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【報告】ペイシェントサロン特別企画

秋晴れが気持ちいい10月22日(日)の午後、「改めて“対話”を考える」という特別企画をペイシェントサロン特別企画として行いました。場所は文京区区民センターの2階、参加者は約20名でした。
 
どちらが司会でどちらが挨拶なのか分からない里子さんと信さんのやりとりがあった後、ゆるりと和やかな雰囲気のまま、ゲストトークがはじまりました。今回のゲストは、法政大学の長岡健さん。テーマは「対話とは~しなやかにいきるための漢方薬~」です。

長岡さんはご自身ががんサバイバーというバックグラウンドを持ちながら、「対話」をテーマに様々な活動を展開されてこられた方。事前にオンラインの打ち合せでお会いした時にずっとニコニコされている方だなあという印象でしたが、実物は「もっとニコニコしている人」でした。(^^)

今回お話しいただいた内容は、創造的な学習環境のひとつとしての対話の場作りについて。長岡さん曰く、対話とは相手に情報を伝えるという目的があるものではなく、「同じ時間、同じ空間に集」って、「共有可能なゆるやかなテーマのもと聞き手と話し手で担われる創造的なコミュニケーション行為」で、「自由な雰囲気のなか」で「真剣な話し合い」がなされるものだそうです。また、「対話は、じわじわと効いてくる漢方薬」のようなもので、即効性はないけれど自分の固定観念を小さく揺さぶるので、柔軟な状態でいるために継続することに意味があると仰っていました。対話をするために、「家と職場以外のサードプレイス」があるといいという話も、改めて納得です。

お話の中で私が印象的だったのは、「あまり親しくない人同士の価値観や情報の交換」が大事だということ。ツーカーで話が通じる間柄は楽でリラックスできそれはそれでとても価値があるのですが、そこには確かに、違和感から生まれる気づきのようなものは生まれにくいです。“学び直し”などと言われる「アンラーニング」は最近よく聞くようになっていたのですが、今回「対話」を通じてこの言葉に出会うことで、自分の価値観や考え方、知識をほどいて入れ替える…というニュアンスが腑に落ちました。対話が展開されにくい教室という場を飛び出してカフェでゼミを行う「カフェゼミ」も、とても気になります。(参加者の1名は早速申し込んでいました!) 


長岡さんの話が終わった後は、休憩をはさんでいつものペイシェントサロン。いよいよ実際の対話スタートです。今回のテーマは「対話による学びへのあなたの一歩とは?」でした。今回私はグループに入らず4つのグループ間をふらふらとノマド的に渡り歩いていたのですが、面白かったのはグループによって全く雰囲気が異なっていたこと。ゆっくり話す人に合わせて静かにひとつひとつ丁寧に言葉をやりとりするグループもあれば、テンポ良く、笑いや拍手を交えながら対話をするグループも。同じテーマでも、誰とどんな雰囲気で対話をするかで創造されるものが異なることを感じるひとときでした。

実際に「対話による学びへのあなたの一歩」として話された内容は、「自分自身を知ったり相手を知ること」、「とにかく苦手なところにも行ってみる」「相手を受け入れるアソビ(寛容さ)も大事」「分からないことを分からないと言うこと」、「(対話を促進するような)その場にあるものとして『たき火』や『焼き芋』があるといい(これは長岡さんのトークで出てきた話)」などなど、多くの付箋が並びました。また、「今日ここに来たことが何よりの一歩」「対話をするなら安心・安全な場所がいい」といったコメントや、私も考えさせられたものとして「家族との対話は可能か?」「学生と教員は対話できるか?」なども印象的でした。 


【振り返って】
今回は私自身、改めて文字通り“対話”について考える機会を頂きました。人は(私は…)易きに流れるので、わざわざ知らない人に会いに行くのが億劫になる時もあるかもしれません。気心知れた仲間たちと話す時には必要ないエネルギーが、知らない人と話す時には必要だったり、緊張を伴ったりすることもありそうです。それでも、無理をしない範囲で、出て行ける時に出て行って知らない人と対話をしてみると、相手に関しても、そして自分自身に関しても思いがけない気づきがあり学びになるのだろうと感じました。長岡さんのカフェゼミにも、今度伺ってみたいです。どうもありがとうございました!

【文責】
ペイシェントサロン協会 役員
瀬戸山陽子

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