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ソフビ金型製作の驚愕の動画!

現在ソフビを制作したいと考える人が増えている傾向にありますが、どうやって作られてるのか?
どのようにしたら作れるのか?
価格は?

しかし、そもそもの話をしますと町工場で作られているために知り合いのツテだったりコネがないとなかなかできない時代が続いてました。
高度経済成長期、大手メーカーなどが日本の町工場などの大量に発注しているために小ロットの、ましてや個人が、というものを受け付けていない、という現状でした。
ちょっと話がそれますが、問屋街などでも個人への販売というのは行われておらず、個人が購入したいと言ってもグロス販売や箱売りというものが基本でした。

80年代終わり頃から90年代初頭にかけて、流通革命が起きて問屋などが個人への販売をしなければ生きていけない状態となり、問屋街もどんどんとなくなりちょっと寂しいな、と感じておりました。

話を戻すと、ソフビ製作においても80年代くらいからプラモデルなどが主流になり、ソフビ自体も需要が減ったということと、アメリカから起きたグローバル化というものが日本の町工場から海外の下請けへと移行していき、日本のものつくりも大きな転換期を迎えます。
人件費の高い日本から安い海外へ…
そうなった時に工場も死活問題となりいかに仕事を取り苦境を乗り切るか?となります。
その頃から起ったのは個人やガレージキットメーカーがこぞってソフビ製品を出す、というムーブメントが起こります。

大量生産から中規模、小規模生産への転換‥
いろいろな世情から工場も生き残りをかけて、という側面があったことでしょう。
どことなく流通革命と似ております。

それでも、まだ工場自体はブラックボックスであり、知り合いのツテでないとなかなか難しい状況でした。

まず、技術を公開するということは死活問題である。
ということは前提にあります。

正直な話をしますと、私がソフビ業界に入ったのは15年前。
その頃でもやはり高度経済成長期をブイブイ言わせてきた(笑)破天荒な経営者の方々が工場で腕を振るっており、新規でものを作るというのはかなり難しい時代でした。

金型はどうできているのか、成型はどうやっているのか、ワックスとは何か。
全てが自分の生き残りをかけて死守してきた技術であり、それが漏洩することは許されなかった。
と言っても、自分が業界に来た時は既にデザイナーズソフビの終焉で厳しい時代。
工場も人員を削減しなければいけない、という苦境のようでした。

当時円安がとどめを差し、工場が人を解雇せねばならない時代。
職人さんが解雇され海外へスカウトされる…
円安という波が日本の技術を海外に流され、そして職人さんも技術を吸い上げられて放り出される…
工場の経営者様方はこういう苦境の中苦しんで人を解雇してきた、というトラウマのせいかなかなか後継者を雇うことはできない。
工賃を上げられない。
というお言葉を聞くことも多かったです。

そいう状況から少しずつ内情も開かれていきます。

そんな時代を乗り越え、現在はいく度かのソフビブームが起こり、工場も世代交代され、新たな工場も生まれる。
という良い流れが起こってきたと思います。
ぶっちゃけてしまいますと、旧世代の工場の方は本当に破天荒で(笑)かなり難儀しました。
そういう側面もあり、この工場は良い、このメーカーは良い。
こことは付き合いたくない、あそこはぼったくっている。
というさまざまな意見もあります。

もちろん、お仕事なのでいかなる工場選びや原型師選びは自由なので好き嫌いや嫌な経験は少なからずあると思います。

そういう面は今回は他所に置いておくとしましょう。

とにかくこの動画を見ることで流れがはっきり鮮明に見える。
そういうことを知るだけでも貴重な動画かと思います。

そんな中で、ソフビ製作で最難関のブラックボックスと言えるのが『金型製作』。
金型製作に関してはクライアントからの『特秘事項』というものもあり、また技術的にも開けてはいけないパンドラの箱でした。
そういう面からも、『ワックス原型』『嵌着』というものも全く特秘とされてきました。
それは微妙なバランスにより難しい工程を『人の手でカバーする』という特殊な世界なのでちょっとした不具合でも大変なことになってしまう。
人の手にかかっている、という面で価格が安いというものがありますが、後述する動画を見ていただければわかりますが、これだけの人海戦術で作るのに人件費が上げられないというのは非常に辛いなあ…
と感じます。
実はソフビ工程の中で時価格変動が一番少ないのが金型、と言えます。
それでも最近はフライパン一枚(金型1枚)につき1万円程度の値上げがあります。
しかし、メーカーやユーザーからすると『高い!』とついつい言いたくなります。

が、これは日本の消費文化がいつしか『安いものを求める』という傾向に向かったことに他ならない、と感じます。
スーパーでも一円でも安く購入するために店を梯子をする。
そして安く買えたー!
と言いながら買った食材が余る。
ならその分適正価格で買ってもらえれば生産者のお給料も増えるのではないか?
こういう単純な経済圏をいつしか忘れ、生産者に対するリスペクトを忘れているのようでなりません。

そう言った意味でも、今回ご紹介する動画は『本当に大変で価値のある技術なんだ』というものを心より確認させられる素晴らしい動画でした。

たまたま検索したところヒットし、公開3日目に見られたのも何かのご縁かと思います(笑
ぜひご覧ください。

工場はカミジョーさんという老舗の金型屋さんです。
以前、かなりお世話になっておりましたが他社が閉鎖になる、ということでその後行き先のなくなったメーカーが一気にカミジョーさんに流れてしまい一気に半年待ちくらいに。
うちとしてはそれこそ次の月には出来上がらないと、くらいのピッチなので久しく足が遠のいてました。

が、最近社長さんとお話をして久しぶりにお願いしてます。
近々では、タダシフレンズをお願いしいてます。


とにかく、ワックス原型を扱う身としてはカミジョーさんのワックス転換技術が見られる、というだけでも興奮しました。
自分界隈でワックス原型をされてる人たちでかなり盛り上がりました(笑

またこれらの工程を見ていると

『あーなるほど〜だからか〜』

というような新たな発見も見えました。

このようなブラックボックスを皆で見られるようにできる、というのは大変な思いをしてきた身にしてみるととても良い時代になったなあ…
と同時に、これくらい公開していかないと生き残れない、という厳しい面も感じます。

『なんかソフビ作りたいなあ〜』

という感覚で商品が売れるほど甘い世界ではないのは全ての業界においてそうですが、本当に1回作って

『思ったほど売れない』

と辞めてしまう人も相当数いらっしゃるようです。
それはずっと昔からそうなのですが…

工場としては継続的に仕事がなければ生きていけないわけで、製作者側の覚悟、というのも問われることは忘れずに生産者としてありたいものです。

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