いつもそうしてしまう。
カサブタを引っ掻くと、
傷はさらに治りにくくなる。
深くなる。
それを分かっているのに、
そうしてしまう。
目に見える傷跡があると、
わざわざ自分でそれを、
掘り起こして何度も
その赤い血を見てしまう。
カサブタブタブに絶対叱られる。
だって、
かゆいからって剥がすなよって、
BUMPはそう言ってたもん。
これって、同世代以上の人しか
知らない歌なのかしら。
膝や掌のカサブタだけじゃないの。
腕のカサブタも、肌荒れの跡も
治らなくて、ほくろとか傷跡とか
シミになってきちゃったの。
27歳なんだから、気をつけないと
そのうち、文字通り見た目が
傷だらけの女になっちゃう。
でも、カサブタブタブに、
会いたくなっちゃうあの、
カサブタができると引っ掻いて
血を出してしまって、
でも、その、
カサブタを引っ掻いて、
わざと血を出して、、
ちょっと指で押して噴き出させた時の
あの快感ｯってなんだろうね。
私は、あれに快感をおぼえるの。
まあ、カサブタから血を出すだけじゃなくて、
採血で注射器で血が抜かれているのを
見ている時とか、
今はもう持病で薬を飲んでいるから
もうここ4年半くらいしていないけど
献血とかさ。
私は、体重的にいつも400mlの献血
だったんだけれど、
あの、抜かれている間、
刺した針を通って注射器に、
それから献血の時はあの
なんていうの、血液バッグ？へ向かって
管を通って血が上って、
だんだん溜まっていくでしょう？
あれを見ているのが
すごく心地いいなって。
昔からそうだったわけじゃない。
血を見るのも苦手だったし
医療ドラマの手術シーンとか
見られなかったし、手術シーンや
誰かの怪我を見ると自分の身体も
その部位に違和感や痛みを覚える。
それにそういうのを見るのが
あんまり得意ではない。
でも、いつからか、血が抜かれている、怪我ではなく
自分の剥いたかさぶたから
血が噴き出ている
あれを見るのに何か
快感を覚えるようになった。
変なやつだわ。確実にドM、って
誰かに言われたっけな？
まあいいわ。そう、それで、
カサブタブタブになってからも、
目に見えるところにかさぶたがあると
引っ掻きたくなっちゃう。
あれって何なのかしら。
やっぱり、お別れが寂しいのかな。
でも、ほら、カサブタブタブを
剥がしちゃうとさ、
ここは任せとけって
守ってくれてるのにさ。
よくないよね。
あのカサブタブタブはさ、
喧嘩して転んで出来た傷で、
友達との喧嘩の仲直りまでを
見守っててさ、そんな歌よね。
目の前の自分の傷ばかり見えてさ。
もう一度元に戻るかなって不安でさ。
私、ふと気づいたの。
noteに付き合ってた彼のこと
結構書いたじゃない？
浄化しようとしているんじゃない。
忘れたくなくて、
彼のことを何度も書き残しながら
私は涙を流している。
心のカサブタブタブを、
剥がしては血が流れて、
痛くなって、でも、だんだん
心のカサブタブタブ、いなくなってるの
それが寂しいの。
あの、失恋した時、心から血が流れるような痛みがって、書いたんだけれどさ、
あれは、何度も自分で
思い出すことでかさぶたを剥がしてみて、まだ、残ってるよね？って
確認してるんだろうなぁ。
最近はずいぶん涙を流さなくなったけれど、まだ何度も過去のカサブタを
剥がしてみて、でも、気付かない間に
そのカサブタはだんだん治ってて
面積が減っていてさ、
カサブタの下だってずいぶん、
綺麗になって見えなくなっちゃってさ。
目に見えない想いは、
引っ掻いて痛いんだまだ痛いんだって
そうならないと、傷が自分に見えないの。
治さなきゃいけないなって
思いながら、治って消えてしまうのは
怖くてさ。
でも、そんなこと言ってたら、
カサブタブタブに叱られちゃうよね。
カサブタブタブの主人公のように、
勇気出して自分から、自分に、
過去に、相手に向き合いたいって、
行動起こさないと、
やっぱりいけないのかもしれないね。
カサブタブタブ、ほんとに名曲だよな。
ところで、カサブタブタブが
収録されたアルバムは、orbital period
つまり、
「公転の周期」。
地球が太陽をまわる周期のことは
普段生活していて、考える機会が
少ない人が多いと思うけれど、
そこにかわらずに、
意識せずともあるものよね。
私の人生、私の日常の視点ばかりになってしまうのは、仕方ないのだけれど、私的“私”と、公的“私”の視点って必要よね。
公的自己(仕草など他者から見える我)と
私的自己(感情や内面など)
の２つに意識を向けて少し、
私、という人間を見直してみようかしら。
このアルバムの収録曲、
かなり好きなの。
特に、メーデー、才脳応援歌、
プラネタリウム、supernova、かさぶたたぶ、花の名、カルマ、涙のふるさととか、もう学生の時からさ、。
その前のアルバムの、ユグドラシルは
ギルド、fire sign、sailing day、オンリーロンリーグローリー、特に前３つは、BUMPのたくさんの歌の中でもほぼトップで上位に好きなの。
はぁ…それにしても、
いつか、心のカサブタブタブも
いなくなっちゃうんだろうか。
やっぱりちょっと寂しいな。
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