パティシエって辛くない?③
入社して半年程経ち、突然早番を言い渡される。
「来週から早番ね。間に合う時間に来ればいいよ。」
最初は全く意味がわからなかった。
先輩が早番をしてたのを見たことはないし、
何時に出勤すればいいのかわからない。
昔はやってたらしいが、復活したいとのこと。
そもそも普段、全員が5時に出勤してくるから
その前に仕上げるものを準備をしなくてはいけない。
自分の店舗、デパート、系列店のケーキ、
3店舗分を毎日作る。
何時に?どうやってやる?どの順番で?1人で?
疑問だらけだった。
だけどやらなきゃいけない、
早く出勤して先輩が来る前に終わらせる。
新卒半年の自分が判断した時間は
朝3時30分スタートだった。
お店のポリシーで、
パティシエール、シューは毎日朝炊きだった。
冷凍はしない。地獄だった。
真っ暗な夜中3時に起き、
自転車漕いで坂道を登り、途中勾配がキツイので一旦降りて自転車を押して進む。
後ろから電動自転車に乗った中年の男性?女性?が追い抜いていき、
ハァハァ言いながら坂道を登る。
パン屋さんの仕込み担当の方はもう出勤していて、
「おはようございます!」 と大きな声で挨拶。
「うす。」 みたいな小さな返事で返ってくる。
機嫌が悪い時は無視される。
パティシエの厨房に着いたら、
デパートと系列店、それぞれから届いた注文のFAXを確認して仕込む量を決める。
パティシエールを汗だくで炊き上げた直後に、
さらにシューを仕込み汗だく。
30コートのミキサーいっぱいに生地を仕込み
300〜400個のシューを絞る。
絞ってる間にシェフが来る。
次にスーシェフ、だんだん人が増えてくる。
シューが終わったら、
そのままシュー生地と炊き上げたパティシエールでポンヌフを。メレンゲ立ててコンベルサシオン。
カヌレを流して、釜が空いたらすぐ入れる。
どんどん作る。
シューが出たらパティシエールを詰めて、
配送の時間に間に合わせる、店舗は後まわし。
ポンヌフ、コンベルサシオンを仕上げながら、
カヌレの様子を見る。
走って仕事しないと間に合わない!!
それくらい毎日必死だった。
それが約1年続いた。
精神がおかしくなった。