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四季の軌跡

時に女性は、澄んだ瞳で愛を語った。
幻の中にいるような浜辺に、現れる人魚のように。
ーー君は、夢を持っているかと諭す。
赤いリボンは、最初の楽器であるフルートのように薄く響いていた。
ディキンスンの詩が、どこかに流れ出し、人を殺めた記憶も消したいと。それならば、私が作ってあげようと、声が聞こえて崩れ落ちる瓦礫の中から這い上がる勇者のように、人は平等さとうっすらとした均衡の中で叫ぶ。その声は、瞬く間に海を渡り、希望を包んだ。
人間の人格ができるのは、16からさと大雑把な嘘をつき、その吐息に真っ白な景色が流れ落ちる。その瞬間、稲妻のような霧雨が地上に降り注いだ。僕は、彼女を抱き抱えて、詩を放つ。

その顔は、英雄にも似つかぬものではあったが、素敵なことだった。そんな未練なんて捨ててしまえ、捨ててしまえと真っ暗闇を走る馬車が、トンネルの中から出てくる雪景色のように、攫った。

未練を捨てて欲しかった。そして、本当の恋をしろ、本当の愛を探せと絶対に見捨てぬ物語を作りたかった。春の馬車は、夏の彩りを挟んで、自己犠牲という最大の愛の形を知った。

君は見捨てぬ、夢を持っているじゃないか、それを噛み締めるんだ。僕と君は、絶対に交わることのないストンと落ちるような橋を渡ってから、馬車は高く昇って行った。もしかして、ここはサンタのいる季節?と女性が聞くと、迷わず英雄の姿を再現して、もう一回、人生をやり直してみないかいと響きあうギターを手に取った。再構築された世界は、きっとそういうことを言うのだろう、言うのだろう?じゃあ、君はトナカイの気持ちがわかるかと男女は、うっすらと淡い春の夢に影を落として、弱さを強さに変えた。そして、時折降る約束の地で、幻を奏でた。

トラウマよ去れ!

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