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運動イメージの年齢と性別による違い

▼ 文献情報 と 抄録和訳

運動イメージの年齢と性別による違い

L Subirats, G Allali, M Briansoulet, et al.: Age and gender differences in motor imagery, J Neurol Sci (IF: 3.115; Q2). 2018 Aug 15;391:114-117.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 運動イメージ(MI)の次元である鮮明さ(心の動きの鮮明なイメージと感覚)とタイミング(想像した動きの持続時間)における加齢と性別の影響を調査した研究は少ない。本研究の目的は,1)鮮やかさとタイミング能力における加齢と性差が運動イメージに及ぼす影響を調べること,2)運動イメージのこれら2つの次元の関係を調べること,である。

[方法] 若年者41名と高齢者31名の計72名(男性47%)を対象に,VMIQ-2(Vividness of Movement Imagery Questionnaire)を用いてMIの鮮明さを評価し,rTUG(Real Timed Up and Go)テストとその想像版(iTUG)の成績を用いてMIのタイミングを評価した。主なアウトカム変数は,VMIQ-2スコアとdelta-TUG,すなわちrTUGとiTUGの差であった。

[結果] 精神的な鮮明さは加齢の影響を受け、若年者と比較して高齢者では視覚優位性が失われ、運動感覚的なイメージが優先された。しかし、delta-TUGで測定したタイミングには両群間で差がなかった。鮮やかさの能力は男女で同程度だったが、タイミングでは女性の方が優れていた。VMIQ-2スコアはdelta-TUGとは関連せず、性別のみがdelta-TUGと有意に関連していた。

[結論] 本研究では,1)視覚的MI能力から運動感覚的MI能力への加齢に伴う移行が認められたが,MIのタイミングには影響がなかった,2)タイミングには性別の影響があり,心の鮮明さには影響がなかった,3)鮮明さとタイミング能力には関連がなかった,ことが明らかになった。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

運動イメージは、そりゃ加齢に伴い変化するでしょ?と思っていたが、そうでもないようだ。「運動イメージ」と一口にいってもどのような性質を捉えた評価をするかで、特徴や臨床応用の方法が変わってくるだろう。

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