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11. 予備校に通っても受かる気がしない感覚の正体

面接ではこう聞かれるから、こう答えるのよ。そうしたら合格するから。

母親

近年、難化傾向を強める弁理士試験ですが、この「難化」というのはマイナーな判例を知っておかないと解けない問題が出ているとか、そういう難化が進んでいるということではありません。

私が高校生だった頃、確か東京大学理科の入試問題でこのような問題が出題されたことがありました。

加法定理を証明せよ。

東京大学理科

この出題には受験生も面くらい、現実の正答率はかなり低かったという情報が漏れ伝わってきました。多くの受験生は複素数平面等の公式を使ってなんとか答えを出したようなのですが、複素数平面のその公式自体が加法定理から導出されるものなので、実際はほぼ点数がつかなかったようです。

今の弁理士試験の難しさは、数学で言う「加法定理を証明せよ」と言った出題傾向にどんどん問題がシフトしているというタイプの難しさが進行しているのです。

従来、弁理士試験の対策といえば、判例や青本の模範例文を覚えてそれを忠実に再現することで合格するという仮説に基づいて行われ、今も多くの受験予備校がこの仮説を踏襲し続けています。

しかし、毎年受験会場に通う現場の受験生は、「このまま予備校に通ってもなんか受かる気がしない正体不明の感覚」に苛まれています。その理由は、予備校で習ったり模試や答練で問われてきた問題と、本試験の問題があまりに違いすぎるからでしょう。

令和5年度の意匠法ではウオーキングビーム炉事件を元ネタとする出題がされたのですが、「先使用権とウオーキングビーム炉事件が出た。予想があたった!」と予備校としては自画自賛したいところかもしれませんが、残念ながら「即時実施の意図を有しており…」と言った文言を再現すれば正解になる問われ方ではありませんでした。

ウオーキングビーム炉事件によれば本件でも先使用権は認められるが、なぜか?

これが本試験の問です。決して、

Q. 先使用権は認められるか。
A. 認められる。なぜならウオーキングビーム炉事件でそう言ってたから。具体的には(即時実施の…)

と問われたわけではないのです。

この傾向は今後もますます強まっていくでしょう。私の予想では、短答試験はきちんと現行の法制度の具体的な規定を問う短答らしい短答にゆり戻っていき、論文試験はなぜその結論になるのか、現行の法制度がそのように解釈するに至った法の仕組みを問う論文らしい論文に寄っていくと考えています。

そして、その理由は冒頭に挙げた「試験ではこう聞かれるから、こう答えるのよ。そうしたら合格するから。」と言わんばかりの判例や青本の模範例文を覚えてそれを忠実に再現することで合格するという弁理士試験業界の空気から脱却し、法をそのように解釈すべき仕組みの理解力と、結論の妥当性をわかりやすく説明できる説明力を受験生、つまりはこれからの弁理士に求めているからというのが私の仮説です。

「即時実施の意図を有し、かつ、その即時実施の意図が客観的に認識される態様・程度において表明されていれば先使用権は認められます(と答えれば合格すると先生に言われました)。」
「そうですか。ところで即時実施の意図ってなんですか?」
「(えっ?)即時実施といえば即時実施です」
「即時って即時でしょ。1年ですよ。なのに即時なんですか?」
「(はっ?)判例にそう書いてるんです(本音)」
「問題文にも書いてるのでそれくらい私でもわかりますよ」
「(なんか思ってたのと違う…)」

現在、弁理士試験の受験者数は減少を続けています。正直、資格さえあれば安泰というのも通用しなくなっています。それでも、かなりの時間とお金を割いて弁理士になりたいと思って努力ができる人というのはそれだけで大変貴重なのです。

にもかかわらず、今となっては方向性が変わってしまった旧来の試験対策を指導しただでさえ貴重な弁理士志望者の合格を遠のかせているという現実はさすがに問題があります。

私も弁理士試験には苦戦したくちで、俗に10年選手と呼ばれる長期受験生でしたが、最後は令和2年にある意味予備校を裏切って問われた問いに、事例に即して、コピペをせずに、その問題の答えとして相応しいと自信をもって言える内容を解答してきて合格しました。

私はその方法を含め令和3年の口述試験からオリジナルの口述試験対策模試をはじめ、令和5年から弁理士試験対策講座として提供するようになりました。

幸か不幸か、法をそのように解釈すべき仕組みの理解力と、結論の妥当性をわかりやすく説明できる説明力を受験生に求める傾向は年々顕著になり、正直弁理士試験は長期受験生に厳しい・不利な試験になりつつあります。

勇気がいることとは思いますが、今年からは少し勉強のアプローチに少しだけ方向転換をかけてみてください。詳細はYouTubeチャンネルで複数の動画を挙げているので、私の考えに心当たりがある方は、ぜひフィラー特許事務所の弁理士試験対策講座を受講してみてください。

既にかなりの金額を弁理士試験対策に投じているとは思いますので、そこまで価格は高くしていません。それよりも、ただでさえ弁理士志望者は貴重なのですから、一年でも早く合格してもらうことの方が重要なのです。

そして、今の試験委員の先生方が求める新しい弁理士として、わが国産業の発展に貢献できる国家資格者として一緒に仕事をしていきましょう。

フィラー特許事務所(https://filler.jp/benrishi/
弁理士・中川真人