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拝啓、1年後の私へ。



その日、私は六本木にある、
東京シティビューに用事があった。


約束のネバーランド展に行くのだ。


もう2ヶ月前からチケットもとって
楽しみにしていた。

午前中に、
ジムに行って少し身体を動かして

お昼ご飯を食べて、お昼すぎに
地元の駅を出た。

乗り換えも含めて特急に乗れば
六本木駅までたった4駅。

11時にジムが終わって、
2時間弱ほど、
エクセルシオールカフェにいて、

それから電車に乗って
六本木駅に着いたのは13:40。


約束のネバーランド展の入場は
14:50頃から。


LINEチケットでチケットを買ったのは
初めてで、どうやって入場するのだろう
というのが不安だったから

はやめに着く予定だったけれど、


地元のエクセルシオールで
2時間も時間をつかってから
電車に乗ってきたのに、
東京シティビューも、たった
1~2か月前に来たばかりで
迷子にならなかった。


開場の2時間前に着いてしまった私は
近くの担当らしきお姉さんに聞くと
どうやらチケットも受付時間に
受付に来ればそれで十分らしい…


時間があまりすぎたのでふらっと
外に出た。



毛利庭園に着く。

時はもう12月。

紅葉時期も終わったし、
「冬」というのに相応しい月になって
木々は葉を落としてしまっている
なんて思っていたのに目の前に
紅が広がった。

「今日は平日休み。
午前中ジムにいたのに、その
2時間後にはこんな景色を目の前に
しているなんて…」


午前中から身体を動かして、
そこら辺にあるカフェだけど、
WiFiもコンセントもあって、
使い勝手のいいカフェで
お昼は1人でたっぷり時間を使って
おやつ時には、予約していたイベント、
その前の時間に毛利庭園で紅葉を観る。


紅葉狩りにどこかへ出かける、ほどの優雅さはないかもしれないけれど


私にはこのくらいがちょうどいい。

場所によってハート型に見える
モニュメント。
そのハート型に見える場所には
1人で撮影する男性。

また別の1人で撮影する男性。

そして私。


10分くらい毛利庭園を楽しんで
六本木ヒルズに戻ると、クリスマスマーケットが開かれていた。

さっきは紅葉、次はクリスマス。


私は秋から冬に移動した。


いいねぇ〜。


車に乗った大きなクマのぬいぐるみに
出迎えられ、トナカイが屋根に
乗っているアドベント・ショップには
幾らかの人がクリスマスの飾りを
見ていて、

クリスマスソングが
めいっぱいにかかっている。

辺りには少しの家族連れ、
カップル、女友達同士。


私は1人。時刻は15時前。

みんな楽しそうだな、なんて思いつつ

でも私は1人気ままだった。


昨年の秋、クリスマスを
一緒に過ごすと思っていた彼とは
クリスマスの10日前に自分から
別れを告げた。
LINEで「さようなら」と告げて。


もう、1年経つんだなぁ。

昨年の今の私は、
もう既に壊れている彼との関係を
それでもまだ必死になんとか
修復しようとしていた。

友人2人に相談をして、
2人目の友人に、
「もう別れろ。別れたいんだよ。
でもプライドが邪魔して
言えないんだよ。
お前から言ってあげないと」

そう言われて。

その友人と直接会って話を聞いて
もらう前に、
自分の手でさようならをした。

昨年、あんなに、あんなに
必死で頑張ってしまっていたんだなぁ


なんて少しだけ感傷に浸りながら、
でも私は、一人で気楽に約ネバ展に
行くことを楽しみにしていた。

決して、
寂しくないわけじゃ、ないけれど。

たった2ヶ月くらい前まで、まだ、
自分から別れを告げた彼のことを
全然吹っ切れていないと、
思っていたのに、

別れてからおよそ1年経って、
あんなに1年前は、「1年経っても絶対立ち直れていない」なんて
思っていたのに、

私は、
1年前の自分が思っていたよりずっと
前に進んでいた。


時間が来て、タワーの中に入ると、

「1年後の自分に届けるメッセージカード」

というお手紙の企画とポストが
置いてあった、


へぇ〜、おもしろ、

なんて思いながら、
私は約ネバ展へ向かった。


1.5時間たっぷり約ネバ展を
楽しんで、しっかりファンブックまで
買い終わった私は六本木ヒルズの
クリスマスツリーにたどり着いた。


そしてまた、あれに出会った。

1日に2回も出会ったし、
私は昔からこういうことをしていた。

高校を卒業した後には、

19歳になった自分と、
20歳になった自分へ手紙を書いたし


19歳になった時には、
22歳の自分に宛てて手紙を書いた。


だから、未来の自分へ宛てての手紙は
私にとって決して目新しくなんか
なかった。

「お、久しぶりにやるか」、

そう思ってポストカードを手にしてから
2021年の12月の自分に宛てて、
しかもいつもは書いてそのまま部屋に
置いてるだけだけれど

今回は、ポストに投函して、
届くのかどうか分からないけど
2021年に誰かたちの手を経て
2020年の私から届く。


その「本当に過去の自分から届く」
という仕組みは、やったことがなくて

少しドキドキして、少し困惑した。

たった3~4行に何を……


そう思いながら
私は何かしらを書いた。

書いた手紙は写真に撮らなかった。


写真で記録してしまったら、来年の
自分の楽しみが消えてしまうもの。


1年後。

1年後の12月。

2021年の12月の私は、
何をしているのだろう。


多くの友人が、働いて、
大切な人と結婚をしたり
パートナーとしての人生を
歩み始めたり、

子どもができて親になったり、

仕事も数年たって転職したり、
上の方の立場になったり。

20代の最初の頃まで、
大枠は似たようなレールに
乗っていると思っていたその友人
一人一人が、それぞれの道へ進んだ。
新卒すぐ仕事をやめて、
あれからもうアルバイトで
実家暮らしのまま3年目になる私。

高校生の時、
似た者の集まりに見えていた友人は
みんなそれぞれの歩み方で、
別々の毎日を過ごしている。


大学生の時、
こんな風になりたいと思っていた人生を一歩も歩いていない私。


手紙に書いた
「28歳の私」という文字を見て、

「28歳…」と呟いてみると
震えていた。

なんて恐ろしい数字なんだ。

10代の頃思い描いていた27歳は
もっとずっと大人で、
27~28歳にもなれば
結婚して子どもがいると思っていた。


それがどうだろう。

子どもどころか、結婚どころか
恋人すら居ないまま、

正規職にもつけずに、
コロナでそのアルバイトすら減った。

10年前、高校生だった私は、
こんなこと想像していなかった。


高校生の時の私が、今の私を見たら
ガッカリするだろうな…


いや、20歳の時の私だって、
院生の時の私だって
あんなに頑張ってたのに、

今、こんな生活で
こんな27歳になってるなんて
知ったら、ガッカリするだろうな。


ごめんよ、過去の私。


そんなことを考えながら
外に出て、東京タワーをみながら、
蔦屋書店に少し寄ってから
家へ帰った。


過去の写真を振り返ると
「19歳になった自分へ」
高校を卒業する私より


「20歳になった自分へ」

同じ日、高校を卒業する私より


「22歳になった自分へ」

大学1年の12月の私より


三通あった。

どの手紙も、愛に溢れていて
未来の自分が楽しく生きているか
今の私がどんなに楽しいか幸せか、
もし、未来の自分が苦しいなら、
無理しないで。


と書かれていた。

過去の私は、未来の私が
幸せか、楽しいかだけを聞いていた。


稼げているのか、
周りと比べてどうかなんて
一言も書いていなかった。

ただただ、
苦しいのなら深呼吸して、と。

自分にとって幸せなことを選んでと、

そう書いていた。


ナイス!過去の自分。

優しいじゃない。


たった2日前に書いたばかりだけど
来年、届くだろう手紙に書いた内容は
もう忘れた。


だけれど、

来年の私は、今の私に
どう助けられるのだろう。

そんなことを考えて書いた。


「自分を救ってあげられるのも
今の環境の中で幸せを見つけられるのも私だけ」

27歳になって、
強くこう感じるようになった。


C’est la vie!


  27歳になって3ヶ月ちょっと。

27歳になって、私はやっと

人生を楽しむ余裕を持ち出した。

人生80年、春から順番に
人生の四季が巡るなら、

今はまだ、夏真っ盛り。


夏だもの。

パーっと楽しまなくちゃね!!


人生を振り返るにはまだはやい。
とにかく前に突き進まなきゃね!

そんなことを考えながら、
外に出ると、

外は暗くなり、
真冬の青いイルミネーションのなか、
東京タワーを背景に
写真を撮るカップルたちに
囲まれた。

カップルでクリスマス過ごすのかな、


やっぱりちょっと、羨ましいな。


クリスマスをまともに
恋人と過ごしたことのない27歳の私は
恋人のいる不自由さが羨ましかった。


来年の12月、
2020年の私から届く手紙には、
何が書かれているのだろう…


#クリスマス

#未来の自分への手紙

#未来の自分へ

#クリスマスイルミネーション

#秋から冬へ

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