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病気は悪いもの?

蕁麻疹が出て以降、体調は一進一退していた。
良くなったと思ったら、今度は突然腫れが出たりする。自分にいったい何が起こっているのか、もう不安で仕方がなかった。

先週末、腫れが出たまま勤務校へ行って朝の打ち合わせを済ませたあと、廊下に出た時に仲の良い図書室の司書の先生が声をかけてくださった。

「大丈夫なの?…ほんとは大丈夫じゃないでしょ。」といわれ、その瞬間に涙が止まらなくなってしまった。すぐに涙が出てしまうのは、もういろいろ限界が近いからかもしれなかった。

そのまま保健室に連れていかれ、養護の先生にみてもらったら、リンパ腺がひどく腫れているようで、すぐに内科に行って診てもらった方がいい!と強く言われた。

「でも今日、授業が3コマあって…」と私が戸惑ったら、
「そんなの副校長に言ったらなんとでもなるの!自分を大事にしなさい!!」
とまるで生徒みたいに怒られた。
冷静に考えたら、その通りだ。授業どころじゃない。

養護の先生はその足で副校長のところへ行き、事情を説明して授業変更の手筈をものの10分くらいで整えてくれた。
ちょうど3年生が卒業したばかりで、3年職員の先生が授業変更に全面的に協力してくださったという。
その間、保健室でリンパ腺を氷で冷やしながら、図書室の司書さんがそばにいてくださった。
私は涙がずっと止まらないまま、不安で眠れなかったこと、眠れないけど、学校に行ったら笑顔でいられるようにお笑いの動画をみて気持ちを明るくしようと努めたことなどをつらつら話した。
(ここでちょっとウケてくれた。)

不安な時、誰かが自分の話をずっと聞いてくれることがこんなにありがたいことだなんて…とそのとき心の底から感謝した。

副校長が勤務校の最寄駅まで送ってくれ、そのまま電車でどこの病院に行くか考え、予約もしてないから診てもらえるかわからないけど、家の近所にある国立の病院に行ってみようと決めて向かった。

以前行った街のクリニックではほとんど話を聴いてくれなかったのでそういうものかと思っていたら、受付からもう全然違っていて、症状について看護師さんから細かくきかれ、内科受診の手筈を整えてくださった。
声がけもとても温かくて、それだけでもう不安感がかなり軽減された。これは自分の仕事でも大事なことだな…と思った。

内科の先生も、私は心臓の専門だけど、といいつつもいろいろ聞いてアドバイスをくださり、紹介状がないと無理な皮膚科にその日に院内予約をとってくださった。さすがは国立の総合病院だ…。
皮膚科でもいろんな可能性から処方を考えてくれ、血液検査も受け、炎症などの異常は見つからなかった。
結局、自己免疫疾患の可能性もあるし、ただストレスから来ているものかもしれないし、ということで、後日、自己免疫疾患の検査を受けることになった。

まだ原因が特定できてないけど、自分一人でなんとかしようと思っていた時の不安感やさびしさが消えたことで、心の苦しさはかなりなくなった。

病院で診察を待っている間、カップ麺を抱えて廊下を行くお医者さんをたくさんみた。
患者さんは多いし、ご飯を食べる時間もないのだろう。
そんな風に忙しくても話を聴いて助けようとする医者という仕事ってほんとに尊いものだと思うし、お医者さんも適切に休みが取れるようにしてほしいと思った。

病院の中にいて外に出た時はもう13時を過ぎていた。3時間はいたことになる。
でも病院の中で自分のことについてたくさん考えることができた。逆に言えば、一歩外に出たら、自分のこと以外のことばかり考えているのかもしれなかった。
そんな姿勢が間違っていることに気づくよう、病気がやってきたのかもしれなかった。

とりあえず処方されている薬を服用し、家で入院しているかのごとく、週末はゆっくりすごした。
さらに、土曜日の太極拳の練習に出たら少し体調が良くなって、太極拳ってやっぱりいいんだな…という発見もあった。不調に悩む人はみんなやってみたらいいと思う。

病気は全然うれしくはないけど、いろいろ気づけたことは多かった。

たいした病気をしたこともなく、人に頼らず生きていくことが自分の信条だったこともあったけど、今は、一人では生きていけないんだなと思っているし、周りの人たちの優しさに気づけたことで視野も少し広がったような気がする。

近所を歩くと、大ぶりな花びらの河津桜が満開で、もう春だなとほっこりする。
病気は、来年度にはもう少し賢く生きられるための学びだったと思うことにした。











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