日本の地域在住高齢者における社会的ネットワークと身体機能の関連について
▼ 文献情報 と 抄録和訳
日本の地域在住高齢者における社会的ネットワークと身体機能の関連について
Keigo I, Naoto K, Miki S, et al.: Association Between Social Network and Physical Function in Community-Dwelling Older Adults in Japan, Phys Ther Res. 2020 Jul 22;23(2):153-159.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的] 高齢者の機能低下の重要なリスク要因として、社会的ネットワークの希薄さと身体機能の低下が知られている。本研究の目的は、日本人の地域在住高齢者を対象に、ソーシャルネットワークと身体機能の関係を調査することである。
[方法] 参加者は、地域で自立して生活している65歳以上の高齢者339名(平均年齢:73.0歳、女性:70.2%)。自己申告式の質問票を用いて、6項目のLubben Social Network Scale(6LSNS)と他者との接触頻度の2つの尺度でソーシャルネットワークを評価した。身体機能については、握力、膝伸展力、歩行速度、TUG(Timed Up and Go Test)、CST(Chair Stand Test)の5反復スコアを用いて評価した。交絡因子を調整した重回帰分析により、社会的ネットワーク尺度と各身体機能テストとの関係を分析した。
[結果] 重回帰分析の結果によると、6LSNSスコアが高いことは、握力が高いこと(B=0.63、p=0.03)、CSTが速いこと(B=-0.23、p=0.01)、TUGが速いこと(B=-0.12、p=0.03)と有意に関連し、接触頻度が高いことは、握力が高いこと(B=1.08、p=0.01)と有意に関連していた。
[結論] ソーシャルネットワークは、筋力や身体能力と関連していた。したがって、社会的ネットワークの乏しい高齢者は、身体機能が低下している可能性があるため、身体機能の評価が必要である。
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本研究からは因果関係は分からないが、ソーシャルネットワークの高まり⇒身体活動量の増加⇒身体機能の向上ということだろうか。introでも、社会的機能の低下が身体的機能の低下に先行するという仮説もある、と述べている。
https://doi.org/10.1016/s0167-4943(02)00081-x
ともすると、リハ職の立場としては「身体機能を高めるための運動」ではなく、「ソーシャルネットワークを高めるための運動」という視点で地域の取り組みをすることが重要なのだろう。
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