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難易度の高い運動をイメージする際に脳はどのように活動するか?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

運動レパートリーを超えた運動イメージ:難度の高い全身運動のキネステイックな運動イメージにおける一次視覚野の活動

N Mizuguchi, H Nakata, K Kanosue: Motor imagery beyond the motor repertoire: Activity in the primary visual cortex during kinesthetic motor imagery of difficult whole body movements, Neuroscience (IF: 3.056; Q2). 2016 Feb 19;315:104-13.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] 本研究では、難度の高い全身動作のキネステ ィックな運動イメージの能力に関連する神経基盤を明らかにするために、キネスティックな運動イメージと動作観察の両方を含む試行と、動作観察のみの試行における脳活動を測定した。

[方法] 脳活動は,機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて評価した。19名の参加者は,行動観察時に,ジャイアントスイング,キップ,チンニングの3種類の水平棒を用いた全身運動をイメージした。ジャイアントスウィングを行ったことのある参加者はいなかった。質問紙で評価した運動イメージの鮮明さは、チンニングで最も高く、キップでは低く、ジャイアントスイングでは最も低かった。行動観察を伴うキネステイック・モーター・イメージの一次視覚野の活動は、行動観察のみの場合の活動を差し引いても、ジャイアント・スイングの条件では、参加者の中で、チン・アップの条件よりも有意に大きかった。また、行動観察を伴うキネステ ィック運動イメージのV1活動は、行動観察のみの場合と比較して、キネステ ィック運動イメージの鮮やかさと負の相関があった。

[結論] これらの結果から、V1の活動は、難しい全身運動のためのキネステイック・モーター・イメージの能力に依存していることが示唆された。V1の活動は視覚イメージの生成に関連していると考えられるため、困難な全身運動を行う際の鮮明ではない運動イメージに対して、視覚的な運動イメージが意図せずに採用されているのではないかと推測される。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

やはり運動をイメージにはその個人の運動記憶が大切なのだろう。どのような運動観察が、運動イメージの鮮明さに重要であるかは気になるところである。


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