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彼のことを思い出すとHIRAETHの気持ちになる。


 彼のことを思い出すと、
切ない気持ちとも苦しい気持ちとも
清々しい気持ちともつかない、
よくわからない気持ちになる。


 なんていえばいいのかわからない。



 寂しい、会いたい、楽しかった、
懐かしい、逢いたい、好きって、
好きだったって伝えたい

好きだったか聞きたい、

ぎゅーってしてほしい。


ぎゅーって返したい。


でもその一方で、


ちゃんとばったりでも、
彼に会えたら、今度こそ、
何も言わずに自分から、


久しぶり、
そういえば言い忘れたことあってさ。
あなたのこと好きだった。
すごく好きだった。
好きになってくれて、
付き合おうって言ってくれて
ありがとう。
わたし、前までの恋愛、
いろいろあって、だから
あなたが私のこと好きだって言って
くれて嬉しかったけど、
ずっと不安だった。不安だったけど
上手に甘えられなくて頼れなくて、
私のこと、ちゃんと好きだって、
一瞬でも思ってくれてたら
嬉しいよ。
好きをくれてありがとう。
大事にしてくれてたことに気づかなくて
ごめんね。
いろんなところ行けて楽しかった。
いつも、さらっとお金出してくれたり
家まで送ってくれたり
迎えに来てくれたり本当は
すごく嬉しかった。
ありがとうって伝えてたつもりだったけど、別れた後、私もっとありがとうって言えばよかったって、
もっと好きって自分から言えばよかったって、もっとあなたといる時の自分に自信を持てばよかったって、すごくすごく後悔した。
でも、さようなら。

そう言いたい。

 でも、もうあなたと付き合ってた時の私じゃない。

 もうあなたと付き合ってた時の
好きの気持ちとも少し違う。


もう、今のあなたのことを知らないし、あなたは今の私を知らない。


 私たちはもう完全な他人なの。


 あなたへの気持ち、
ぐっちゃぐちゃなの。

 ずっとあなたのことを考えている
わけじゃない。


 仕事もあるし、ドラマ観たりアニメ観たり全然あなたのことだけを考えているわけじゃないんだからね。


 でも、次の恋愛のことを、
恋愛のことを、これからの仕事のことを考えようとするとあなたのこと片付けないまま、付箋ぴらぴらついた状態で、


 自分でかたをつけなきゃ、って
わかってるんだけど、

 答えなんてもうずっと前から見えてるのわかってるんだけど。


 終止符を打てないまま。

こういう気持ちさ、

私、自分の田舎とか、まだ実家暮らしだからないんだけどさ、


でも、なんていうか、あなたのこと、
そういうしばらく離れてしまって
哀切の気持ちがあって、
悲しみもあって、
なんていうのかな。


私の心の中にずっと住んでるのあなたが。


懐かしいなって気持ちとか
寂しいなって気持ちとか
愛おしいなって思い出とか
その愛おしい思い出は
少し美しく脚色されて保存されてて
追憶っていうんだろうね。
昔の人を思い出しているっていうほど
あなたのこと過去にできたのかわからないけれど、
でもやっぱり、紛れもなく過去で。


あなたのこと思い出すと、
愛おしくて、
でも言いたいことぶつけたくて
でもぎゅーってしたくて
でも、怒ってみたくて。


なんかそういう私っていうのは
想像しただけで27歳にもなって
ちょっと…って自分でも
恥ずかしいというか呆れるというか。


複雑な気持ちになるの。


そんな気持ちに当てはまる言葉を
現すのが難しくて私はずっと
何度も何度もnoteに彼のことを書いて
思い出しては消えていないか
確かめて、一方でちゃんと
自分が進んでるんだってことも
確かめようとしてるの。

そうだ、だんだん私は、
進んで変わっているんだって。


でも時々、
もうあの時の私でも
あの時のあなたでもないことを
わかっているのに、
狂おしいくらい切なくなる。
胸が苦しくなるの。

だから涙出ちゃうのかしらね。


あなたにあってみたくて。
あって愛してるって
愛してたって好きだったって、
伝えたくて聞きたくて、


自分がちゃんとあなたの隣にいたのか確かめたくて、あなたは私を隣に置いてくれていたのか確かめたくなる。


こういう気持ちをあらわすことば、
やっぱり私の持ってる日本語の
表現幅ではうまく表せていないの。


 前に、ウルドゥー語のNAZ、
紹介したでしょう?あの本には、


HIRAETH


って言葉もあった。


 日本語的に読むと、
“ヒラエス”みたいな発音かしら。わからないけど。



 ウェールズの言葉らしいの。


ー 帰ることができない場所への
郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても ー(p.029)


 ああ、今私があなたに対して
持っている感情は、なかなか言葉にできなくて、だから結局どんなふうに言葉に出そうとしてもハマらなくて、友人に話すたびにいろんな言葉にしてでも結局、涙しか出なくて、その涙の理由を何か言おうとすると、「逢いたい」って言葉になっちゃう。


 「逢いたい」っていうのは、
本当よ。


 でも、日本語で、友人に泣きながらいう「逢いたい」の言葉だけでは、
全然伝わっていない気がするの。


 あなたになんてもっと届かないなって。


 あなたあなたって書いてるから、
いま私、すごく主観的、


 だから、彼に言い換えるわ。


 私、彼に「逢いたい」って
思いながら行動に起こせないのは、
過去は過去で綺麗にとっておきたい気持ちもあるのかもしれない。



 こういう気持ちをHIRAETHって
思うんだからわたし、あなたとはもう戻れないって思ってしまっているのかしらね。


 少なくとも次に会う時、
私はあの時の私ではないからね。


あなたといた時の私のこと
思い出せなくなってきちゃって
あなたのことも思い出せなくなって
あなたと手を繋いだ時の感覚とか
あなたに触れられた時の感覚とか
もうわからなくなっちゃった。
すごく悲しいな。


でも、あなたの洗濯した後って感じのとってもいい香りの洋服の香りとか、あなたの家の感じとか、
あなたとの待ち合わせ場所のこととか
車から見えた花火とか
あなたが作ってくれた卵焼きとか
覚えてるからね。覚えてるんだまだ。
いつか、忘れちゃうのかな。


遠い遠い、昔の私の田舎みたいに、
遠ざかっちゃうのかな…寂しいな。


終わるなら始めなきゃよかったとは
思わないの。あなたと出会えて
本当によかったから。


 でも、いい言葉を、知ったわ。


#hierath

#ウェールズ語

#翻訳できない世界のことば


参考文献
エラ・フランシス・サンダース. (2019).『翻訳できない世界のことば 』. 前田まゆみ訳. 東京:創元社. 第1版.


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