幼少期からパティシエを目指して12年、さらにパティシエを8年間続けた私が転職を決意。いざ転職をして思ったこと。

私は元パティシエでした。小さいころからお菓子作りに目覚め、
パティシエを目指して高校卒業後は個人経営の洋菓子屋さんに就職をし、
その後もまた別の個人経営の洋菓子店3店を移り、パティシエとしての技術と知識を学んできました。

ずっとずっと、親や周りの方々から応援してもらって約8年間続けてきたパティシエの仕事を、昨年の夏で離れることを選びました。
きっかけは、結婚。
私はずっと パティシエの仕事に夢中で、仕事ばかりの時間をすごしてきましたが
25歳になった時、このまま仕事やお店の事ばかりを考えるのではなく、自分のこれからの事をちゃんと考えていこう、
自分のための時間をしっかり作っていこう。
と考え始めました。


当時のオーナーシェフとは、もう本当にとても仲良くさせてもらっていたので、
わたしのその想いを伝え、少し時間にゆとりができるような勤務の仕方にできないかと相談をさせてもらいました。


自由に動ける時間が増え、体力的にも仕事が終わった後に飲みに行けるようになり、今の旦那様と出会って、結婚しました。


結婚してからも、パティシエの仕事は続けていくつもりでした。
お世話になったお店だし、もうここが私の生涯の仕事場だと、シェフと一緒に自分のお店のつもりで働いていました。(もちろん、実際にオーナーシェフとは責任も重みも全く違うのですが)

引っ越しも済ませ、新しい生活にもだいぶん慣れて来た頃、
もともと糖尿病の父が体調をくずし倒れました。


私と父は、私が3歳の頃から2人きりの生活をしてきました。
私が結婚をし、家を出てからというもの、男の一人暮らし・・・食生活が大変に乱れていたようで、糖尿病の数値がみるみる上がっていたようです。

仕事はもちろん、旦那さんとの新生活でいっぱいいっぱいだった私は、父の事をあまり気にかけられておらず、とても反省しました。

それからは、父の食事の事、仕事、旦那さんとの生活・・・と、この3つが私の生活の軸になり、またしても 自分の時間、一息つく時間がほとんどなくなっていました。

そこでたくさん考えて、父と旦那さんにも相談をして、一旦、仕事を削ろうと決めました。

糖尿病の父、旦那さんとのこれからの未来、好きなパティシエの仕事・・・
それぞれのすべてに精一杯の力を注ぐ事は無理だと考え、消去法で、私が自分で決めました。

好きな仕事だとまたたくさん力を注いでしまう私の性格をわかっている旦那さんから、

せっかく大きな決断をしたんだし、これまでとは全くちがう事をしてみたら?とアドバイスをもらい、現在、わたしは中古車屋さんの事務のアルバイトをしています。

事務なんて全くした事がなかったですし、パソコンの知識もお遊び程度でしたので不安は多かったです。

いくつか面接も落とされましたがなんとか現在の中古車屋さんで受け入れて頂くことができました。

私を受け入れてくれた現在の職場は、皆とても優しく、同じような境遇の方や同じ主婦の方、同じ飲食業からの転職で入社された方など悩みや愚痴も言い合えるメンバーでとても働きやすいです。

また、これまでのケーキ屋さんではなかったも同然の有給休暇がしっかり取れること、残業代がちゃんと付く事がとてもうれしく、家事や父の食事の事とも両立ができ、自分の時間もちゃんと取れています。

いままでは、みなし残業で最悪でした。

当然大変な事は現在の事務の仕事でもありますし、
中古車屋さんなので車の知識も私は一から学ぶようなスタートでしたので
周りの方の迷惑もかけているかと思います。
ただ、これまでの私は、菓子については当然 知識を人よりもたくさんもっていましたが、
そればかりで他に興味があまりなく、当然知識も小学生レベルの分野がたくさんありましたので、
新しく 知らないことを知る機会がたくさんあって、
知らないからこそ、驚きや楽しさがそこにある事を、日々感じながら仕事をしています。
それをからかったり、ばかにする人は、ほぼいません。
いたとしても現在は、それが気にならないくらいに 知らない世界を知って覚えて行く事が楽しいとおもうのです。

転職のきっかけは、あまりきっかけではなかったかもしれませんが、
周りの自分が大事にしたいもの、大事にしたい人の事を優先できる現在の仕事に転職をして、本当によかったと思っています。
パティシエの仕事を辞めたことに
もったいない!!と言われる事が多々ありますが、
自分でしっかり考えてきめた転職です。
なにも後悔はしていませんし、
人生まだまだこれから長いと思っているので、
女性として、子供を産んで、育てて、ひと段落した頃に
もう一度、パティシエの仕事ができたらいいなあと、なんとなく、思っています。
それまでにさらに
今知らないことを知って、ただパティシエとして成長するのではなく、
人間として成長していきたいと思っています。

わたしにとってこんなに大きな 考え方の変化をすることができた
きっかけをくれて、アドバイスをくれた旦那さんとお父さん、
また応援して送り出してくれたオーナーシェフに とっても感謝しています。

そしてこれから、
今よりもっと 女性の人生の転機に寄り添った働きやすい職場環境が
全国で整っていけばいいなと思います。