読取装置特許(特許6469758号等)の無効審判・訴訟、ビジネス、ライセンスに関するまとめ

↓のツイートで言った通りまとめてみました。

注意事項
どちらかというと弁理士とか弁理士試験受験生のような事案の研究(勉強)をしたい人向けで書いてるので、面白半分の一般人が適当にググってヒットしないように社名等は本文中に書いていません。画像を参照しながら読んでくださいね。あと時系列の整理を主目的にしているので各審判等の内容は、主文とかのポイント以外ほとんど読んでいないです。基本的に出典ありのことを書いてますが、必要に応じて注記しながら推測も交えてして書いてます。
では、内容

まずは、権利関係の時系列から見ていくと

画像1

ポイント
・これやったのいつごろ?あれとどっちが先?みたいなことが分かりやすいように、2019年から2021年については3色で塗り分けてみました。結構わかりやすくなった気がします。次の表と並べて対応関係を見やすくするためというのもある。
・3世代の分割も合わせて出願は6件あるけど、審決取消訴訟に行ってるのは親出願だけ。
・Twitterでしろさん(https://twitter.com/PateAt0)にも指摘してもらったけど、孫出願3だけは審査に係属させておきながら他の分割出願はかなり早く成立させてる(出願から24日~100日で登録)。
・無効審判は親出願から孫出願2まで全部で請求されてる。請求人も被請求人も大変そう。それだけお互い必死ともいえる(関連事項後述)。
・親出願は、審決取消訴訟に行ってる無効審判(審判記録①)だけでなく、異議申し立て(審判記録②)や別の無効審判(審判記録③)もある。
・実は審決取消訴訟に行ってる無効審判はすでに上告受理申立てされてた(6/2)。担当されてる事務所さん的に最高裁には行きそうに思うけど、全部無効にできるかはわからない(上述の通り審決と判決の内容はほとんど読んでないので)。
・異議申し立ては審判記録①の無効審判の審理待ちで中止されているけど、別の無効審判(審判記録③)では、全ての請求項について特許無効の審決予告をしている。審決取消訴訟との関係もあるし(特181①)、こちらもどうなるかはわからない。
・次の項目で出てくるけど、親出願の無効審判の審決後に権利者が変わってるので、新しい権利者が訴訟上でいわゆる当事者参加をしてる。これで差し戻されて無効審判で再度争うときは(特181①)、審判上の参加をするんだろうと思う(特148①)。
・弁理士試験的には、特実Ⅱで出る系のテーマがいろいろちりばめられてて、参考になるかなと思った。無効審判、訂正請求、特許異議申し立て、審決取消訴訟など重要ポイントが盛りだくさん。審決取消訴訟に行ってる事案でなので、今後の審判では、当事者や特許庁などが拘束される行訴法33①とか高速バレル事件とかの関係もポイントになるかもしれない。

次は、ビジネスとの関係

画像2

ポイント
・2018年のコンペで提案したけど採用されなかったそうで、そこで提示した発明を盗用された、って争ってる話に見えるけど、どうなんでしょうね(誰からも回答は得られない質問)。
・侵害訴訟としては、2社に差止の仮処分の命令を申し立ててる。2社で申立てのタイミングが違うのはなぜなのか。
・出願代理人の事務所の人が本件訴訟対応のために株式会社を立ち上げて権利(特許を受ける権利と特許権)を譲り受けて戦うというなかなか複雑な状態になってる。
・というか、権利者側(出願人、承継人いずれも)はいろいろリリースしてるけど、無効審判の請求人側の方はほとんど情報を出していなくて(調べ方)、温度差を感じた。
・ちなみに、この表では子出願以下の情報はほとんど入れませんでした。入れようとしたけど滅茶苦茶複雑になったので。
・弁理士試験の視点で見ると、無効審判の事案の流れとして、出願後に他社に提案したら実施されたけどライセンス交渉はまとまらず無効審判を起こされて、差止を請求して、無効審判が審決取消訴訟に行ってるような流れ。この後どうなるかとか想像するのも面白い。あと、訴訟での参加は試験的には出ないので大丈夫です。

次は、ライセンス関係について推計してみる

画像3

ポイント
・承継人のホームページでライセンス料が書いてあって計算してみたという話。こういうところだけ切り取られて変に拡散されても嫌なのでテキストで名前とかを出さないようにしてました。
・営業利益からすれば2%にも満たない額なのでどうにでもなりそうだけど、権利は2037年まで持つわけでトータルだと数百億円のライセンス料の支払いが必要になるから、何億、何十億円かけようが6件の特許ぐらい本気で潰そうとする気持ちも分かる。逆に、それだけの特許収入の可能性があると思えば、頑張って維持したい気持ちもわかる。
・でもまあレジ5台の店舗で1月15万円ぐらいなら人件費の削減効果考えればまあ多少はね?って思えそうな気もする。けど、このシステムは読取装置だけで成立しているわけではないので、それもどうかとも思ったり。
・ここでは書いてないけど、営業利益率が去年度で13%、今年上期で20%ほどあってすげーってなった。このコロナ禍でも業績上がってるのもホントすごい。
・アパレルってそれほど利益率が高い業界ではないと思っていたのだけど、これだけ利益を出せる会社ならいろんな部分でがっちりしてるはずで、上記の2%を通すほど甘くはないだろうなとも思った。

最後に、まとめとか感想とか
・急いで作ったので間違ってたらごめんなさい。あと、いろいろできるだけ気を付けて書いてますが参考情報として扱ってください。責任は負えませんのであしからず。
・当事者のヒゲ率高し(関係ない)
・情報収集のためにHPとか覗いてたら久しぶりに買いに行きたくなってきた。
・以下の条件1,2のいずれも満たせる方であれば、検討用のエクセルデータ(J-PlatPatのスクリーンショットとかそのまま貼ってるやつ)をお渡ししてもいいのでTwitterに希望のDMください。
条件1:弁理士さんとか特許法がある程度分かる方、受験生の方ももちろんOKですが脇道にそれることになるのでそれを承知であれば。
条件2:商業的な利用はせず事案の研究用として使うことを約束できる方

以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?